Vegas to Reno Race 優勝!

アメリカで行われたベガスtoリノでHRCのリッキーブラベックが優勝。

今年はコロナで各地のレースは殆どが中止で、ラリーも同じように開催されていません。ダカール前哨戦のモロッコラリーも無くなってしまいました。

そんな中で開催されたベガスToリノでダカールの覇者リッキーブラベックが優勝したのは嬉しいです。
開催のギリギリで製作したリッキー専用のシートも活躍してくれたようです。
サポートピットでは当社の製品も多く使われていて嬉しい限り。
スペアのタイヤを運ぶバッグ。ディスクを痛めたり、スプロケで何かを傷つけたりしないように補強が入っています。
工具巻きもしっかりセットされています。

こういう挑発と言うかジョークは好きです。
速くないとできませんけどね。

リッキーブラベックの周りには、今年のダカールのチーフメカニックやバハのレジェンドのジョニーキャンベル、更にはケンドルノーマン ジミールイスとそうそうたるメンバーが裏方で支えています。とても素晴らしいチームだと思います。

ダカールが開催されるのか、まだ不透明ではありますが2連覇に向けて弾みが付けばいいなと思います。

 

 

快適なバイクシートについて毎日考えてます。

お尻が痛い、とにかく痛い、乗り始めて直ぐに痛くなる、痛くて乗ってられない!
「でもバイクに乗りたい!」
という相談をノグチシートだけではなく、全国のシート屋さんは受けてられると思います。

その解決方法はシート屋さんそれぞれの考えがあり、これが一番というものは無いと私は思っています。
しかし、やはりやるからには、シート屋で一番を目指して痛みや疲労軽減を目指してやっています。

自分にとっての快適なシートを作る自信はあります。
ツーリングに出かけたり、ラリーに参戦したときにお尻が痛くてライディングに集中できないとか、レースどころではないお尻の痛み、なんてのはごめんだからです。
自分の好みがしっかり分かっているのと、体形と車格とシートのバランスをとることは自分のものであれば、ほぼ間違いなく快適なものを作ることができます。
お客様に提案するシートの基本はこれです。
「自分が良かったものを提案」することは一番大事なことだと思います。
だから時間さえあればバイクに乗ってシートについて考えています。

先日、お客様からこのようなメールをいただきました
”貴社から受領しましたシートで梅雨明け後2回(180kmと210km走行)程乗車しましたが、過去に貴社で張替えして頂きました2台のシートでは臀部の痛みはほとんど発生しなかったのですが、今回は以前よりシート表面が硬い感じがして張替え前の純正と比較してあまりコンフォート性に関しては大差がありませんでした。”

ご注文をいただいて加工をしましたが、良い結果が得られなかったことは残念なことではありますが、以前に加工させていただいた材料や加工方法と変わっており、また日々進化している加工方法や材料を取り入れて、私が現在一番良いと思うものをお客様にご提案しています。なので、昔の材料と加工方法はもう使うことがないので昔良かったのに今のはこのお客様に合わなかったという結果になることも予測はできます。
「私が今一番良いと思うもの」がノグチシートの方針ですが、良いと思う基準は自ら長距離を乗り、競技に参加し、更には様々なライダーの意見をまとめた結果なので、こうした意見をいただいてしまうことは仕方がないことではありますが、ご満足いただけなかったという意見については今後のシートつくりの参考にさせていただきます。

参考までに、こういった意見もいただいております。
・・・始めは、このシートの固さで衝撃は・・・?と思いましたが
いつも、ガツンとくる衝撃を食らう道路でもかなりソフトになりました。
シート高さもちょうど良くスエードも滑らず、ガシッとして大変良い感じでした
・・・・

今年優勝したHRCのダカールマシンのシートも、一般のお客様のシートも材料から作り方まで中身は同じです。ダカールラリーのシートは、プロライダーがミリ単位の形状オーダーを出して来て、カバーのグリップ力、ウレタンの硬度など、それはシビアな要求をされます。初めてシートをオーダーされる方に、それらすべてを決めてもらうのは難しいと思います。
なので、ノグチシートは快適なライディングの為に衝撃吸収材T-NETとオリジナルウレタンの組み合わせを提案しています。現在、これ以外には提案する素材がありません。
これを使用してシートの角度、幅、高さ、内股への干渉部分などの形状変更とカバー素材の選択を経て加工していきます。

