本革で遊ぶ

いつもはビニールレザーや布を扱う仕事なんだけど、試作や特注などで本革を扱うことも多々あります。
本革=高級 長持ち
ビニールレザー=安っぽい 寿命が短い
と言うことはありません。
何でもかんでも革革っ革って、革ならいいだろうという意見も聴くことがあるけどそうじゃないと思います。
使用する場所や内容によって一番適した素材を使うのが良いのです。
何をどこに使ったらいいのかということについては、あらためてお話しすることにします。
特に本革の場合、経年変化による表面の変化や使い込んでなじんできたときの愛着など人工皮革とは違った楽しみがありますね。ひび割れた人工皮革もけっこういい味出しますね。
さて
私が普段使用している手帳や名刺入れなどは、本革の加工の勉強も兼ねて自分で製作した。
単純に縫い合わせるだけではなく、コバを磨いたり塗装したり、革の裏側の起毛だったものをのりで固めて滑らかにしたりと細かな手間をかけて。



毎日手帳は持ち歩かない。
手帳を毎日持ち歩かないからペンも持ち歩かない。
メモをとる必要があるときに「手帳しか持ってこなかった」と言うこともしばしば。
なので、ちゃんとしたペンホルダーが付いたカバーが欲しかったんだけど、ペンホルダーが付いてはいるものの使いづらいものばかり。考えた挙句こんなところにセットしてみたわけです。
自分で言いますけど、けっこうかっこいいし使いやすいやん!と満足してます。

反対側には当社のマークを高周波ウエルダー機で焼印と言うか型押し。

名刺入れも同じ。
手帳とセットで持っていくことが多いから合わせてみた。
全て【N】の刻印付き。
単なる遊びの製作中から得ることは多いですね。 

チョークバッグ

ボルダリングって知ってますか?簡単に言えば大きな岩(石)登り。ザイルで確保したりしないので気軽にできるスポーツ。これが面白い。自然の石に向かうんだけどそこにはルールがあって、何でもいいからあがりゃーいい。ってわけではないんだ。そこには一定のルールがあって、基本となるルールやルートがあったりする。それがあるから競い合うこともできるし、自分に課題を与えることもできる。
で、贅沢なことに妻の実家がある地区には巨石がいっぱいあり、週末ともなると県内外からボルダリング好きが集まってきて、それぞれいろんな石にくっついてます。一人で黙々とやっている人、カップルでやってる人。グループでやってる人。それそれがそれぞれのスタイルでやってる。


こんな感じ。
これはちゃんと装備をして、基本からちゃんとやっている人たち。


一方こちらは見よう見まねだけど、とりあえずみんな敷いてるし落ちたら痛そうなので落下事故防止のマットを作って現場で遊ぶ気合いだけは十分な椅子屋家族たち。


こんなでかいのから様々なサイズが山の中にたくさんあるんです。
近所に「魚動」と言うクライミングスペースができてから、うちの社員が通うようになり、現在楽しくて仕方がないみたいです。僕も基本を教えてもらいたかったので3回ほど行った。
壁についたホールドには色分けしたテープが貼ってあり、同じテープの色のホールドを使って登りつめる。ただ何でもいいから掴んで登るんでは簡単すぎるもんな。しかし、初めてやると指先の皮が痛いのなんのって。


いずれにしてもシューズとチョークは絶対いるもんだね。まぁそんな事言っているレベルの者がいきなりあんな岩に取り付いては怪我しますわ。
そして、その魚動より注文を貰って製作したチョークバッグ。このサイズが一番使いやすいってことです。



ブラシホルダーもついてます。


バックルを外すと口元はマジックテープで閉まるようになってます。
こんな仕事も請け負っております。

オリジナル ハイスツール

既成品の椅子では高さも合わず演奏中のちょっとした腰掛けには高すぎたり低すぎたりゴツかったりするので、かわいい椅子をオーダーしたいです。
と、岐阜在住のプロサックス奏者の粥川なつ紀さんからオリジナル椅子の依頼を受けました。
依頼を受けたはいいのだけど、座面の高さと座面の大きさと足掛けの高さに要望があるものの全体図はない。好きな色は緑だったかな。打ち合わせはその程度だった。
形はお任せします。
お任せ?
・・お任せって苦手です。
お任せって言われても・・・どんな形にしようかな。
っていうか、かわいい椅子ってどんなよ!?
かわいい基準なんてあってないようなもんだしね。
本屋でなんとなく目にとまった村上春樹の表紙の絵に「おっ、これなんか、かわいくない?」と思ったり。

