BMW R1250GSのシート改造

BMW R1250GSのシート
ご依頼内容は
フロントシート
1.衝撃吸収材T-NET
2.高さ変更なし
3.角削り
4.張替 ビニールレザー
「ちょっとですが近所をツーリングしてきました
角を落として頂いたので内股の違和感がなくなり快適です
足つきがちょっと良くなった気もします
長距離のツーリングが楽しみです
また宜しくお願い致します」
感想ありがとうございました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

R100GS Paris-Dakar GSパリダカのダブルシート

7連休も今日で終わりです。
休み中はうどん県に行こうかと思っていましたが、前半の雨と渋滞情報で行く気がそがれてしまい、近場のきれいな場所を見に行ったり、友人とラーツーしたり、空いた時間で自分のシートを作ったりと、ぼんやりする暇もなく良い感じで休みを過ごすことができました。

奥飛騨 北アルプス大橋からの眺め。 気温3度で寒かったです。

最近R100RSに乗っていなかったので・・。

いつもの林道を走ってみた。走れなくもないけど、軽快にとはいかないな。

岐阜のグランドキャニオンらしい。

いつものメンバーでラーツー。

そして、早く作りたいと思っていたこのシートの構想もまとまったので取り掛かることにしました。購入した時はシングルシートがついていたので、先ずはそれを改造してしばらくく乗っていました。このダブルシートも貰ったのでこっちも自分好みにシートに仕上げてみました。
このシートのカバーはウレタンやベースに糊付けされ、さらにプレートでカバーを押さえてブラインドリベットで留めてあります。まずはこれの取り外しです。
ブラインドリベットの傘をドリルでもんで、シートベース側に残ったリベットの足を取ります。
ノーマルの高さや幅の寸法を取り、この寸法から仕上げの寸法に対する削り量を決めます。
盛る量をノーマルより15mm高くする場合、衝撃吸収材T-NETとオリジナルウレタンの積層分が約40mmなので、ノーマルを25mm削って40mm乗せて+15mmとします。
高さのみではなく、サイド部分も削って下図のように盛っていきます。

酷すぎる絵ですみません・・。
座面上部を真っ平に削って積層するとサイドに違和感が出ます。なので、サイドもテーパーに削って1層ずつ盛ってはテーパーに削りを繰り返してシートの形状を作っていきます。。
T-NETを底にするのか中間層にするのか、T-NETの上部に何㎜のオリジナルウレタンを積層するのか、それらはベースとなるシートのウレタンの状態や厚みによって決定します。
ウレタンの成形が終わったら、車体に取り付けて角度厚みなどを確認。

経年劣化で広がってしまったシートベースなどはヒートガンで温めて修正。
タンクとの当たり面は重要なのでしっかり確認します。
全て終わったら防水処理をして型取りです。
どうしようかな、こうしようかなとシートのラインを引いていますが、やはり作ってみないとわからないこともあるので、今までやってない切り替えのラインを見て見ることに。
気に入らなければまたやればいいし、こうして自ら実験をすることでお客様への提案もより良いものになっていくと思っています。
完成!!
まぁ普通にまとまった感じです。
座面にはウルトラスエードを使用し、その他は最近お気に入りのビニールレザーB-61。タンクパッドの質感にも近いのでバランスがいいです。
白のビニールレザーに黒のロゴでシートの厚ぼったさを少し緩和させたつもりです。
タンクとのチリもぴったり合ってます。
タンクとの隙間もなく気持ち良くフィットしています。
また、この先に張替をするので、ブラインドリベットではなくその穴を利用して10mm足のタッピングで固定しています。これでほぼブラインドリベットと同じ固定ができ、取り外しも楽なんです。
100点ではないけれどまぁ満足な仕上りです。
またがった感じはシングルシートとは少し変わっているので長距離が楽しみです。タンデムも同じように改造が施してあるので、タンデムソムリエを乗せて評価を聞くのも楽しみです。
とりあえず記念撮影に行ってきました。
こうして並べて見るとシングルシートのほうが軽快でパリダカマシンっぽいけど、ダブルシートもリアのバッグがあるおかげで変に間延びした感じにならずに重厚感が出て良いなと思います。
まぁ結論としては「どっちもかっこいい!!!」です。