快適なシートには、足つきが改善されただけでも良い場合もあるし、全てが衝撃吸収材T-NETの挿入だけではないですが、なぜそこまでノグチシートはオリジナル素材の衝撃吸収材T-NETを推すのか、これの効果について今回は説明したいと思います。
ここまで偉そうに語っておいて手描きのイラストですみません。
それと、これからの説明は私の独自解釈なので、医学的に間違ってるとか、それはノグチの感覚がおかしくないかと様々な意見があるかと思いますが、言われると凹みますので鼻で笑う程度にしてください。
さて、先ずこの絵。硬いシートに座った状態を表しています。先のブログでも書きましたが、正座して足が痛くなってしびれてくるあの状況に近いです。
体重とクッションの反発でお肉が潰れて荷重が座骨や尾骨に1点集中しています。
硬いクッションはシート上で動きが激しいレーサーなどでは有効ですが、長距離のシッティング姿勢が多いとなるとよほど硬めが好みの人ではない限りお尻にしびれや痛みが出てしまいます。
バイクに乗り始めた頃やシート改造を始めた頃、シートは硬いほうがいいという話を聞きました。この場合の硬いシートとは、跨った時に硬く感じて、長時間乗った時でも底付きしない程度の厚みと弾力を維持していると解釈しています。ここで書いた硬いシートとは、とにかく板のように硬いままのシートを指します。

これは乗った瞬間に柔らかいと感じるウレタンや低反発ウレタンに座った状態です。乗った瞬間はお尻を包む感じがして、その感触からなにか楽そうに感じて痛みなんて出ないのではないかと錯覚します。
本当にそのまま一日痛みもなく走り続けられればOKなのですが、私の場合はこれらのウレタンやゲルを使用した場合、特に今の季節ウレタンやゲルは熱を持ちやすいのと、沈み込みが乗り始めから比べるとかなり深くなり、深くなった部分の反発だけ強いものになって硬いウレタンと同じように骨の部分の肉が圧迫されたり、場合によっては底付きして圧迫が強くなり、お尻が痛くなります。更に沈むことで周りの肉も圧迫されて痺れてきます。それと、柔らかいシートは運転中もフワフワして落ち着きがなく快適な走行には向かないと思います。

衝撃吸収材T-NETとオリジナルウレタンの組み合わせの場合、座った瞬間は硬く感じます。しかし、ライディング中のシート温度の上昇によって表面のウレタンは柔らかくなって沈みますが、その下に衝撃吸収材T-NETがあるため沈んだ圧力を分散し、10mmの厚みのT-NETですがウレタンのように潰れ切ってしまうことがありません。
また、T-NETはウレタンで挟む工法を取っていますが、T-NETの底になる部分のウレタンは乗車して沈み込んできたT-NETに対して反発をしますが、その反発もT-NETが分散してくれます。
なので、絵に描いたようにお尻の肉が潰れない。わけではなく、多分潰れてはいるけれど潰れていない、そんな感覚に私はなります。低反発ウレタンのような包み込む感触はないけれど、お尻全面で支えてる感じです。
座った感触はウレタンが反発するばねのような感触はなく、硬い綿の座布団に座った感触。分厚いフェルトの上に座った感じ。沈まないけど体圧が分散されてる感じです。硬いけど全体が支えられているというのが重要だと思っています。
沈まないというのは結構重要で、特にアンコ盛りをした場合などは盛った分だけの効果は必ず欲しいのです。見た目の高さではなく乗った時の高さ。
これはダカールライダーからも同じ要望があり、10mm上げて欲しいと言われれば寸法上ウレタンを10mm上げるだけではなく、10mmの体感が必要なのです。
これを硬いだけのウレタンで作れば簡単なんですが、それでは硬くて乗ってられないシートになってしまう。結果として衝撃吸収材T-NETとの複合が今のところのベストとなるわけです。これがダカールスペックと呼んでいるウレタン構成です。

色々と述べましたが、まだまだシートには不満があります。不満が無いと進歩もありません。全ての皆様に快適なシートをと言いたいところですが、まだまだそこに至るにはどれだけかかるか分からないです。
ただの自己満足の押し付けではなく、きちんとしたデータと実績に基づいたシートのご提案が基本だと思っています。それが私が一番好きなシートとなるわけです。
「快適なシート」はシート屋にとって永遠のテーマなので、作って自分で乗っての繰り返しです。
来月にはいよいよハンターカブが納車されるので、既に製作してあるシートを試すのが楽しみです。
大型バイクとは違った何かが、自分で乗ることで色々見えてくるかと思います。とにかくいつでも新しい発見に飢えているのできりがありません。

