全日本モトクロス 第7戦  All japan MX R7

何年ぶりだろう、と思い出しても中学の時に鈴鹿のモトクロスコースに親父と正月に見に行った記憶しかない。それが人生初のレース観戦だった。
レースは観戦するより自分で走るほうがいいので、あえて観戦に行くということは殆どなかった。最近モトクロスシートのことで色々やっていることもあり、いろんなマシンのシートや現場に行けば会うだろうと言う人とのお話を楽しみに名阪スポーツランドに行って来ました。

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当日は雨。でも、昼からは雨も上がり陽がさすくらいで、コースコンディションもベストとは行かないまでも埃も立たない、気温もちょうどいいくらいの日でした。
IMG_5629到着した時はまだ雨がザーザーで、練習走行を終えた車両は泥だらけ。
P9080330P9080329シートも泥でべっとりです。各チームのシートの洗い方を見てましたが、「そのまま高圧洗車でジャーーー!」です。なるほど。確かに、こうした現場でシートだけ丁寧に洗ってる時間はないんだろうな。高圧で水を四方八方からかけるので、いくらシートカバーを防水にしても、裏側からの進入は避けられないな、とか考えながら、洗車場で長い時間眺めてました。もちろんこんな所で洗車を眺める人はいません。ピットに戻ると離れた所からしか見れないですからね。
IMG_5630シートをぶら下げてます。一応、床と言うか地面に置いて破れないように気を使っているのか、それとも洗って進入した水をこうして少しでも抜くようにしているのは聞きませんでした。カバーはスペシャルではなく多分アメリカ製の既製品ですね。
IMG_5620各ファクトリーのピットは「見せる」配置になっていて、作業している人たちの揃ったユニフォームやインカム付けた人がなにやら喋っているのかかっこよく見えますね。なんでもそうなんですけど、かっこよさはどの分野でも必要です。子供が見て「かっこいーー」って思われるのって大事だと思うんです。
勝つからかっこいいのではなくかっこいいから勝つんです。・・・まぁそういう言い方もあるって事で・・
IMG_5631では色々なシートを見て行きます。カバー地はそのほとんどがグリップの良い物を使っており、更にカバーにグリップ力を高める加工がしてあるものが目に付きました。
KTMのカバーにこんなのがありました。ピラミッドが並んでます。触ると大げさに言えばチクチクするくらいの尖り加減です。座ってみたかったけどできませんでした。
IMG_5632これは何台か見ましたね、既製品であるのかな。多分だけど、加速時はヒダがストッパーの役を果たして、前部に体重移動する時はスムーズに移動できるのを狙ったのではないでしょうか。泥とかヒダに溜まりそうだな。
IMG_5633アシャルビスのエックスシート。インテグラルスキンフォームで成型されたシートなので、カバーはない。なので完全防水。しかし、フォームの硬さとか割れの問題、滑り止めの効果とかはどうなんだろう。
IMG_5638コブ付きのシートはほとんど見なかったな。これも好みの問題なんだろうと思うけどね。
IMG_5637これは座面に使用している滑り止めを帯状にして縫いつけてありますね。帯の端がめくれることを利用した滑り止め効果のアップでしょうか。
IMG_564477207940500同じヤマハでもこっちは帯ではなく、最近のKTMのカバーと同じように四角く低めの凸凹が付いていました。
IMG_5647このシートは座面に凸凹が付いています。

ライダーの好みもあると思うのですが、皆さんそれぞれシートに対して何がしかのこだわりがあるようなので、こうして様々なバリエーションがあるんだと思います。
しかし、こだわりがあっても好みに近いカバーを探してきて使用している人が殆どでしたね。もちろんノーマルのままも多いです。スペシャルなカバーを使用していたのはヤマハとホンダのファクトリーチームだけだったように思います。
たくさん見たおかげで、いろいろアイデアが湧いてきました。^^まだまだいけますね。ここでもやれることはたくさんありますよ。

そして、こんなシートも
P9080344当日、デモランをされた戸田蔵人さんのマシンです。戸田さんは事故で車椅子での生活となりましたが、こうしてスペシャルなマシンでコースを走って、ジャンプまで飛んでいました。来年にはレースに出場すると話しておられました。下半身を固定すためにシートには大きなストッパーがつけられていました。少し破れていた部分があったりしたので、声をかせさせていただこうと思ったのですが会うことができず。まぁ何か縁があれば、お手伝いさせていただこうと思います。

破れで思い出したけど、全日本クラスでも破れたままのシートで走っているマシンを何台か見ました。当日破れちゃってスペアがなかったのだろうか。シート屋だけに破れたシートはすごく気になるんですよねー。

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またアイフォンの向き間違えちゃいました・・ IA1のスタートの映像です。レースに事故は付いて回るものですが、でも無いに越したことはない。この数台が絡む転等でも大怪我をされた方がいなかったのは幸いでした。
IMG_5642ヒート2の成田選手の走りは見てて気持ちよかった。
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野口シートの作り方 How to make comfortable seat.

