アフリカツインのシート ローダウン CRF1000 AfricaTwin

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シート改造の問い合わせも増えてきたアフリカツイン。
やはり、多いのがローダウンの相談です。
ローシートもオプションであるけれど、乗り心地も重視したいからクッション性も確保しつつ足つきも何とかしたい。お客様もその要望が相反する事と承知の上なんだけどね、と、ご相談を受けるので、当社としてもできる限りのことはしたいと思います。

前回のブログでは標準シートとローシートの寸法的な違いを書きました。

シート改造の方法はたくさんあるので何がベストなのかは、お客様それぞれだと思います。

例えば、標準シートのシートカバーはそのまま流用してローダウンしたいなら、カバーが再利用できる範囲(だいたい20mm)まで下げて、幅も詰める。これだけでもずいぶん変わると思います。

張替もするのであればオプションのローシートを購入して衝撃吸収材T-NETを挿入しつつ、ちょうどいいレベルまでシートを上げていくというのも有りかと思います。

今回はちょうど標準シートのローダウンの依頼がありましたのでご紹介します。

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シートを置いた角度が悪いので改造したシートの前部が分厚く見えますが、この部分は変わっていません。この写真はローシートとの高さの比較写真です。
着座部の厚みはローシートより30mm程度厚くなっています。しかし、シートの前部はローシートより少し高いレベルです。

IMG_1395標準シートとの比較写真です。着座部は厚みをあまり変えず、前部を少し落としました。

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幅に関しては、着座部の幅は標準シートの幅を維持して、ライディング中おしりが乗らない前部を思い切って絞ってあります。

お客様からは「太もものところがすっきりして足つきが良くなった」と評価をいただきました。

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この角度から見るとサイドをシェイプしてできた、くびれが良く分かると思います。

IMGA0691装着写真です。

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足着き性と足の出しやすさは同時に考えるべきだと思います。

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今回、張替に使用したビニールレザーはB-33です。純正のカバー地とは違いますが、艶の具合や純正のサイド部分と似ていることもあり、純正カバーのタンデムと合わせても、あまり違和感がなくて良かったです。

これも改造の一例なので、この記事がお客様の参考になれば幸いです

まだまだこれからいろんな改造例が出てくると思いますので、その時はまた紹介させていただきます。

 

 

 

 

 

かわいいシート HONDA Super-Cub 

木彫りアーティストのムラバヤシケンジさんからの依頼。
ムラバヤシさんとの付き合いは古いんだけど、最後にあったのは、もう何年前だろう。
そう言えば2年ほど前にFBにアップした僕の工具巻きを見て、彫刻刀巻を作ってほしいと言われて作ったなぁ。

今回は東京スマートドライバー名古屋版のお手伝いをムラバヤシさんがするということで、それに使用するスーパーカブのシートを作ってもらえないだろうか。という内容だった。
黒で張り替えてください。と言われたけれど、完成イメージを見せられたら黒のままでは地味かなと思い「キャラでも刺しゅうする?」「いいっすねぇ」ということで製作開始。

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これが完成イメージ。ムラバヤシワールド炸裂です。

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これがキャラクターたち。よく見ると・・エビフライ・・手羽先・・名古屋名物てんこ盛りです。

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早速イラストをデータ化して仮刺しゅう。これでは大きすぎるということで、可能な限り小さくして、糸の色も金糸を車体色のショッキングピンクに変えて再度刺しゅう。規則的に並べて遠くから見ると一つの模様に見えるように。

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YouTube Preview Image

こうして並べるとなかなかいい感じ。

同時に車体のほうも作業が進んでいるようです。
ムラバヤシさんのタイムラインから写真拝借。
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外されたシートは当社に届きました。

そして

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どーーん!
なんとも、どう説明していいやら。
社員はこれを見て「社長、このシートはいったい・・」って・・
シートのコンセプトを説明しないとわからないよね。
黒のウルトラスエードにショッキングピンクの刺繍とパイピングで、実物はもっとインパクトあります。

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エビフライ、味噌煮込み、手羽先、味噌カツ、金のしゃちほこ、あとは何だろう。

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車体に装着した時にどんな感じになるか楽しみです。

 

 

アフリカツインのシート CRF1000 AfricaTwin

アフリカツインは2月に発売されて、当初の年間販売目標1000台としていたものが、発売1週間で1000台の予約を越えたそうです。
久しぶりのヒットと言うとHONDAさんに失礼かと思いますが、これだけ話題になって、売れるというのはなんかうれしい物です。

