ビニールレザー新色追加のお知らせ

ビニールレザーに新色(正確には表面模様の新しいタイプ)が加わりましたのでお知らせです。

メーカー試作分であったりデッドストック品であったりするため、入荷した分で売り切りとなります。このようなものですが、バイク用のシートカバーに適した非発砲レザーであり、全方向に延びる基布を使っているため性能は一般的な家具用ビニールレザーの数倍の耐久性があります。
過去に詳しく書いたものがあるの参照ください


B-58とB-61の表面模様(以後、シボと呼びます)はほぼ同じで、30番程度のサンドペーパーのようなざらつきがあるのでグリップ力は高いです。
2つの違いは厚みです。形状がシンプルなオフロードにはB-58 立体的な形状にフィットさせるには若干薄めのB-61が良いかと思います。
このタイプは人気で以前B-46という品番で出していましたが使い切ってしまい、しばらくお問い合わせに対して断らなければいけない状態でした。
座面にB-46を使用したCT125のシートです。
私のR100RSの側面に使用したB-46(廃番)とB-58の比較写真です。
こうして見るとほぼ同じですね。

B-59のシボは一般的な皮シボです。色はホンダのピンクレッドです。

B-60はB-58 B-61と同じシボです。色は現行のヤマハのブルーです。
現行アフリカツインの青としても合う色かと思います。

B-62はB-41 B-42 B-43と同じシボで、色はシルバーです。
セローの側面などに合わせるのもよいかと思います。


こうして並べると新しいビニールレザーの色が比較できるかと思います。
WEBではすべてのビニールレザーが載せてありますのでそちらも張替えの参考にしていただければ幸いです。

先に書きましたが、WEBに載っていても廃番となっているものがありますのでご了承願います。

 

 

MOTO GUZZI1000 シート張替え

モトグッチ1000のシートの張替え依頼をいただきました。

お客様の要望は
1.添付の1000Sシート①の様にMOTO GUZZIプリント希望
2.純正シートの形状・デザインをとても気に入っているのでそれを可能な範囲で再現して欲しい。タンクからシートにかけてのラインやステッチ及びタックロールなど。
3.ノグチロゴは織ネームロゴ希望

ビニールレザーに関しては同じものがないので近いもので張替えとなりました。


出来栄えの評価はお客様が決めるものですが、わりといい感じにノーマルに近い張替えを再現できたと思います。
今回の張替えで一つ勉強になったのはモトグッチのロゴが年代で違うということ。

今回プリントしたものは1976-1994のロゴです。
最新のロゴは初期のロゴとほぼ同じですね。
こういう発見があるのも楽しいです。

こうした旧車のシートも承っております。

 

 

 

シートの防水 タックロール、ダイヤキルトの防水

 

先日、当社で加工されたシートをお使いのお客様から、製作後約60,000km使用したし、先日雨の中を走って水が入ってしまったようだから、一度メンテナンスもかねて見て貰いたいというご依頼を受けました。
結論から言えば、60,000km走行したシートの防水は全く問題なく、シートウレタンの形状にも変化はなく、すべて正常でした。
お客様が言われる水が入った状態は、タックロールのウレタンに入った水でした。

例えば、このシートのダイヤキルトや

このタックロールも以下のような構成になっています。
シートカバーにこのような装飾を施す場合には、ウレタンを挟んで凸凹を付けます。ウレタンの厚みによって凸凹の高さを調節しています。
シートウレタンにはEVAの薄いシートを全面接着していますので、雨の中を走ってもシートウレタンに水が入ることはありません。
しかし、縫製によってタックロールやダイヤキルトを施したシートカバーは、その縫製部分から水が浸入し装飾用のウレタンに保水します。
と言っても、いつまでも染み出てくる量ではないのですが、気になる方はこのタックロールを高周波ウエルダーで溶着することで解消できます。
このようにミシンで模様を付けずに熱でウレタンを圧着するので水の侵入はありません。

