NC700Xのシート

ノーマルシートで100kmほど走って、シートをどうしたいのか決まりました。
自分のシートなので、結論は早いです。
GSほどの車格ではないので、多少の窮屈さはシート改造をしても無理なのは分かります。
以前、セローのシートの取材を受けた時にライターさんから「自分の体格(185/75)に合わせるためにセローのシートをどうしますか?」と聞かれた。
「たぶん合わせられないので、見た目にカッコいレベルでアンコ盛りをするくらいです」と答えた記憶です。
車格にあったちょうど良いシート形状のレベルを超えてしまうと、かっこよさが無くなってしまうと思うので、ちょうど良い範囲で出来る限りのことができればと思います。
タンデムシートの後端がリアフェンダーと面一はかっこいいし、ダミータンクからシートへ流れるラインもノーマルでカッコいいのですが、使い込まれたビニールレザーは滑るし、ライダーシートの傾斜はもう少し緩くしたい。シートの幅は問題ないけれどやはりもう少し高さが欲しい。
そして、タンデムシートをより快適に。
仮合わせ。実車があると、自分自身にあーだこーだ言いながら進められるので作業は楽です。ウレタンの仕様は前後ともダカールスペックです。衝撃吸収材T-NET+ミディアムウレタンの積層です。

沢山ウレタンを盛る場合、ぼってりした感じを極力出したくないのでシートの側面にエッジを立てるなど、できるだけメリハリを付けます。
もちろん角が内股に干渉して違和感を感じては意味がないので、それはいろいろ考えながら形を作っていきます。
ビフォーアフターです。リアが20mm フロントが20-30mm盛っています。
リアキャリアが付いているので、このキャリアと面一にした感じです。
写真で見ても、キャリアのおかげでタンデムシートの大きさはそれほど気にならないです。シートはボリュームアップしたけれど、それほどシートの主張もなく綺麗に収まったと思います。
形状は申し分ないんです。作る前から結果が見えているので心配はしていませんでした。
問題はいつも新しく挑戦するとやらかしてしまう「配色」です。
今回はいかがでしょうか。
ウルトラスエード(アルカンターラ)のBKとCB(パンチング)の組み合わせです。今回の色のテーマは落ち着いた大人な感じ。車体色が赤なので、イタリアンな組み合わせでよく見る「赤いボディにタンのインテリア」的な感じを狙ってもいいかなと思ったのですが、明るい色のウルトラスエードだと汚れも気になるので、もう少し濃い色とCBのこげ茶を選択。
黒や赤/黒のカバーは間違いは無いと思うのですが、今回の組み合わせはより高級感が出たのではないかと勝手に思っています。
こういった組み合わせも有りかな。と、今後張替えをされるお客様の参考になればありがたいです。

アクセントに刺繍でNC700Xのロゴを生地と同じようなトーンでいれました。
ちなみにCBのパンチングは今回特別に作ったものなので、(通常のパンチングは黒、ダークグレー、赤の3種類だけです)在庫はあと数台分です。気になる方は早めに問い合わせください。

シート改造で難しいのは形状を大きく変更した時の効果です。
正直、跨っただけでは分かりません。ある程度の予想はつきますが、やはり数百キロ乗って結果が分かります。シートの色も同じで、車体の色との組み合わせを頭の中で想像したよりも良かった場合は良いのですが、いざ付けてみたら何か違和感がという場合もあります。
その為に、シート屋として様々な組み合わせのウレタン改造を試し、時には失敗する色合わせや切り替えを重ね、自らが体験したその効果などをお客様に分かりやすく伝えて、出来るだけお客様の求めるシートが理想に近づけばいいなと思っています。

さぁこれで準備が整ったので、お盆休みはどこに出かけようかな。
とは言え、後少しの期間でこのコロナのもやもやは消えてないだろうから、いろんなプランを考えてみよう。