前回のブログでシートを手に入れたと書きましたが、シートだけでは眺めるだけでいまいち改造の方向やお客様への提案がしにくい。
とりあえず乗ってみないと始まりません。
で、ほんの少しですが跨って乗る機会がありましたので、それをもとに改造を進めていきたいと思います。

跨ったのは標準シートでした。私の身長は185あるので正直足つきに不安がないし、標準よりもハイシートを付けたいと思ったくらいです。

しかし、当社の依頼の中でも、わりと多いローダウン加工を考えるとオプションのローシートで満足しないお客様に対して何か提案できないかという方向で考えていきたいと思います。

改造には様々な方法があります。衝撃吸収材T-NETを挿入したり、ウレタンをハードタイプやミディアムタイプに変えたり。シートの角度や幅も・・。その組み合わせはたくさんあります。時には矛盾してしまう要望に対して、良い提案ができるようにしていきたいと思います。
IMG_1351さて、標準とローシートをばらしていきます。

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カバーをはがしてレーザーでセンターラインを入れます。

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左がローシートです。
シートの幅と高さを調べてみました。
写真の数値を見てもらうとわかりますが、高さに関してはシートの中央部で標準より30mm低くなっています。
しかし、シートの幅は標準よりも全体的に約20mm広いです。
角のRはローシートも標準シートも同じです。
ウレタンの硬さは標準シートのほうがやわらかいので、シートの角の腿の内側に対する当たりは、ローシートのほうがきつく感じるかなと思います。
内股のしびれを訴えるお客様は多く、このシートの角のRについてはローシートも標準シートも一考の余地がありそうです。
また、30mm低くなっているのに幅が広いため、跨ったときに大げさに言うとガニ股になってしまい足が出しずらいのではと思います。

カタログ数値では30mmローダウンと、その数字に間違いはないのですが、体感する足つき性が30mm分の安心感につながるかは、人それぞれ変わってくと思います。

 

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この丸で囲った部分。裏を見るとこうなってます。
IMG_1361そう、この部分のウレタンの厚みは6mmほどしかありません。ちなみに同じ部分で標準シートは30mm。
シートの真ん中に座れば、この部分は座骨に干渉するところではないのですが、少しずれるとシートベースを感じるレベルです。この部分は対策を考えたいです。

 

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座面の形状ですが、写真は標準シートでスケールを当てると若干バケット形状になっているのが分かります。

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ローシートのほうは、ほぼフラットです。
この部分も好みはありますが、バケット形状が良いか、少し膨らんだラウンド形状が良いか好みが分かれるところです。

なんかローシートの悪いところを書き連ねた感じになってしまいましたが、これは私の目と触った感じの感想です。シート屋は職業柄、既製品はあくまでも素材としか見れないのです。そこはご理解ください。
ローシートは¥15,440という低価格で購入できるのは魅力だと思います。
これに満足できないお客様に対して、ノグチシートはどう提案するか。
ローシートを少し盛って足つきと快適を両立させるか、標準シートを削って同じことを狙うか。
アフリカツインはシートの高さを2段階で20mm高さを変えることができるので、これもシート改造の参考にしたいです。

今日はここまで。
また実車にまたがってみて考えたいと思います。
こんなことを書いている間にも、既にお客様からアフリカツインのシートのご依頼を受けています。
アフリカツインの人気に乗っかって、ノグチシートも今までの経験を生かしたシートを提供したいと思います。

続く

 

アフリカツイン  HONDA Africa Twin

アフリカツインの新型が出ましたね。
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評判もかなり良いみたいで、早く乗ってみたいです。

アフリカツインと言えば私も昔にずいぶんお世話になりました。
1994パリダカの視察だと言って友人とパリに行き、車検を見学してからレンタカーでボルドーへ。
ボルドーではプロローグランを見たんだけど、その時に見た真っ白の倒立フォークを付けたRD07アフリカツイン。ライダーはマニャルディーだったような記憶。これがものすごくかっこよくて、帰国早々に新車を注文。
そして、翌年の1995第一回ラリーレイドモンゴルへ出場するために改造。
IMG_1299タンクを増設し、ナビゲーション機器を設置。サイレンサーとかも自作したなぁ。
もう20年も前のことだけど鮮明に覚えてる。
IMG_1296車検会場では結構目立つマシンでした。
IMG_1298しかし、重量級のマシンは手ごわかったです。写真左がゴビ砂漠で埋まる私です。
いい勉強になりました。
その後マシンは手放してしまったけど、このリアフェンダーだけガレージに飾ってあります。
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そしてアフリカツインと言えば、5大陸をアフリカツインで走破した故戸井十月さん。
4つ目の大陸の南米大陸1周の出発前にシートのオファーを受け製作。
戸井十月 南米大陸一周 (3)戸井十月 南米大陸一周 (11)