シート改造はカバーに包まれた中身を見ることができないので、ウレタンにはどんな仕事をしているのか気になるところだと思います。
なので、今回は当社の一般的な改造例として衝撃吸収材T-NETを挿入する工程をお見せします。
いいの?全部見せても!と思われるでしょうが、そこはあれ、少々割愛してます^^ご了承ください。
オーダーされるお客様の安心のためにも、何をどうしているのか、見えない部分を少しお見せします。
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さて、今回のベース車両はXL250S。30年ほど経過したバイクです。ウレタンも経年変化でへたったり、加水分解している可能性があります。社員が購入したので、試して見たいこともあるので写真を撮りながら加工していくことにしました。

 

P7260304カバーは何度か張替されたようで、エンボス地のビニールレザーで張り込まれていました。この時点で、カバーの上から触ってウレタンサイドに割れがないか、シート裏側から見て腐食の進行などを確認します。

 

 

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カバーを留めているタッカー針を一本ずつ抜いていきます。こうしてみると、表にはシワはありませんが、裏側は苦労して取ったシワが寄っています。見えない場所なので問題はないのですが、当社では裏側も 表 同様極力シワのない張り込みを心がけています。

 

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オフロード車に限らずシートベースは汚れているので必ず洗浄します。
洗浄することで、シートベースのクラックや変形、その他不具合などが無いかを確認します。

 

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ウレタンの確認をします。今回、年数が経っている割には状態がいいウレタンです。紫外線によって焼けている部分もありますが、保管状態が良かったようでウレタンの腐食はありません。
*ウレタンの状態の悪いものなどは、加工ができない場合があります。

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シートベースのバリなどを取り、ウレタンとシートベースをしっかり全面接着します。しっかり接着をすることで耐久性も上がります。

 

 

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衝撃吸収材T-NETを入れるために上層部を削り取ります。T-NETの挿入位置などはシート形状やシートウレタンの硬さによってその都度変えます。低くしたい場合や高くしたい場合などは、この工程で高さの調整をします。

 

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T-NETを貼り付けます。T-NETを貼り付ける前に1工程あるのですが、そこは割愛。(ごめんなさい内緒です)貼り付けたT-NETの全周は全てテーパー状になっており、ウレタンとの接着面で起きる違和感がないようにしております。この方法はすべての積層するクッション材に行なっています。

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貼り付けたT-NETの上に野口シートオリジナルウレタンを積層していきます。ここでも、オリジナルウレタンを接着する前にT-NETのにある加工をするのですが、ここも割愛です。こうして積層するオリジナルウレタンですが、T-NETの上に何mm積層するかで感触も変わってきます。何mm乗せるかはお客様の好みもありますし、シートの形状によっても変化します。このウレタンの接着も当たり前ですが端面はテーパー状になっております。違和感のない接着面も当然ながら、接着面からの割れを防ぐためにもテーパー加工は必要だと当社では考えています。

さらに、この段階でシートカバーを張り込んでも表面に接着面の凸凹や、各Rや座面の均一さなどの不具合がないようにしっかりと削り込みをして仕上げておきます。
この後に張り込みをする防水コートは厚さが1mmしかなく弾力もあるのでいい加減な表面仕上げだと、全てそれがカバーを通して外に見えてしまうのです。
柔らかいウレタンで全体を覆えば凸凹を消してくれますが、触ったときに一瞬フワッとするその感触が私が嫌いなので当社ではしていません。

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そして最後にシート全面に防水加工です。
ウレタン全面に完全に接着をします。
厚みが1mmの防水ウレタンです。伸び率が高く防水性もあり、摩擦にも強いので縫製部分との擦れによる削れもありません。車種によってはシートベースに少し加工をする必要がある防水コートですが、その加工も言われなければわからないレベルの加工なので心配はございません。この加工は当社で行う全ての加工(張替のみの場合でも)に含まれています。エクセーヌやアルカンターラで張り込みをしても、カバーに保水はしますがウレタンにこうした加工がしてあるので、いつまでも濡れて困るということがありません。またこの加工を施すことでウレタンの耐久性も上がり、ヘタリの防止に繋がります。

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そして張り込みです。タッカー針はきちんと並べて打つのは当然のことなのですが、しっかり打ち込まれているかも重要なのです。カバーを留める針はコの字をしたホチキスの大きなものです。コの字のコ←この部分がしっかりとカバーを押えていないと、針の足だけでカバーを留めることになってしまいます。なので、単純に針を打つだけではなく、当社では特殊な方法で針がしっかりとカバーを留めるようにしています。カバーをとめる方法はブラインドリベットであったり、接着剤のみの場合もあります。そうした場合でも、シワの出にくいしっかりとした張りでカバーを留めております。
P7260318これでシートサイドにXLのロゴを入れたら完成です。

途中お見せできない部分が何箇所かあり失礼しました。
とにかくシートのことを毎日毎日考えているので常に新しく、且つそれがよりよいものになる加工となるように工夫し、皆様により良い製品をお届けできるようにしたいと思います。

X-GAMES ゴールドメダル!! ライア・サンツ  Laia Sanz Gold!

