防水コーティングの効果

当社のバイクシートの改造や張替をするとき、必ずウレタンに防水コーティングを施します。
当社の防水コートは、ビニールでウレタンを覆ったり、縫い目に防水処理という物ではありません。
ウレタン全体に厚み約1mmの特殊な防水発泡体を接着します。
シート全体を完全に覆うのでウレタンに水が入りません。
縫い目から水の浸入はありますが、いつまでも水が染み出してくるようなことはありません。
また、エクセーヌやアルカンターラを張りこんだ場合でも、その素材自体に保水はしますが、乾いたウエスで水をふき取って、少し日光に照らせば乾きます。
ウレタンは空気の出入りによってその弾力を維持しているので、時にはベース裏の空気抜きを増設したりします。
ウレタンを完全に包んで、いわば風船のようになったシートがパンクしないようにそのような処置をしております。
この処理を施すことによって、ウレタンの寿命も伸び、座り心地も若干固めの腰のあるものとなります。
さて、以前当社で張替えをしたシートを破ってしまったということで戻ってきました。

見た感じでは、転倒時に木の枝か何かが刺さったように見えます。
1点に荷重がかかり、表皮が裂けたようです。
普通そのような破れ方をすると、中のウレタンもえぐられる場合が多いです。
そして、当然のことながら、破れてむき出しになったウレタンに水が浸入します。
はがしてみましょう

張り込んである防水コート材はウレタンに比べて引き裂き強度が数段高いので、破れずに済んだようです。
そして、破れた後もしばらく乗ったようで、汚れていますが水の浸入はもちろんありません。
お客様に見えない部分だからこそ、見えた時にうれしい処理はしておきたいですね。
それがプロの仕事だと思っています。

NOREV ミニカー 日野レンジャー 2010 ダカールモデル

前にも紹介したNOREVのミニカー
NOREV
今年も日野レンジャー ダカール2010モデルが届きました。


ウインカーレンズの後ろに小さく当社のステッカー・・。でも良いんです。
これがうちの誇りなんです。

ミニカーはこれで4台目となりました。
2005 2007 2009 2010モデルとなってます。
年代で微妙にカラーリングが違います。
日野レンジャーの歴史でもあり、当社の歴史でもあります。
日野レンジャーは日本レーシングマネージメント(JRM)の菅原親子がドライブしています。
会長の菅原義正さんは、ダカールラリーの連続出場でギネスブックに載ってる方なんですよ。

JRMの日野レンジャーには、2003からシートクッションのサポートをさせていただいております。
一度だけですが、ルマンにあるJRMのガレージお邪魔させていただいたことがあります。
ガレージも素敵だったのですが、ルマンといえば、そう、ルマン24時間耐久レース。
そのコースの一部(といっても公道なので特別ではありません)をレンタカーで走って興奮したのを覚えています。

菅原さんが、ライノ(小さなバギー)でモンゴルに出場された時もシートを作らせて貰ったり、車に限らずバイクのシートなども色々長いお付き合いをさせてもらっています。色々貴重なアドバイスをいただいて、その結果が今の当社のクッションの構成を決めているといっても過言ではないですね。

日野レンジャーの挑戦20年目となる2011ダカールラリー。
カミオンクラス優勝期待しています!

ミニチュア椅子

まだ一つも持っていないけれど、いつか沢山並べてみたいと思っているのがVITRAのミニチュア。
ミニチュアといっても、完成度は高く、お値段も・・・。
日本だとここで買えますね。
椅子は座ってなんぼ。と言うのはもっともですが、見て楽しめる椅子があるのも事実ですね。
製造中止でここでも買えないミニチュアがあって、海外のサイトで見つける度に連絡をとるんだけど、決まって在庫なしとの返事の後、それががサイトから消える。
その繰り返し。もう何カ国の取り扱いディーラーに問い合わせたか・・
そのミニチュアは、3年ほど前だったかオークションで驚くほどの価格をつけて落札されたコレ

まぁプレミアがついたから欲しくなったと言えばそうかもしれないけれど、実物見たときは衝撃的でしたね。
とりあえず椅子には見えません。貼ってあるアルミ板と、それを止めているリベットが飛行機のようだった。
円高だし・・と言う事でebay眺めていたらミニチュア椅子が色々出てました。