シート改造をしたいなと考えているなら遠慮なく問い合わせください。
現状のシートの不満に対する改造プランを、お客様にご理解いただける言葉で提案させていただきます。

 

 

NC700Xでお出かけ

旅用にNC700Xを手に入れて、旅用のシートを作り、1泊2日でお出かけしてきました。
シートのテストは目的の一つなんですが、やはり出かけるなら普段見ないものや、美味しいものが食べたいので基本的には遊びです。
先ずは鳴門海峡大橋まで一気に走り、今日の目的地大塚国際美術館へ。原寸の陶板複製画と聞くと「どうせ偽物でしょ?」という人が一人や二人ではないと思います。まぁ一度行って観ると良いです。私にとっては素晴らしいの一言でした。
名だたる名画がこれでもかと原寸で展示されていてガイドを聞きながら観ていたらあっという間に4時間経っていました。
これらの絵画を見て、世界中の美術館へ本物も見に行きたくなりました。
さて、次の目的地は決めていなかったので、徳島から西に向かうことにしました。
ナビは付けていないので、頭の中にある適当な地図と昔の記憶で走ります。
剣山の林道って今は全線舗装って聞いたし、あの国道439も久しぶりに走ってみるかと思っているうちに、目の前の空がどんよりと言うか既に降り始めたので、予定変更でホテルを取った丸亀にショートカットの進路変更。
ナビがあればこんなことも無かったんだろうけど、四国の山の中は昔のままでした。
クネクネクネクネして分岐だらけでなかなか抜け出せられない。そして雨・・。
たまに携帯を出して地図検索をするが電波が・・・
ありがたいのはNC700Xの燃費の良さ。1L/30KMは行くので、ガソリンが十分に入ったタンクなら山の中でどれだけ走っても、落ちない限り行き倒れることはありません。
ホテルの気持ちのいい大浴場で汗を流し、近くの居酒屋で美味しい御飯。
一人旅は好きなんだけど、食事の時は誰かと喋って食べたいもんです。一人黙々と食べてると、お酒も急ピッチで飲んでしまうためあまり楽しめません。結局1時間ほど飲んで終了。
いつものごとく早起きして携帯をいじってると「そこにいるなら、こんぴらさん行っとくでしょう」とメールが。
暑いし、着替えもないし、と思いつつ他に用事もないので結局いつもの朝練のごとく階段上り開始。
7時前だったので人も少なく、バイクなので適当な隙間に駐車できたし、来てよかった風景を眺めることができました。
しかし、すきっ腹にはきつかったです。
なので、とりあえず下りて開いていたうどん屋さんで冷たいのを1杯
これでは終われないので次のお店に
なんかすごい人気店のようで、オープン前にお店に着いたので2番目にお店の前に並んだのですが、オープン時には50人は待ってたと思います。ここも美味しかったです。
食べ終わってから次はどうしようかと近場を走っては見たものの、特に当てもないので高速に乗って瀬戸大橋。
しかし、暑い。暑すぎる。高速で風を受けていても全く涼しさは無く、それどころか照り付ける太陽を浴びて汗が止まらない。
暑さで頭がぼーっとして、高速道路の分岐間違えてとんでもない大回りしたり、ここ最近何度か熱中症をやらかしてるので、頻繁に水分を取って休憩しました。
滋賀あたりまで来た時にもう我慢できなくて高速を降り山道を通って帰宅することに。
ちょっと林道も走って見たくて荒れていないフラットな林道走ってみたけど全然問題なし。山の中は多少涼しくて気持ち良かったです。
普段はあまり食べない甘いものですが今日はOK 抹茶アイス美味しかった。
暑かったけど、美味しくて、良いものが見れた2日間でした。

2日間で約1,300kmほど走って、大半は高速道路の移動だけど、お尻に違和感覚えるのって高速を同じ姿勢で長時間走っている時に感じることが多いです。
もちろんそれだけではないのですが、同じ姿勢で体重移動も無いというのは、正座して長時間先輩の説教かお経を聞いているのと似ていると思うんです。足が徐々に痛くなってきて、痺れて、みたいな感覚です。正座の場合はしびれないように、お尻の下に入れる小さな台みたいなものが売ってたりしますが、シートの場合はそうはいきません。座布団を置くというのも一つですが、私はそれが好きではないのでシートで解決したいと常々考えています。
今回作った自分の好みの硬さと体形に合わせたシートは、痛みの不満もなく、ウルトラスエードのカバーは蒸れが皆無で快適でした。
いつもお前は自分のシートは快適と言ってるが、やせ我慢も入ってるんじゃないの?と言われるのは仕方が無いとして、快適さを売りにしている以上、やせ我慢をお客様に押しつけるほど神経が図太くありません。
基本的にノグチシートは私がいろんなところを走って得た経験をもとに、私が良いと思うシートをご提案しています。
今まで私が好きなクッションの特性などが言葉や絵にできなかったので、どうしたものかと今回走りながら考えていました。
それなりに説明ができそうな感じなので、近いうちにブログで説明したいと思います。

