HONDA S2000 ウルトラスエード(アルカンターラ)張替

S2000を購入してから数年経過して、機械的なところはいろいろ手を入れてリフレッシュしてきたけれど全部人任せ。
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仕事上シートを人任せにするわけにもいかず、せっかくやるなら、あーしてこーしてと考えているうちに時間だけ過ぎてしまった。自分の物っていつも後回しとか適当なものになったりして、その適当にイラついくから結局やらないということが多くなってしまう。
現状シートは写真で見ると破れてもいないしきれいに見えるけど、だいぶやれてます。だって走行距離はもうすぐ120,000kmだし、シートもくたびれるはずです。
そして、そもそも私は本革シートがあまり好きではありません。
夏は蒸れて汗かくし(パンチングレザーでも意味ないです)、冬は冷たい。表面は割れてくるし、硬くなる。それにつるつる滑るのもいただけない。
もちろん本革を否定するつもりはありません。ちゃんと良い物もあります。
とにかくS2000のこれはちょっといただけない。
IMG_1271IMG_1267表面はピカピカと光ってます。
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昨年末に車検も通したし、まだ当分乗るつもりなので、重い腰を上げてS2000張替作業スタート!職人に「俺の車張り替えておいてよ!」なんてブラック会社の社長のようなセルフは吐けないので、今回は腕のいい当社の職人に頼らず代表自らすべての作業をして、職人に褒めてもらおう。たまには錆びついた腕も磨かないといけませんからね。
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ちなみに私の作業場はこんな感じ。工場の一角で日々の作業を邪魔しないように私専用のミシンと刺しゅう機を置かせてもらって作業しています。個室ではないので丸見えです。

IMG_1236これはS2000を購入してすぐにシートの張替え用としてヤフオクで購入してあったS2000のシート。ずっとほったらかしでカビてました。これをバラバラにしてカバーを作ります。
IMG_1240IMG_1243IMG_1248縫製部分を全てほどきます。とても地味な作業です。シートの形に伸びて曲面が出ている部分も平面にならします。ばらしながら縫製の順番や、縫製時の工夫、張り込みの時にハサミを入れた場所などを確認。この作業でずいぶん得るものが多いです。
これが型紙になります。量産する場合は、これをもとに紙で型紙を作り、更には金型で生地を抜いたりします。
外からではそれほど多くないと思う縫製パーツも、シート1脚でパーツは50近くになります。それを全て型通りにハサミで切ります。
生地はもちろんウルトラスエード 座面と背面のセンターはノーマルにならってパンチングのウルトラスエードです。

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背もたれは右左があるためパーツが混ざらないように気を付けます。
いくら気を付けても私は必ずやらかすんです。なので、1枚1枚に名前を書いておきます。
IMG_1247いよいよ縫っていきます。これは縫い合わせる前の下処理です。
IMG_1255ある程度形になってきたら仮張りをします。
ちなみにシートには刺繍を入れません。
刺繍を入れるとその刺繍に目が行き粗を隠すことができるのですが、今回はあえて粗が目立ってしまういばらの道を選んでみました。(イマオモウトイレテオケバヨカッタ)

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しっかりと型が取れて、型通りの縫製ができていれば軽くかぶせただけで仕上がりが容易に想像できます。

いくら張り込みの技術が高くても、下手な型取りと縫製したものは仕上がりがいまいちになってしまいます。すべての技術が高くてやっと一流品と呼べるんだーーーーと、いつも言っている手前、叱られないようにものすごく時間をかけて作業を進めています。

と、こうした作業をしている時に「社長、来週から新しいパートさんが来るから、新しいエプロンに刺繍を入れてくださいな」と言われて、自分の作業よりも会社のことが優先なので、はいはい今すぐにとシートの手を止め刺繍。
IMG_1252IMG_1253新しい刺しゅう機もだいぶ私になじんできました。用事が終われば私の自由時間です。 さて作業に戻ります。

