ノグチシートのオリジナル座布団

ほぼ毎日十年以上使ったオリジナル座布団

さすがにへたってきたのでお暇を出すことにしました。
そのまま捨てるのは惜しいので分解して中を確認。
黄色い部分が硬質低反発ウレタンで青い部分が衝撃吸収材T-NETです。
どの部分を切っても衝撃吸収材T-NETのへたりはほぼなく、新品当時の厚みを保っていました。
低反発ウレタンは発泡のセルが砕けて薄くなっている部分が見られます。

バイクシートには低反発ウレタンは使用しておりませんが、高反発ウレタンとT-NETの組み合わせであれば、ノーマル以上の耐久性が望める結果ではないかとこれを見て思います。
バイクシートに低反発を使わない理由については色々ありますが、簡単に言えば疲労軽減に効果がないと判断したからです。
しかし、車のシートや事務椅子などの既存のクッションの補助して使う分にはこの座布団は効果的です。基本的にバイクはシートの上で動きますし、事務椅子の上ではほぼ動かない。この違いです。

オリジナル座布団は事務椅子や車の座席の補助として使用していただいています。

性能試験の結果を書いたブログも併せて読んでいただければ幸いです

在庫あります。

プリント素材

先日の展示会で見つけたプリントの素材。

ビニールレザーやウルトラスエードへロゴのプリントは今までもしていたけれど、いつも「より強固なもの」を探していました。
シートカバーのプリントはスクリーン印刷が一般的ですが、大量生産ではない当社ではその方法は向いていません。
以前はカッティングシートを切り抜き、それをマスキングとしてロゴを塗装していた時がありましたが、これも作業性が悪い。

作業効率ばかり追いかけてクオリティが下がっては本末転倒なので、きれいに長持ちするプリント素材を探して10年ほど前に満足いく素材がみつかったので今まではそれを使用していました。
しかし、素材は進化し日々更新されているので、展示会などで情報を収集するというのは欠かさないようにしています。


今回見つけたこれはサンプルの感触がとてもよかったので、早速購入して大きな文字や小さな文字をプリントして日光、風、雨にさらしたり


毎日乗る社用車の背もたれに摩擦試験やこれからの季節車内温度も上がるので高温試験も兼ねて設置したり。
このプリントのメリットはスクリーン印刷では苦手な大きなデコボコが表面にある場合もきれいにプリントできる点にあります。
写真を見てもわかるようにプリント基材がしっかり凸凹に追従しています。
とがった金属で表面をゴシゴシいじめても、フィルムが少し破れる感じで捲れてくる気配は今のところありません。

ウルトラスエード、表面模様の違うビニールレザー各種にプリントしてこれから夏秋冬と経過を見ていきます。

既に自分のバイクにもプリントしてほぼ問題ないというのはわかっているのですが、でも心配なので耐久試験は欠かせません。

こういった試験はオリジナルウレタンや衝撃吸収材T-NETも同じようにやってきました。

長期間使った結果を自分が最初に確認するというのは結構大事なことだと考えています。

 

 

ビニールレザー新色追加のお知らせ

ビニールレザーに新色(正確には表面模様の新しいタイプ)が加わりましたのでお知らせです。

メーカー試作分であったりデッドストック品であったりするため、入荷した分で売り切りとなります。このようなものですが、バイク用のシートカバーに適した非発砲レザーであり、全方向に延びる基布を使っているため性能は一般的な家具用ビニールレザーの数倍の耐久性があります。
過去に詳しく書いたものがあるの参照ください


B-58とB-61の表面模様(以後、シボと呼びます)はほぼ同じで、30番程度のサンドペーパーのようなざらつきがあるのでグリップ力は高いです。
2つの違いは厚みです。形状がシンプルなオフロードにはB-58 立体的な形状にフィットさせるには若干薄めのB-61が良いかと思います。
このタイプは人気で以前B-46という品番で出していましたが使い切ってしまい、しばらくお問い合わせに対して断らなければいけない状態でした。
座面にB-46を使用したCT125のシートです。
私のR100RSの側面に使用したB-46(廃番)とB-58の比較写真です。
こうして見るとほぼ同じですね。

B-59のシボは一般的な皮シボです。色はホンダのピンクレッドです。

B-60はB-58 B-61と同じシボです。色は現行のヤマハのブルーです。
現行アフリカツインの青としても合う色かと思います。

B-62はB-41 B-42 B-43と同じシボで、色はシルバーです。
セローの側面などに合わせるのもよいかと思います。


こうして並べると新しいビニールレザーの色が比較できるかと思います。
WEBではすべてのビニールレザーが載せてありますのでそちらも張替えの参考にしていただければ幸いです。

