新素材 ライトハニカム New materials.

久しぶりの新素材紹介です。
オリジナルのウレタンは1月に紹介しましたが、これはあくまでも純正のウレタンに近く、もしくはそれ以上の密度や硬さを狙って作ったものです。
当社の改造のベースとしてはなくてはならないものです。
ウレタンにはいろんなものがありますが、今のところバイクや車のシート改造にはこれが一番と思っています。

そして、さらに快適さを求めたいノグチシートとしては現状、衝撃吸収材T-NETのシートへの挿入をご提案しております。私自身もこのT-NETを使ったシートに乗ってモロッコやチュニジアのラリーに出場し、その効果を実感しております。
また、ダカールラリーにおいてはチームHRCのシートやチームランドクルーザーのシートにも採用していただいております。
さらに、T-NETと低反発ウレタン+α との組み合わせで作ったオリジナル座布団は、各所でファンがいる隠れた人気商品になっています。

これを使えばお尻の痛みや、疲労から解放されると言う魔法の材料ではなく、やはり個人差がありその効果には差が出ます。

特にあんこ抜きをしたシートや、スーパースポーツのようにもともとウレタンが薄いシートなどは底つきを防止するため硬めの設定となっておりクッション性が無いため、T-NETを挿入しても長時間の乗車ではお尻が痛くなる場合もあります。

けれど、そこを何とかしたい。何とかしたいと1年中考えているので、たまにひらめくことがあります。ひらめくとすぐに実験!その繰り返しでいくつもダメな素材を発見してきました。

さて、あることをきっかけに紹介してもらった材料「ライトハニカム」を実験して、結果が良かったのでこれからラインナップに取り入れることにしました。
IMG_1623写真では色の違いしか分かりません。
T-NETは低反発素材で、ライトハニカムは高反発素材です。
なので全く性質が違います。
しかもライト言うだけあって、T-NETと比べその重量は約半分です。
軽いのに反発は一般的なバイクシートのウレタンより高く、またヘタリも極端に少ないのが特徴です。

ではT-NETとライトハニカムの反発の比較動画を撮りましたのでご覧ください。
以下の動画は全て比較なので、動画から効果を見ることはできません。
単純にふーん、そーなんだ、的な目で見てもらえればと思います。
1先ずは素材のみの反発の比較です。
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これで、この二つの基本性能が分かると思います。

 

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2つの素材をモールドウレタンに貼り付けました。YouTube Preview Image
ウレタンの反発があるのでT-NETでも球は跳ねます。逆に高反発のライトハニカムは素材のみの反発より若干反発が弱くなります。

 

3今度は上にモールドウレタンが来た場合の実験です。
バイクシートなどは素材の積層がこのパターンとなります。
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球の跳ね具合はほとんど変わりません。
跨った瞬間や、走り出して数十分ではどちらもノーマルのシートとの違いは分からないと思います。跨ったときに中に何か入っていると感じるのは、後に違和感となるので私は好きではありません。

 

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今度は実際に乗車してお尻が乗った状態を再現する実験です。
分かりやすく低反発ウレタンも加えました。
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青い低反発ウレタンはその素材のみだと、上からの荷重にウレタンが潰れて直ぐに底つきを起こしてしまします。ウレタンと組み合わせたとしても、薄いシートの場合ウレタンの潰れて底つきは避けられません。
一方、ライトハニカムとT-NETは荷重をかけてもウレタンは潰れるものの両方とも潰しきることはできません。
ライトハニカムもT-NETも柔らかいのに底つきをしないというのが特徴です。

さて、実験だけ見るとどちらが良いの?と疑問が出ると思います。
少し前までは低反発ウレタン最高!とかゲル素材が一番!とかよく耳にしましたが、私自身それらはすべて実験によってバイクシートではなく他への用途かなと思っていました。なので当社では現在使っておりません。

少し前から高反発素材の可能性はまだまだあるのではないかと思っていました。
高反発=お尻へのインパクトが強い ではなく、単純に反発が強くて硬いのではなく、やわらかいのに反発が強いことで今までとは違った感触が得られるのではないかと思ったわけです。
ここからはデータや素材の感触だけではなく、実際シートを作って走ってみるのが一番なので走ってきました。要は数値データではなく、私のお尻が感じた結果が全てということになります。

オリジナルウレタンのハートタイプ20mmとライトハニカム10mmの合計30mmという薄さでスポーツスターのシートを作り、3日に分けて600kmほど走ってきました。
IMG_1592 IMG_1594 IMG_1596 IMG_1607 IMG_1608 IMG_1613結果、久しぶりにずっとニヤついて走ることができました。
たった30mmでずっと乗っていられる。
勿論こうして椅子に座ってブログを書いているけれどお尻は全く問題なし。
座っているのが苦痛になると、せっかくのツーリングであっちにも寄ってみよう、こっちにも寄ってみようという気持ちが無くなってしまいます。
久しぶりに自分の中で大ヒットの結果だったので、連休はずっとシートと遊んでいました。
まったくもって自画自賛のひどいブログだと思われても仕方ないですが、20年以上自画自賛でシート開発してきたのでこれでいいと思っています。

今回の実験で、この薄さのシートだと衝撃吸収材T-NETよりもライトハニカムのほうが良かったです。底つき感の無さと、オリジナルウレタンとライトハニカムとの複合で単純に沈み込むだけではなく、底つき一歩手前の柔らかなクッション性の維持があるためだと思います。
T-NETがもう古い素材というわけではなく、ある程度ウレタンの厚みがあるシートではT-NETのほうが良いと思います。

なので、今後はライトハニカムとT-NETの両方で、お客様の改造の内容に合わせたご提案をしていけれたらと思います。
お気軽にお問い合わせください。

開発には終わりがないので、また次の素材を探しながら進んでいきたいと思います。