自分で作るシートが世界で一番良いと思って作っているのですが、作るたびに課題は見えてきます。グリップのいいタイヤを自分で作ることはできないので購入しますが、乗り心地の良いかっこいいシートを自分で作れるのは贅沢だなと思います。こんなシートを購入したいというお客様がいる限り、クオリティの高いシートをお届けできればと日々研究と試行錯誤を繰り返しています。

ということで連休の宿題は全て終わった感じ。
明日からまたがんばろー。

 

 

 

BMW R100GS/パリダカ 再びタンデムシート

BMW R100GSパリダカネタが続いております。ダブルシートもあるからそれをタンデム用にすればいいのですが、フレームを付け替えたりしなければならず、それらの作業が億劫なのでシングルシートの後ろのキャリアにタンデムシートを乗せてしまえと、とりあえず作った1個目。

乗り心地の不満も当社専属のタンデムソムリエから聞くこともなかったんですが
「乗り心地もだけど、その前になんか座布団みたいだし、見た目がなぁ」
と、分かってるだけにそう言われると言い返すこともできず、フロントシートを張り替えついでに2個目のタンデムシート製作となりました。
キャリアに乗っかって背が高いシートになるのはやむを得ないとして、横から見てキャリアの下も隠すようにサイドも作ることにしました。
昔ラリーマシンを作るときは方眼紙でいろいろ型取りをしたけど、方眼紙がなかったので画用紙で型取り。
廃材利用でコンパネ切って組み立て。
座面はダカールスペックにて座り心地を確保。
粗削りで一旦合わせて見ると、ほぼこのままで良さそう。
本当はシングルシートのエンドの高さと合わせたいけれど、そうするとクッションの厚みが取れないので仕方がないです。
フロントシートの生地と合わせると黒い部分が多すぎるかなと白のマチを入れることにしました。

完成。
100点じゃないけど、まぁ1個目よりは良いかなと。
サイドの切り替えラインはもう少し考えてもよかったなぁ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

と、自分で書いて眺めてるとどんどん気持ち悪くなってきて


じっくり考えて作るほうではなくて、思い付きで直ぐに手を動かして失敗してまた作るという非効率な性格のまま今に至っておりますが、それはそれでいいこともあります。
が、やっぱダメ。
切り替えの角度を変更して、縫製してからロゴ位置も決めることに。
少し学習したので、今度はいい感じになると思う。

まぁこれなら気持ち悪くない。気持ち悪いという表現は良くないと思いつつ、それ以外の言葉がない。
ビフォーアフターを並べてみました。
ロゴはセンターがいいのか、大きさはこれでいいのか、そもそもキャリアの下は隠したけどかっこいいのかこれで・・・と、もろもろ考えることはあるけれど、とりあえず気持ち悪くないレベルにはなった。

それとダブルシートやるときは、もう少し考えてから改造してみよう。

そうそう、シートだけじゃなくて他もいろいろ手を入れてます。
R100RSにオーリンズを付けたときもそうだったのですが、そのまま取り付けると具合が悪い。GSパリダカにはすでにオーリンズがついていたけど、何かおかしいので外してみたらRSと同じでカラーが必要。
小さなカラーを最初作ったんだけど、友人にせっかく旋盤持ってるんだから段付きワッシャ作れば?と言われて、しばらく使っていなかったミニ旋盤で製作。うまくできました。あ、ナットは袋ナットにかえときます。

今週末は桜が満開なので、お花見ツーリングでも行って来よう。

 