南米大陸1周後に「もっと早く頼めばよかったよ」と言ってもらえたのは嬉しい思い出です。
その後、最終5つ目の大陸、ユーラシア大陸も南米で使ったシートのまま使用し、全工程をトラブル無しで終えました。

戸井十月ユーラシア5戸井十月ユーラシア6
さて、昔話はこのくらいにして、新型のアフリカツインにもどります。
まだ乗ったことがないので、装備されているDCTとかとても気になるのですが、やはり一番気になるのはシート。
早く触ってみたい。

ということで、先ずはシートのみですが当社にやってきました。
IMG_1316標準シートの他にローシートとハイシートもやってきました。
IMG_1310標準シートに比べてローシートはかなり低いですね。レポートを読むと標準に比べ-30mmとか。しかもこのシートの価格が¥17,000弱で買えるのも魅力ですね。
ハイシートはヨーロッパ向けですかね。
IMG_1312カバーの張り込みも少し変わってますね。
オフィスチェアなどに見られる張り方で、誰が張っても同じテンションになり張り上りが同じになるようにシートベースにカバーのフックがついてます。これが張りをする人の作業の目印になっています。
IMG_1311ハイ、標準、ローのシートベースに違いはないようです。ウレタンは高さとともに「硬さも」変更してあるのかなと思います。
シートの厚みが薄くなる分、お尻の底つきを防止するために標準より硬めに設定してあるのだと思います。
というか、本家に確認していないのであくまでも私の私見ですけどね。
IMG_1314こうして、ギュゥーって押さえてみた感じだけで書いてます。

ローシートの場合、シートの幅も気になるところです。
IMG_1317見た感じはローシートのほうが幅が広く、低くなったのに足ががに股になって足が出しずらいとなりそうですが、実測するとそれほど幅に違いはなし。
私としては、ローシートのほうはサイドのウレタンに少し余裕があるので、前部を少し細身にして足を出しやすくしたいところです。
同じように標準シートでもそうすることで足が出しやすく停車時の不安も改善されると思います。
IMG_1313シート一つで2つのポジションが選べるということなので、タンデムとの当たり面はシート改造では重要な部分になってきます。
IMG_1315当社としては、HRCのダカールマシンなどに使用した衝撃吸収材T-NETオリジナルウレタン(ミディアムとハードから硬さは選べます)などを使い、より快適なライディングができるアフリカツインのシートのご提案をしたいと思います。

シートはまだ手に入れたばかりで、どう料理しようか思案中なのです。
というか、まだ乗っていないので、乗った感じも含めてどうしようか決めたいと思います。
シートを眺めてるだけでも楽しいのは仕事病ですね。

既にご購入された方も勿論、これから購入される方も足つき性のみならず快適性を含めたシートの相談お待ちしています。

これらのシートが完成しましたら、またブログで報告させていただきます。

 

HONDA S2000 ウルトラスエード(アルカンターラ)張替

S2000を購入してから数年経過して、機械的なところはいろいろ手を入れてリフレッシュしてきたけれど全部人任せ。
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仕事上シートを人任せにするわけにもいかず、せっかくやるなら、あーしてこーしてと考えているうちに時間だけ過ぎてしまった。自分の物っていつも後回しとか適当なものになったりして、その適当にイラついくから結局やらないということが多くなってしまう。
現状シートは写真で見ると破れてもいないしきれいに見えるけど、だいぶやれてます。だって走行距離はもうすぐ120,000kmだし、シートもくたびれるはずです。
そして、そもそも私は本革シートがあまり好きではありません。
夏は蒸れて汗かくし(パンチングレザーでも意味ないです)、冬は冷たい。表面は割れてくるし、硬くなる。それにつるつる滑るのもいただけない。
もちろん本革を否定するつもりはありません。ちゃんと良い物もあります。
とにかくS2000のこれはちょっといただけない。
IMG_1271IMG_1267表面はピカピカと光ってます。
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昨年末に車検も通したし、まだ当分乗るつもりなので、重い腰を上げてS2000張替作業スタート!職人に「俺の車張り替えておいてよ!」なんてブラック会社の社長のようなセルフは吐けないので、今回は腕のいい当社の職人に頼らず代表自らすべての作業をして、職人に褒めてもらおう。たまには錆びついた腕も磨かないといけませんからね。
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ちなみに私の作業場はこんな感じ。工場の一角で日々の作業を邪魔しないように私専用のミシンと刺しゅう機を置かせてもらって作業しています。個室ではないので丸見えです。