ウルトラスエードの場合は生地自体が保水するため、タックロールをウエルダーで行っても結果は同じです。
こうした装飾はミシンの糸目の美しさや、ウエルダーであればフラットバーの模様などで見た目が大きく変わってきます。

最初に戻ります。
届いたシートのカバーを外してみました。
防水のEVAは60,000km走行後も一か所のはがれも浮きもなく、しっかり密着しています。部分的なへたりも見受けられません。
カバーも縫製のほつれは当然なく、タックロール以外の部分には水の侵入がほとんどないこともわかります。ただし、中央の黒いタックロール部分はミシン目から浸みこんだ水分で少し濡れています。
これは、はがさなくてもそのまま放っておけばやがて乾燥するレベルです。
乾燥後に再度張り込み。

先ほど書いたように60,000km走ってこのレベルなので、水の侵入を考えるより自由にお気に入りのデザインを希望していただいたほうが良いかと思います。

いろんなデザインのシートがここでご覧いただけます。
ノグチシートのインスタ

 

 

フローティングターンがしたい!シートのアンコ抜き。

少し前のことですが「フローティングターンをマスターしたいけれど、そもそも軸足が地面に届かないからお話にならない」という相談を受けました。
ちなみにフローティングターンは下のyoutubeで観るようなやつで、オフロードバイクで山の中で遊んでいるときにこれが使えるとかっこよく見えるし、実際かっこよく上手い人の称号が貰えます。


マシンはKTM150XC-W 2017
依頼人の身長は 157cm
シートのみでどこまで足つき性を向上させることができるかなので、車体の写真を眺めるけど絶望的に厚みがない。どうしたものかと悩む。

単純な考えで「じゃぁシートのウレタンを取っ払うレベルまで下げたら良いのでは?」と思われがちですが、それをやるとどうなるか。
これはノーマルの状態で跨ったもの。
ギリギリ片方のつま先は地面に着くが、腰の位置は中心からずれてしまっている。
ウレタンをシートベース付近まで削ってしまうと、目線は低くなるけれどシートの幅がノーマルよりも広くなってしまい、股間が開いてしまいます。
左の図はシートベースまであんこ抜きをした図と想像してください。
右の図の赤いラインがウレタンを残したままサイドをシェイプした図となります。見てわかる通り、低くなったにもかかわらず強制的に足が外に出されて、足つき性というか足の出しやすさが阻害されています。
なので、単純に削るだけでは低くなっても足つきが良くならないことになってしまいます。

今回のテーマはフローティングターンをするための「踏ん張れる足」を作るためなので、それに特化したシートにしてみました。
シートの前部のアップです。
左がノグチシート  右がノーマル。
ノーマルがかまぼこ形状に対し、ノグチシートは高さは同じながら上面を絞った台形の形状となっています。
座面幅の違いはこの写真でわかるかと思います。
シートのセンターの高さはノーマルと同じままです。
着座部分の座面の幅も同じです。なので、コーナー立ち上がりなどの着座姿勢でのトラクションをかけやすい幅となっており、前部はエッジを立てたシェイプによってコーナーでのホールド感の向上にも役立ってます。
高さを変えないこのシェイプの結果はというと
まぁ撮り方によっては「やらせじゃないの?」と言われそうですが、左のノーマルに比べて右のノグチシートは腰が中心にいて、腰が入ったまま足が着くようになったと言うことになります。
これだと、腰を入れた力強いフローティングターンができる!かも!!!
と喜びの感想をいただきました。
平地では、まだ不安なので段差を利用して練習中の図。
そして、結局これが平地でマスターできたかどうかは謎のまま・・その後聞いていません。
先ずは挑戦するという、やる気になるシートができたことは確かです。

今回は薄いシートのオフロード車の話でしたが、これはどのバイクにも応用が利く足つき性向上の技法です。
ただ削って低くするだけではなく、乗り心地も残しながら安心できる足つきが得られるご提案をさせていただきます。