トゥアレグラリーで使ったシートの話

ただいま!帰ってきました。結果はプロクラス33位。砂丘ステージでの低速転倒はありましたが、それ以外のハードな路面での転倒はなし。したがって、体の疲労は少し残っていますが、元気そのものです。遊びに行って汚しててはいけません。まぁ危ないことは何度もあったけどね。

レースのレポートと言うか、感想などはどこかで発表できるといいなぁと思っています。勝手に書いて送っていいですか?編集長!

シート屋なので、先ずはこれを書かないことには次の仕事に移れません。自画自賛といわれる内容かもしれません。しかし、自分自身でお客様に提供しているシートを過酷な現場で試す事がきたことは本当に良かったと思っています。ラリーに限らず全てのフィールドで、野口シートが最高のライディングをお約束できるようにしていきたいと思っています。
今回のトゥアレグラリーで使ったシートは、少しまえのブログで書いたけどもう一度おさらい。
2010KTM530EXCの純正シートをベースにT-NETを全体的に挿入し、弾力あるウレタンでアンコ盛りをした。アンコ盛りの量は低いところで15mmアップ。シート後方の厚みの差はノーマルと殆どありません。シート幅は、あえて格好を優先して10mm広げた程度。実車に装着してまたがると、185cmの身長の私でかかとが少し浮く程度でした。
シートの角度は地面に平行より若干前下がりでしたが、違和感は感じませんでした。私の走行姿勢の殆どが座ったままで、着座位置は高速ダートを走るせいか、後ろから15cm程度でほぼ固定されてました。
ちなみにその部分のシートの厚みは30mm程度です。クッション性能はその厚みだと期待できないのですが、T-NETのおかげで全行程中お尻をずらして座ったりしなくても良かったし、お尻にできものができることもなく本当に快適に走ることができました。特に中盤以降は全く気にすることもなく、また、座面に使用したアルカンターラのおかげで蒸れることも全くありませんでした。一日だけ雨が夜に降ってシートが濡れましたが、かまわずそのままスタートで 30
分もたたないうちに乾いてました。
今までシートの長距離のテストは何度もしていましたが、私自身がラリーで試すことで、今まで以上に長距離走行に対するシートの方向性がより一層明確になってきました。
また足つき性については今までの考えを少し改める必要も出来ました。
今回のラリーは2,500kmと距離は長くないけど、テクニカルな部分が随所に織り込まれてました。大きな岩のガレ場、狭いウッズ、高い段差がある枯れ川を何度も越えたりなどなど。もちろん、砂丘も様々な顔をしていました。なので座り心地もさることながら、足つき性についてずいぶん考えされられました。コース全体を占める足つき性の重要な部分はわずかではあるけれど、そのわずかな部分が疲労や成績につながる場合があります。私の場合は、185と言う身長にずいぶん助けられたけど、テクニカルなセクションでは足つき性の悪さで相当苦労している人を何度もみました。単純に低くすれば足つき性は上がるけど、クッション性能は落ちてポジションも悪くなります。なので、ラリーの場合は快適性を優先してあんこ抜きはお勧めしていませんでした。バタバタ脚を出すなら押したら良いと考えてました。しかし、押すまでもなくほんのちょっとのきっかけが欲しい足つ
き性が重要だと言う事に気づき、これについては少し考えて製品にフィードバックしたいと思います。それ以外にも、シート表皮の素材、シートの断面形状やチェックカード入れなど、ラリーで試して良いことを思いついたのでこれも早くフィードバックして行きます。ラリーバイクを一通り見てきましたが、シートを交換したり、自作したりしている人は全体の一割程度でした。KAHEDOという初めて聞くシートメーカーもありました。触ってみましたが、柔らかい感じはいいのですが、沈みすぎる気もして・・・その他は自作ですね。自作するほとんどが分厚く柔らかいウレタンで盛って、幅も目一杯広げる方法がとられてました。表皮はバックスキンを使用していました。それらを見て、まだまだシートの可能性はたくさんあるなと一人現場でほくそ笑む私でした。