古いシートはカバーだけではなくウレタンも劣化しています。
IMG_1259乗り降りするときに潰してしまうところのウレタンです。
グズグズです。こんなふうになってしまったウレタンにいくら糊を付けてもウレタンどうしがくっつきません。なので、死んでいる部分を根こそぎ切り落とし、生きている部分に新しいウレタンを乗せて成形します。
IMG_1260IMG_1261これで大丈夫。

さて、すべての部品を縫い合わせてカバーが完成し、ウレタンの補修もできたので張り込みに入ります。

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最近はあまり使われなくなったCリング。この年代の車だとまだまだたくさん使われています。この機械がないと張り込みは厳しいかな。
IMG_1273張ってはみたものの・・

うーーーん。

うーーーん

細かい皺が取れない・・。

チラチラと横で見ていた、釣り名人の職人が一言、これは社長の縫製が下手だな・・。

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結局、職人は自分の作業の手を止めてお手伝い。忙しいのにすみません。

IMG_1276あーしておけばよかった、こうするべきだったと言いながら張り込みは完成。やはり職人、私の縫製をカバーする張り込みでパリッと仕上げてくれました。
と思ったけど
IMG_1280隙間が空いてるし。私たちの仕事は” 張り ” であり ” 貼り ”ではありません。
しっかり張って、皺無くパリッと仕上げるのが基本です。
しかし、引っ張りすぎてウレタンをつぶしすぎるとこうしたことが起きます。
IMG_1281よし!
IMG_1283おおおおおお!!!!
いいぞ!思った通りにいい!

車に乗せて走ってみたいのでさっそく取り付け
IMG_1287くぅーーーー
たまらん。
赤かっこいい!
シートの形状は変わっていないのに、ホールド感が増した感じがするのはウルトラスエードのおかげだろうな。
IMG_1286ちょっと引きで撮ってみた。こうなるとドアパネルも同じ素材で張りたくなるな。
IMG_1289当たり前だけど、隙間を直しておいてよかった。ヘッドレストのバックパネルもいい感じで収まっている。
IMG_1288粗が見えるのでアップは苦手だけど、プロが見てどうのこうのいうレベルなので問題ないでしょう。
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そして

IMG_1348ドアも張替え
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やはり、シートとドアの素材が同じだとさらにいいね。
張り替えて良かったーーー。自己満足は大事なのだ。
IMG_1290もちろんシートの張替えは随時受け付けます。
他の車種も可能です。
是非お問い合わせください。

 

 

 

レカロシートの補修など RECARO Seats

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バイクシートに限らず椅子であればだいたいの物は修理できます。レカロシートなども多く問い合わせをいただいております。

張替えのみならず当社の強みである「ウレタンの加工」がお客様には喜ばれております。
いくつか例をご紹介します。
11サイドサポートが高いため、乗降時にこの部分のウレタンに負担がかかり、数年使ったシートはこのようにウレタンが割れます。
このまま補修も可能ですが、お客様の希望でこのサポート部分を低くして張り替えたいと言うご要望に応えました。
1213完成です。

次は座クッションの前方が高いので低くしたいというご要望
2腿の裏側が当たってペダル操作がいまいちしっくりこないということでした。ラインの部分まで低くします。
1低くして張替もして完成です。

レカロシートの張替えや補修時には、当社オリジナルのラバーマットに交換されます。
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レカロシートではありませんが、スカイラインR32のシートの補修もします。
3R32のシートはカバーがウレタンに全面接着された特殊な作りになっており、修理を受けてくれるところが少ないそうです。
4レカロと同じくサイドのサポート部のウレタンが割れています。
5割れた部分とぐずぐずになったウレタンを取り去り、その部分に新しくウレタンを充てんし、割れにくく補強をした後に成形しなおします。これで接着しながら張り込めば完成です。

バイクシート以外の業務の日記は職人が書いております。

現在のシートにご不満がある場合、先ずはお問い合わせください

 

 