 

NC700Xのシート

ノーマルシートで100kmほど走って、シートをどうしたいのか決まりました。
自分のシートなので、結論は早いです。
GSほどの車格ではないので、多少の窮屈さはシート改造をしても無理なのは分かります。
以前、セローのシートの取材を受けた時にライターさんから「自分の体格(185/75)に合わせるためにセローのシートをどうしますか?」と聞かれた。
「たぶん合わせられないので、見た目にカッコいレベルでアンコ盛りをするくらいです」と答えた記憶です。
車格にあったちょうど良いシート形状のレベルを超えてしまうと、かっこよさが無くなってしまうと思うので、ちょうど良い範囲で出来る限りのことができればと思います。
タンデムシートの後端がリアフェンダーと面一はかっこいいし、ダミータンクからシートへ流れるラインもノーマルでカッコいいのですが、使い込まれたビニールレザーは滑るし、ライダーシートの傾斜はもう少し緩くしたい。シートの幅は問題ないけれどやはりもう少し高さが欲しい。
そして、タンデムシートをより快適に。
仮合わせ。実車があると、自分自身にあーだこーだ言いながら進められるので作業は楽です。ウレタンの仕様は前後ともダカールスペックです。衝撃吸収材T-NET+ミディアムウレタンの積層です。

沢山ウレタンを盛る場合、ぼってりした感じを極力出したくないのでシートの側面にエッジを立てるなど、できるだけメリハリを付けます。
もちろん角が内股に干渉して違和感を感じては意味がないので、それはいろいろ考えながら形を作っていきます。
ビフォーアフターです。リアが20mm フロントが20-30mm盛っています。
リアキャリアが付いているので、このキャリアと面一にした感じです。
写真で見ても、キャリアのおかげでタンデムシートの大きさはそれほど気にならないです。シートはボリュームアップしたけれど、それほどシートの主張もなく綺麗に収まったと思います。
形状は申し分ないんです。作る前から結果が見えているので心配はしていませんでした。
問題はいつも新しく挑戦するとやらかしてしまう「配色」です。
今回はいかがでしょうか。
ウルトラスエード(アルカンターラ)のBKとCB(パンチング)の組み合わせです。今回の色のテーマは落ち着いた大人な感じ。車体色が赤なので、イタリアンな組み合わせでよく見る「赤いボディにタンのインテリア」的な感じを狙ってもいいかなと思ったのですが、明るい色のウルトラスエードだと汚れも気になるので、もう少し濃い色とCBのこげ茶を選択。
黒や赤/黒のカバーは間違いは無いと思うのですが、今回の組み合わせはより高級感が出たのではないかと勝手に思っています。
こういった組み合わせも有りかな。と、今後張替えをされるお客様の参考になればありがたいです。

アクセントに刺繍でNC700Xのロゴを生地と同じようなトーンでいれました。
ちなみにCBのパンチングは今回特別に作ったものなので、(通常のパンチングは黒、ダークグレー、赤の3種類だけです)在庫はあと数台分です。気になる方は早めに問い合わせください。

シート改造で難しいのは形状を大きく変更した時の効果です。
正直、跨っただけでは分かりません。ある程度の予想はつきますが、やはり数百キロ乗って結果が分かります。シートの色も同じで、車体の色との組み合わせを頭の中で想像したよりも良かった場合は良いのですが、いざ付けてみたら何か違和感がという場合もあります。
その為に、シート屋として様々な組み合わせのウレタン改造を試し、時には失敗する色合わせや切り替えを重ね、自らが体験したその効果などをお客様に分かりやすく伝えて、出来るだけお客様の求めるシートが理想に近づけばいいなと思っています。

さぁこれで準備が整ったので、お盆休みはどこに出かけようかな。
とは言え、後少しの期間でこのコロナのもやもやは消えてないだろうから、いろんなプランを考えてみよう。