ロサンゼルスで行なわれているX-GAMES
写真エンデューロクロスに出場したライアサンツがゴールドメダルです!
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キャプチャ いやーー嬉しい。
野口シートが初のゴールドメダルですもん。
ライアサンツはX-GAMESの前からカリフォルニア入りしてJCR/HONDAでマシンの調整と、練習を重ねていました。
1095101_499988106744370_186917709_n945753_501087626634418_1995896753_n7月の頭にJCRのメカニックのエリックからCRF250Rのシートカバーを送って欲しいと頼まれました。強力な滑り止めラインを入れたものと無しの物。X-GAMESで使うとは聞いていたけど、誰が使うのかも聞かず、とにかく直ぐに製作して送りました。しばらくして、そのシートカバーは女王ライアサンツが使うと聞き驚きました。
いやーーしかし、さすがと言うかさすがと言うかさすがですね。^^

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Congratulations!!!  Laia Sanz

ライア・サンツ  Laia Sanz on Noguchi seat

ライア・サンツって名前を聞いたことがある人は結構いるんじゃないかな。
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まぁ簡単に言えばオフロード界の女王ですね。スーパースターでしょう。
ダカールラリーも3回連続 女性クラスで優勝してます。

そんなライア・サンツが来週LAで行なわれるXゲームに出場(エンデューロクロス)することになり、しかもそのマシンに野口シートが装着されます。
1002323_695016530523961_566479559_n無題http://xgames.espn.go.com/
今年もネットで生中継見れないかな。

それにしても、世界のスーパースターが野口シートに乗ってくれるというのは嬉しいったらありません。

活躍に期待です。

壁飾り mural decoration

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壁飾りを作ってみました。下のミッキーマウスのような形をしたものです。
バイクのエンジンのカバーなんですが、見る人が見ればその特徴的な形状から「あー、あれのカバーだね」と分かる物です。
と言っても、このカバーは復刻したバイクのカバーなのでオリジナルとは違います。
オリジナルのバイクはCR110と言う1962年にホンダが世界グランプリに投入したマシンです。排気量は50cc。
以下、ホンダのWEBからの引用です・・
cr110a

(1962) Honda CR110 Cub Racing
  世界的なモペッドブームを背景に成立した50cc欧州選手権人気の高まりは、1962年からの世界GP50ccクラス新設に至った。Hondaはこの動きに合わせ、1960年1月より公道用市販車スポーツカブC110をベースに、GP用50ccレーサー開発に着手。そして初年度の1962年には、DOHC単気筒49ccのRC110と、その改良型のRC111を実戦投入した。同年5月に発表されたCR110は、上述のワークスレーサーRC110を母体に開発された市販レーサーである。世界GPデビュー戦となった6月のマン島TTでは、並みいる強豪相手に9位に入賞。国内デビューとなる7月の第5回全日本モーターサイクルクラブマンレースでは、見事デビューウィンを飾った。その後、国内外で販売されたCR110は、多くのプライベーターたちに愛用されることとなり、兄弟機種の125ccクラス用CR93とともに、多くの名レーサーを育てる役目を担ったのである。

主要諸元
■エンジン 空冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク40.4×39mm 排気量49.99cc 圧縮比10.3 潤滑方式ウエットサンプ オイルポンプ方式プランジャー 気化器形式京浜RP25-P1 点火方式マグネトー
■性能 最高出力8.5ps/13500rpm 最大トルク0.46kgm/11500rpm 最高速度130km/h以上 最小回転半径3.34m 制動停止距離5m(25km/h) 登坂能力17゜
■変速機 8段 変速比(1)2.26 (2)1.55 (3)1.32 (4)1.13 (5)1.04 (6)0.85 (7)0.89 (8)0.85 1次減速比4.66 2次減速比2.92
■寸法・重量 全長1725 全幅510 全高780 軸距1155 最低地上高160(各mm) キャスター26゜ トレール80mm タイヤサイズ前2.00-18 後2.25-18 車重61kg
■容量 燃料タンク9.5L オイル0.8L
引用ここまで

そして、このCR110を当時の仕様からアレンジして発売されたのがドリーム50.
800px-Honda_Dream_50_02そしてこのエンジンにもその特徴的なカバーは再現されてます。
DSCN6834オリジナルは文字が凸だけど復刻版は凹。まぁそんなことより大事なのは雰囲気なんですよ。
このバイクもいつか手に入れたいなと思ってます。
今の所カバーのみ手に入れたので壁飾りにして眺めている感じです。^^
IMG_5335IMG_5337ただの自己満足ですけど、これはこれで結構いい感じです。