BMW R100GS/ParisDakar シート張替え

前にも書いたように購入時に付いていたSiebenrock製のシングルシートは十分な性能で、500kmの一気乗りでもお尻は平気でした。ほぼ新品に近い状態であったこと、ウレタンの密度が高く沈み込みが少なかったこと、さらにカバーが二重になっていたことで温度上昇による沈み込みが抑制されていたこと、シートの幅や高さ角度が私の身体にぴったりだったことがその理由だと思います。
そうは言ってもストックのままではシート屋として意味がないので、さらにハイスペックにノグチシートとしての加工をしていこうと思います。
先ずはストックの状態の寸法取り。
これがしっかりとれていないと思った形状が出せなくなります。
高さなどの微調整がしたかったので、削る量、盛る量を計算します。
適当に削って衝撃吸収材T-NETやオリジナルウレタンを積層すると、変な厚みムラが出て乗り心地に影響が出てしまうんです。
真ん中下の写真が削り終わって、これからウレタンを積層、成形を繰り返していく最初の段階。衝撃吸収材T-NETの貼り付けです。少し盛っては成形。この繰り返しです。
写真右の2枚はタンクとシート先端の隙間埋め。これも見た目に重要なのでしっかりやります。
左上の写真を見てわかるようにウレタンは1枚です。接着して繋ぐことはありません。それは積層するすべての素材に言えます。接着するとその部分は弱くなり、硬くもなり、違和感になります。
ウレタンを積層して成形し終わったら防水加工です。
1.5mmのEVAシートを全面に接着します。
自分で言うのもなんですが、この形状を1枚で包むのは結構技術がいります。
この工程があることで、シートの寿命は確実に伸びます。
10年前に加工したシートの張替え依頼などがたまに来ますが、この加工がしてあることでウレタンに水の侵入はなく、また弾力も大きく劣化せずに維持されているのを何個も確認してきました。

余談ですけど、こんな大掛かりな作業をしなくても衝撃吸収材T-NETで座布団作ってシートに乗せればいいんじゃないですか?もしくはそんな商品があったらいいなと言われることもありますが、バイク用座布団は作りません。
だってあれってただただかっこ悪いと思うんです。
車や椅子や床に敷く座布団は、ある意味日本の文化みたいなものなので作りますけどね。
カバーのデザインも決まり、型取りをして裁断をしたらロゴ入れです。
座面にはフロントカウルに描いてあるGSと同じロゴを刺しゅう。
サイドはウエルダータグを溶着です。
これが終われまあとは縫製して張り込み完成です。

良い感じです。すごくかっこいいと自分で何度もバイクを前にして独り言。
タンクからシートへの流れも自然です。座面は10mm上げて前部を少しシェイプしました。これで185/76の体格の私が両足かかとが少し浮く感じです。片足ならかかとで踏ん張れます。

仕様
シートウレタンは衝撃吸収材T-NETを使ったダカールスペックとなっております。
カバーはウルトラスエード(アルカンターラ)黒+ビニールレザーB-61です。
ちなみにタンクとの隙間はこうなりました。
上がストックの状態で下が加工後。説明は要りませんね。
タンクとの当たり面は隙間だけではなく、右と左の出方が違ってタンクからはみ出していたので、ヒートガンでシートベースを温めて内側に修正。
しかし、このシートのシートベースが少し弱く、またフレームに乗っている部分が微妙なので、乗車するとシートが反ってしまいます。乗っているときにシートの先端を見るとパカパカ動いてるんです。
なので、もう少し剛性を持たせる加工を後ほどやろうと思います。
ついでにこんなバーパットカバーを製作。
最近のダカールのシンボルマークではなく、この時代のパリダカのシンボルを刺しゅう。
完成したら走りに行きます。

座った瞬間の感触はジーベンロックのシングルシートよりは少し硬い感じ。
長距離はまだですが、多分これならいつも通りの超長距離でも行けると思います。
ウルトラスエード(アルカンターラ)の感触もいつも通り。シート形状のおかげでホールド感が一段と良くなってます。
やはりこのバイクはダートが合いますね。
思った以上にコントロールしやすく、ますます好きになってきました。
シートを少し高くしたことと、前オーナーが交換したステップのおかげで、シッティングからスタンディングへの移動も楽です。やはりダートを走る場合、この動作が素早くできるかは需要。
いたるところで一気に咲きました。

シートを張り替えたときに来るいつもの撮影場所。
ウルトラスエード(アルカンターラ)の起毛によって、見る角度でグレーだったり黒だったりします。黒のウルトラスエードに黒糸の刺しゅうをしてもこれだけ目立ちます。

もう一つ、ダブルシートもあるので今度はそれの改造もしようと思います。