先日オットマンを修理させていただいたクッカプーロのカルセリ。どうしようかなぁ。
と、他も見てたら、こんな物も出ていた。

スタルクのスツール。
これは実物で本物。$4,100
以前演奏用にという事でハイスツールを作らせて貰ったのがきっかけで、これが気になっていたんです。
サックスの演奏用にぴったりではないでしょうか?もたれかかるように腰掛けて、ステップに足引っ掛けて・・
何よりこの椅子のたたずまいがいいですね。
バレリーナが踊ってるみたい。
話がそれました。
今回はミニチュアの話です。
このような精巧なミニチュアはVITRAしかないと思っていたけど、ある木工展に行ったときに見つけたミニチュア椅子。それはハンス・ウエグナー宅が1/5スケールのジオラマになっていて、屋根がついていないので上から覗けるけど、腰をかがめて窓から中の部屋を覗くと並べてある椅子やテーブルなど、まさに本物の家なんです。
それを製作した方は、個人で特注家具を作っている傍ら、趣味で製作しているとのことでした。
他にも自宅に沢山あるという事だったので、後日無理を言って工房を覗かせていただいた。
小さな納屋のような工房の二階に、それらがずらーーーっと並んでいました。
その時撮った写真が全て飛んでいってしまい手元にないのが残念ですが、木の椅子、金属の椅子、張りこみの椅子。ウエグナーをはじめ有名なデザイナーの椅子が沢山並べてありました。
それが縁でウェグナーに招かれ、彼の自宅にまで行ったという写真まで飾ってありました。

僕の手元にはその作品を並べて撮影したポストカードしかありませんが、この写真だけ見てもその完成度は分かるかと思います。
フィンユールの椅子なんて、木部の曲線がたまらないんです。
張りこんである革やファブリックの質感も完璧です。
と、アレもコレも殆ど手にとって見せて貰いました。
これらの椅子を作るための道具もまたミニチュアだったりするんですね。
現場には期待以上の発見が沢山あります。
それらの全てを見せてもらって、沢山お話が聞けたことはずいぶん時間が経っても忘れないものですね。
また機会があればお邪魔したいと思っています。
ちなみに僕が持っている唯一のミニチュア椅子はこれ。

雑誌の付録についていたポニーです。

CB1100 ショップオリジナル カスタムシート 大詰め

CB1100のカスタムシートも大詰めです。
今回は販売されるショップオリジナルでブラックレザーを製作しました。
落ち着いた艶で、柔らかな感じのシボ(革模様)です。
形状も決まりました。
写真はまだ試作段階。切り返しのラインやパイピングの色検討など、左右色を変えてやってます。

奥がノーマルです。見て分かるとおりリア部のボリュームとライダー部のハイシート化です。
タンデムライディングにも重点を置き、パッセンジャーの居住性も考えました。
もちろんライダー部の居住性や操縦安定性はシート幅やシート角度など検討を重寝た結果の形状です。

ノーマルシートの高さのままタンデム部のボリュームアップバージョンも同時に製作しました。
このカスタムシートは当社からの直販ではなく、バイクショップからの販売となります。
最終のまとめをしておりますので、もう少しお待ちください。

FERRARI F355 CHALLENGE OMPフルバケットシート  完成

12月の中旬頃作業の予定でしたが、予定よりも早く作業をすることになりました。
お客様との打ち合わせは前回のブログをご覧ください。

届いたシート単体で見てもウレタンが劣化して全体的にやれているのがわかります。
ウレタン劣化によって弾力がなくなり、その為に出る表皮のたるみ、シワも酷い状態です。

まだ、弾力があるように見える部分も、指でこすると粉状にポロポロと砕け落ちます。

劣化したウレタンは再利用できないので、全て取り除きます。

クッション部分を当てて、シェル部とのクリアランスを確認しながら、シェルに新しいウレタンを貼り付けていきます。

当然、座面や背面のウレタンも新作します。シェル、背面、座面とウレタンの硬さは全て違います。
今回はドライバー席にT-NETも挿入して、薄いながらも底付きのしないクッションにしました。
全て新作するので、厚みやホールド感を自由に変更できます。

完成です。

今回使用した表皮材はアルカンターラ。アルカンターラを使用した場合、アルカンターラを証明するタグを取り付けます。
しっとりとした感触で、適度な滑り止め効果もあり、本革などに比べて蒸れずにメンテナンスも容易です。
フルバケに限らず、一般車両やキャンピングカーのベッドなど、椅子に関するものなら新作から張替まで当社では随時承っております。お気軽にお問い合わせください。