高速道路を走っていて、いつも見るタワーを眺めながら、こんな感じもかわいいっていうのかなぁと、イメージが少しずつかたまり。
何枚か絵を描いて、なんとかかんとか初めて自分でデザインした椅子がこれ。


椅子屋になって17年経つけど、絵から完成品までやったのはこれが初めて。
脚の形と取り付けにこだわってみたものの見る角度でアンバランスな感じも受ける結果となってしまった。
良くも悪くも「正面」がある椅子なんです。良いデザインはどこから見てもバランスが取れていて安定感がある。まだまだですわ。でも、まぁいい勉強になりました。自分で言うのもなんだけど、可愛いやんこれ!
納品前にどうしても撮っておきたい写真を撮ってきました。
これが先に書いた高速を走っていると見えるタワー。


自己満足も大事ですね。おおいに自己満足できる椅子と写真ができました。
もちろん依頼主の粥川さんにも喜んでもらえたのが一番うれしかったです。
粥川なつ紀さんの公式ホームページとこの椅子がチョイ役?で登場するDVDの購入(予約?)はここからできます。
http://kosamota.com/

椅子張り1級技能士

椅子張り1級技能士とは
資格があってもクオリティの高い物が作れるわけではないし、良い物を作ることができても人とのコミニケーションが取れなければ仕事も来ないしね。
しかし、資格を得ることや資格を取るためにする努力は無駄になることはない事はわかっている。
資格があることで面倒な手続きが必要なくなる場合もあるから、あって邪魔にはならない物ではある。
ずいぶん前から椅子張り1級技能士の存在は知っていた。が、今まで資格に興味もなかった。
なので、取ることなんて考えていなかったが、1級技能士の試験を受けませんかと言うお誘いの文書を貰うに当たって社員に「取ってみる?」と聞いたら「やってみたい」と言うことになり合格への一歩を踏み出した。
どんな試験が行われるのかもわからないので先ずは講習会に参加することになった。
参加した社員いわく・・やばいわ・・100年前の椅子の作り方だってあれ。
「やったことがないことばかりだし、制限時間5時間と言うけれど6時間以上かかってしまうんだわ」
しかし、2年に一度しかない試験だし、難しいから余計に火がついた感じになってそれからほぼ毎日試験用のスツールを組み立ててはばらす作業の繰り返し。
その練習風景を見ててもちょっとやそっとの練習じゃ無理なのが良く分かる。
だって、いつもの仕事は機械が半分以上手助けしてくれるけど、今回の試験は道具を使ってすべて手作業だから時間短縮はすべて手際の良さにかかっている。
しかも美しく仕上げる。
何度やっても5時間が切れないと嘆いている社員に対して、よく分からない自分としてはアドバイスをすることもできない。
でも、練習のおかげで知らなかった技術や技法が身につき、知らなかった道具類を知ることができたんだし、それだけでもいいやん!って言うくらい。
試験が終わった翌日
どうだった?と聞くと
「ぶっちぎり!これで俺が落ちたら全員不合格やね。4時間40分で完成して一番、仕上がりも一番。誰が見ても俺が一番!」と言う返事が返ってきた。
いやいや、頼もしいです。
翌週には筆記試験もある。なので、過去問題集を手に入れて何年かぶりの試験勉強もした。
結果
当初は完成すれば受かる試験じゃないの?という期待とは裏腹に・・・ 
受験者17人中、合格者は4人。(全国平均でも合格者の割合は2割程度)
もちろん、ぶっちぎりです!発言をしていた写真は合格!
うちの会社にも1級技能士誕生です。
おめでとーーー
全員で大喜びでした。
1級の看板に泥がつかないように今まで以上に美しくて喜ばれる製品作りを全員でしていきたいと思います。
麻テープとヘッシャンを枠に固定。
星形に配置したバネを固定。
ヘッシャンでバネを包み。
よくほぐしたパームを乗せて固定。
ヘッシャンをかぶせて土手を作りながらパームを固定。
これで芯材の完成。
カバーの縫製ももちろん手縫い。玉縁も取り付け完成。

中の構造はこんな感じです。

こうして見ると、見よう見まねですぐできる仕事じゃないってのがよく分かる。
蓄積されていく技術と、柔軟な発想で、いい物作って行こうじゃないかと思うしだいです。