野口シートの作り方 How to make comfortable seat.

シート改造はカバーに包まれた中身を見ることができないので、ウレタンにはどんな仕事をしているのか気になるところだと思います。
なので、今回は当社の一般的な改造例として衝撃吸収材T-NETを挿入する工程をお見せします。
いいの?全部見せても!と思われるでしょうが、そこはあれ、少々割愛してます^^ご了承ください。
オーダーされるお客様の安心のためにも、何をどうしているのか、見えない部分を少しお見せします。
P7260303

さて、今回のベース車両はXL250S。30年ほど経過したバイクです。ウレタンも経年変化でへたったり、加水分解している可能性があります。社員が購入したので、試して見たいこともあるので写真を撮りながら加工していくことにしました。

 

P7260304カバーは何度か張替されたようで、エンボス地のビニールレザーで張り込まれていました。この時点で、カバーの上から触ってウレタンサイドに割れがないか、シート裏側から見て腐食の進行などを確認します。

 

 

P7260307

 

カバーを留めているタッカー針を一本ずつ抜いていきます。こうしてみると、表にはシワはありませんが、裏側は苦労して取ったシワが寄っています。見えない場所なので問題はないのですが、当社では裏側も 表 同様極力シワのない張り込みを心がけています。

 

P7260308

オフロード車に限らずシートベースは汚れているので必ず洗浄します。
洗浄することで、シートベースのクラックや変形、その他不具合などが無いかを確認します。

 

P7260309
ウレタンの確認をします。今回、年数が経っている割には状態がいいウレタンです。紫外線によって焼けている部分もありますが、保管状態が良かったようでウレタンの腐食はありません。
*ウレタンの状態の悪いものなどは、加工ができない場合があります。

P7260310

 

シートベースのバリなどを取り、ウレタンとシートベースをしっかり全面接着します。しっかり接着をすることで耐久性も上がります。

 

 

P7260311

 

衝撃吸収材T-NETを入れるために上層部を削り取ります。T-NETの挿入位置などはシート形状やシートウレタンの硬さによってその都度変えます。低くしたい場合や高くしたい場合などは、この工程で高さの調整をします。

 

P7260312

 

T-NETを貼り付けます。T-NETを貼り付ける前に1工程あるのですが、そこは割愛。(ごめんなさい内緒です)貼り付けたT-NETの全周は全てテーパー状になっており、ウレタンとの接着面で起きる違和感がないようにしております。この方法はすべての積層するクッション材に行なっています。

P7260313

貼り付けたT-NETの上に野口シートオリジナルウレタンを積層していきます。ここでも、オリジナルウレタンを接着する前にT-NETのにある加工をするのですが、ここも割愛です。こうして積層するオリジナルウレタンですが、T-NETの上に何mm積層するかで感触も変わってきます。何mm乗せるかはお客様の好みもありますし、シートの形状によっても変化します。このウレタンの接着も当たり前ですが端面はテーパー状になっております。違和感のない接着面も当然ながら、接着面からの割れを防ぐためにもテーパー加工は必要だと当社では考えています。

さらに、この段階でシートカバーを張り込んでも表面に接着面の凸凹や、各Rや座面の均一さなどの不具合がないようにしっかりと削り込みをして仕上げておきます。
この後に張り込みをする防水コートは厚さが1mmしかなく弾力もあるのでいい加減な表面仕上げだと、全てそれがカバーを通して外に見えてしまうのです。
柔らかいウレタンで全体を覆えば凸凹を消してくれますが、触ったときに一瞬フワッとするその感触が私が嫌いなので当社ではしていません。

P7260314

そして最後にシート全面に防水加工です。
ウレタン全面に完全に接着をします。
厚みが1mmの防水ウレタンです。伸び率が高く防水性もあり、摩擦にも強いので縫製部分との擦れによる削れもありません。車種によってはシートベースに少し加工をする必要がある防水コートですが、その加工も言われなければわからないレベルの加工なので心配はございません。この加工は当社で行う全ての加工(張替のみの場合でも)に含まれています。エクセーヌやアルカンターラで張り込みをしても、カバーに保水はしますがウレタンにこうした加工がしてあるので、いつまでも濡れて困るということがありません。またこの加工を施すことでウレタンの耐久性も上がり、ヘタリの防止に繋がります。

P7260315
そして張り込みです。タッカー針はきちんと並べて打つのは当然のことなのですが、しっかり打ち込まれているかも重要なのです。カバーを留める針はコの字をしたホチキスの大きなものです。コの字のコ←この部分がしっかりとカバーを押えていないと、針の足だけでカバーを留めることになってしまいます。なので、単純に針を打つだけではなく、当社では特殊な方法で針がしっかりとカバーを留めるようにしています。カバーをとめる方法はブラインドリベットであったり、接着剤のみの場合もあります。そうした場合でも、シワの出にくいしっかりとした張りでカバーを留めております。
P7260318これでシートサイドにXLのロゴを入れたら完成です。

途中お見せできない部分が何箇所かあり失礼しました。
とにかくシートのことを毎日毎日考えているので常に新しく、且つそれがよりよいものになる加工となるように工夫し、皆様により良い製品をお届けできるようにしたいと思います。