IMG_1236これはS2000を購入してすぐにシートの張替え用としてヤフオクで購入してあったS2000のシート。ずっとほったらかしでカビてました。これをバラバラにしてカバーを作ります。
IMG_1240IMG_1243IMG_1248縫製部分を全てほどきます。とても地味な作業です。シートの形に伸びて曲面が出ている部分も平面にならします。ばらしながら縫製の順番や、縫製時の工夫、張り込みの時にハサミを入れた場所などを確認。この作業でずいぶん得るものが多いです。
これが型紙になります。量産する場合は、これをもとに紙で型紙を作り、更には金型で生地を抜いたりします。
外からではそれほど多くないと思う縫製パーツも、シート1脚でパーツは50近くになります。それを全て型通りにハサミで切ります。
生地はもちろんウルトラスエード 座面と背面のセンターはノーマルにならってパンチングのウルトラスエードです。

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背もたれは右左があるためパーツが混ざらないように気を付けます。
いくら気を付けても私は必ずやらかすんです。なので、1枚1枚に名前を書いておきます。
IMG_1247いよいよ縫っていきます。これは縫い合わせる前の下処理です。
IMG_1255ある程度形になってきたら仮張りをします。
ちなみにシートには刺繍を入れません。
刺繍を入れるとその刺繍に目が行き粗を隠すことができるのですが、今回はあえて粗が目立ってしまういばらの道を選んでみました。(イマオモウトイレテオケバヨカッタ)

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しっかりと型が取れて、型通りの縫製ができていれば軽くかぶせただけで仕上がりが容易に想像できます。

いくら張り込みの技術が高くても、下手な型取りと縫製したものは仕上がりがいまいちになってしまいます。すべての技術が高くてやっと一流品と呼べるんだーーーーと、いつも言っている手前、叱られないようにものすごく時間をかけて作業を進めています。

と、こうした作業をしている時に「社長、来週から新しいパートさんが来るから、新しいエプロンに刺繍を入れてくださいな」と言われて、自分の作業よりも会社のことが優先なので、はいはい今すぐにとシートの手を止め刺繍。
IMG_1252IMG_1253新しい刺しゅう機もだいぶ私になじんできました。用事が終われば私の自由時間です。 さて作業に戻ります。

古いシートはカバーだけではなくウレタンも劣化しています。
IMG_1259乗り降りするときに潰してしまうところのウレタンです。
グズグズです。こんなふうになってしまったウレタンにいくら糊を付けてもウレタンどうしがくっつきません。なので、死んでいる部分を根こそぎ切り落とし、生きている部分に新しいウレタンを乗せて成形します。
IMG_1260IMG_1261これで大丈夫。

さて、すべての部品を縫い合わせてカバーが完成し、ウレタンの補修もできたので張り込みに入ります。

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最近はあまり使われなくなったCリング。この年代の車だとまだまだたくさん使われています。この機械がないと張り込みは厳しいかな。
IMG_1273張ってはみたものの・・

うーーーん。

うーーーん

細かい皺が取れない・・。

チラチラと横で見ていた、釣り名人の職人が一言、これは社長の縫製が下手だな・・。

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結局、職人は自分の作業の手を止めてお手伝い。忙しいのにすみません。

IMG_1276あーしておけばよかった、こうするべきだったと言いながら張り込みは完成。やはり職人、私の縫製をカバーする張り込みでパリッと仕上げてくれました。
と思ったけど
IMG_1280隙間が空いてるし。私たちの仕事は” 張り ” であり ” 貼り ”ではありません。
しっかり張って、皺無くパリッと仕上げるのが基本です。
しかし、引っ張りすぎてウレタンをつぶしすぎるとこうしたことが起きます。
IMG_1281よし!
IMG_1283おおおおおお!!!!
いいぞ!思った通りにいい!

車に乗せて走ってみたいのでさっそく取り付け
IMG_1287くぅーーーー
たまらん。
赤かっこいい!
シートの形状は変わっていないのに、ホールド感が増した感じがするのはウルトラスエードのおかげだろうな。
IMG_1286ちょっと引きで撮ってみた。こうなるとドアパネルも同じ素材で張りたくなるな。
IMG_1289当たり前だけど、隙間を直しておいてよかった。ヘッドレストのバックパネルもいい感じで収まっている。
IMG_1288粗が見えるのでアップは苦手だけど、プロが見てどうのこうのいうレベルなので問題ないでしょう。
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そして

IMG_1348ドアも張替え
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やはり、シートとドアの素材が同じだとさらにいいね。
張り替えて良かったーーー。自己満足は大事なのだ。
IMG_1290もちろんシートの張替えは随時受け付けます。
他の車種も可能です。
是非お問い合わせください。