先に書きましたが、WEBに載っていても廃番となっているものがありますのでご了承願います。

 

 

シートの防水 タックロール、ダイヤキルトの防水

 

先日、当社で加工されたシートをお使いのお客様から、製作後約60,000km使用したし、先日雨の中を走って水が入ってしまったようだから、一度メンテナンスもかねて見て貰いたいというご依頼を受けました。
結論から言えば、60,000km走行したシートの防水は全く問題なく、シートウレタンの形状にも変化はなく、すべて正常でした。
お客様が言われる水が入った状態は、タックロールのウレタンに入った水でした。

例えば、このシートのダイヤキルトや

このタックロールも以下のような構成になっています。
シートカバーにこのような装飾を施す場合には、ウレタンを挟んで凸凹を付けます。ウレタンの厚みによって凸凹の高さを調節しています。
シートウレタンにはEVAの薄いシートを全面接着していますので、雨の中を走ってもシートウレタンに水が入ることはありません。
しかし、縫製によってタックロールやダイヤキルトを施したシートカバーは、その縫製部分から水が浸入し装飾用のウレタンに保水します。
と言っても、いつまでも染み出てくる量ではないのですが、気になる方はこのタックロールを高周波ウエルダーで溶着することで解消できます。
このようにミシンで模様を付けずに熱でウレタンを圧着するので水の侵入はありません。

ウルトラスエードの場合は生地自体が保水するため、タックロールをウエルダーで行っても結果は同じです。
こうした装飾はミシンの糸目の美しさや、ウエルダーであればフラットバーの模様などで見た目が大きく変わってきます。

最初に戻ります。
届いたシートのカバーを外してみました。
防水のEVAは60,000km走行後も一か所のはがれも浮きもなく、しっかり密着しています。部分的なへたりも見受けられません。
カバーも縫製のほつれは当然なく、タックロール以外の部分には水の侵入がほとんどないこともわかります。ただし、中央の黒いタックロール部分はミシン目から浸みこんだ水分で少し濡れています。
これは、はがさなくてもそのまま放っておけばやがて乾燥するレベルです。
乾燥後に再度張り込み。

先ほど書いたように60,000km走ってこのレベルなので、水の侵入を考えるより自由にお気に入りのデザインを希望していただいたほうが良いかと思います。

いろんなデザインのシートがここでご覧いただけます。
ノグチシートのインスタ

 

 

ウルトラスエード(アルカンターラ)の耐久性

それにしても、よく乗っていると自分でも思います。
BMW R100RS
乗っても見ても楽しい。
購入して約10か月で6,000km走りました。
その間にCT125やCRF450Lで走ってますので、この期間バイクでの走行はトータルで10,000kmは走ってますね。
総走行距離は70,000kmになりました。
気になるところと言えば、カンカンという打突音が出たり出なかったりという症状。タペットなどの基本的なところは完ぺき(だと思ってる)なのでネットでくまなく調べては見たけど、素人の質問に素人が答えてそれを素人が閲覧してという地獄なので、6,000kmそのままで特に問題出てないからまぁいいやと楽観することにしてます。

さて、これだけの距離を走ったシートがどんな状況かをお知らせします。
ちなみに雨の走行は1回のみです。
ここまでのシートのメンテナンスは、水を多く含ませたタオルで表面を前後に拭く程度です。前後に拭く理由は、ウルトラスエード(アルカンターラ)の毛並みが後ろから前へと揃えてあるので、前後に拭くことで毛が立ったり寝たりして整うからです。
先ずは作ったばかりのシートの写真です。
撮影の条件が違うので比較にはならないかと思いますが、参考までに見ていただければと思います。
これが作りたての状態です。

そしてこれが6,000km走行したシート

作りたてのシートと比較しても大きな違いは見られないです。
毛玉とか傷は見られません。
色褪せも問題ありません。
当然のことながら、感触の変化もありません。
6,000km程度では表面の変化は当然ながら起きません。
使い方や保管方法でウルトラスエードの寿命は変わってきますが、それほど神経質にならなくてもビニールレザーと同じ扱いで良いのではないかと私は思っています。
引き続きこのシートで走り回ろうと思ってます。

洗い方も以前紹介したように、こんな感じでよいです。

ビニールレザーよりも高価な素材ではありますが、その質感は体感すれば間違いなく満足いただけると思っております。