フェラーリのシート張替 Ferrari F355

OMPのカーボンシェルのフルバケットシートのご依頼でした。
無題見ただけでウレタンと生地のへたりがわかります。
1 (1)はがしていきます・・・ウレタンが粉になっています。
1 (4)一般的なシート生地はフレームラミネートと言って、薄い生地に3-5mm程度のウレタンがラミネートしてある場合が多いです。こうした処理をした生地だと、皺が出にくく仕上がりにボリュームが出ます。しかし、体に一番近い部分なので汗などでウレタンが劣化しご覧のように粉になってます。
1 (2)そして完全にシェルのみにします。
1 (3)新しいウレタンを貼りこみます。
1 (5)そして完成。
1 (6)やはりウルトラスエード(アルカンターラ)の質感はいいですね。

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カーボンシェルは後ろ姿も美しいです。

車のお預かりはできませんが、宅急便でシートを送っていただき、写真やサンプルをやり取りしながら打ち合わせて完成という手順でいけます。
張替の際にクッションを衝撃吸収材入りにしてほしいとか、少しシートが広いので狭くしてほしいというというオーダーも可能です。
ご相談に乗りますのでお気軽にご連絡ください。

問い合わせフォーム

問い合わせフォームはバイク用となっていますが、要望欄に車種やシートの型式名をいれて送信いただければ回答いたします。

 

サポートクッション ランクル70 ASSISTING CUSHION

ランクル70が復刻発売され、徐々にユーザーにデリバリーされています。
3最近2件ほど同じ内容のクッションの依頼がありました。

ランクル70を買ったのだけど、シートを一番前に出しても妻が運転するにはシートが後過ぎる。と言う悩みでした。
実際ランクル70で当社にご夫妻でお越しいただき、奥様のポジションをチェック。
背もたれから離れて前に出ないと、操作ペダルに足が届かない状況。

なので、背もたれをかさ上げするクッションを作ることにしました。
しかし、奥様が運転しないときは簡単に外したいとの要望もあり、その点を考慮してクッションの固定はヘッドレストの穴を利用しました。

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身体を前に出すだけであれば、カー用品店などで売っているランバーサポートクッションを置けば事足りるのですが、それだと肩が浮いてしまう。
クッションをヘッドレストまで伸ばすことで背中や肩の密着度が増し安心して運転が出来ます。また、こうしてハイバックにすることで座席を後ろにずらせば体の大きな人がそのまま運転できます。

背の厚みが増したことで、サイドのサポートが効かなくなってしまったので、サポートも付けました。サイドのサポートクッションは位置調整が簡単にできるようにしてあります。助手席はサポートクッションと同じ生地で、前席の統一性を出すために同じ大きさのカバーを付けました。

その後、別の方から同じ依頼がありましたが、今度はヘッドレストに固定しないで据え置きタイプにして欲しいとのことでした。
DSC_2323据え置きタイプでも左右にずれることはありません。
据え置きクッションの嫌な所は、座面にしても背面にしても運転中にずれてくることだと思います。

ランクルに限らず、ご夫婦で1台の車を共用してポジションで無理をされている方は是非当社にご依頼ください。厚み、大きさ、クッション素材等、様々なアイテムからオーダーメイドできます。

 

S2000センターコンソール張替

ずいぶん前にセンターコンソールを赤のウルトラスエード(アルカンターラ)で張り替えた。
IMG_7687これはこれで悪くはなかったんだけど、飽きてきた。
自分のモノと言うのはいつも後回しで、気になってはいるもののなかなか手を付けることができなかったりするもんなんです。
私の場合はですけどね。
バイクのシートは割りと頻繁に新素材を試したりするのですが、車となるとなかなか・・・洗車くらいはするんですけどね。
今日は天気も悪く、出かけることもないので黒のウルトラスエード(アルカンターラ)でセンターコンソールの張替えをしてみました。
まぁ一番簡単なんです。
シート外してコンソールカバー外せば直ぐに取り付けできますしね。
で、こうなりました。
IMG_7689うーーん。やっぱり黒がいいと思う。
センターを黒にすることで、空間をきちんと割ることができるのでメリハリのある室内になったと自画自賛・・・
IMG_7688赤のステッチラインもいいアクセントになった。
これを白のステッチとかにすると、少しやりすぎ感が出るかな。
当分の間これで飽きずに乗ってられるな。
シートに手を付けるのはいつになるだろう。