ダカール用シート。SEAT of CRF450RALLY

シートの協力をしたホンダのダカール優勝があまりにも嬉しいので、ダカール用シートについて、書ける範囲で書いてみました。

CRF450RALLYのシートは特別ではあるものの、使用している材料は一般のお客様のシートに使用しているもの変わりません。
長距離を快適に移動するための衝撃吸収材T-NETをはじめ、ノグチシートオリジナルウレタンなど全て同じです。
基本的にはこんな構成です。
世界一過酷なダカールラリーで証明された耐久性や快適性は、そのまま一般のお客様にフィードバックしています。
想像ではなく実際の体験やデータに基づいたノグチシートが多くのお客様に喜んでいただけている理由がここにあると信じています。

前置きが長くなりました。

2013復帰第一戦のマシンはCRF450Xの改造車でした。
ホンダワークスがダカールラリーに復帰するマシンのシートに、ノグチシートを選んでくれたホンダは凄いなと思いました。
だって、従業員10人以下の小さな会社が、ワークスマシンのシートの担当ができるのかと言う意見もあったと思います。
この時から、各ライダーに合わせた形状に作っております。
ダカール本番前のモロッコのラリーや、テストなどでマシンのセッティングが煮詰まっていく中で次々とシートへの要望が変わっていきます。
こうした流れは今でも同じです。

2014はいよいよ本格的なラリーマシンが登場しました。
CRF450RALLYです。
全てが新設計のラリー専用マシン。
あまり欲を言ってはいけないと思いつつ、この時のシートのようにサイドにノグチのロゴが入った状態で優勝できれば・・

2015
そういえば、2015のこの年だけシートにロゴが入らなかったんです。
でも、シートはノグチシートです。
この年は女王ライアサンツも乗ったんだった。

20162016はシートの形状を大幅に変えた年でした。
上の2014の写真と比べてもその形状の違いが分かるかと思います。
そして、この年からロゴがシートに戻りました。

2016ダカールが終わった後、2017ダカールに向けてのテストに同行しました。
場所はアメリカからメキシコのソノラ砂漠でした

右下の麦藁帽を被ってる彼は、今年優勝したリッキーブラベックです。
リッキーとご飯食べている時に「野口はラリーやるのか?」とリッキーに聞かれて「1992オーストラリアンサファリでね・・」って言ったら「・・俺の生まれた年だよ」って。
ソノラ砂漠の灼熱の中、走るライダーたちを見ていて、自分と比べるには失礼なくらい、世界のトップの次元の違いを見ることができました。
ライダーの生の声を聴くのも重要なことなんです。

20172017は冠スポンサーにエナジードリンクのモンスターがつきました。
この年くらいから、ライダーのシートカバーの好みが分かれてきました。ウルトラスエードだったり、ハイグリップビニールレザーだったり、そこそこグリップするものだったり色々でした。
南米ダカールは年々雨の多さが目立ってきたのもあり、またレースのハイスピード化が主だった理由です。

ノグチシートはダカールのシートを作るだけではなく、使う側としてもテストをしてきました。



2012モロッコ 2014チュニジア 2019アルジェリアと、速度域もテクニックも全てのレベルはワークスライダーには及びもしませんが、自ら走ることで色んな事を感じることができました。自分なりにシートはこうしたらもっといいんじゃないかと考えるには、やはり現地で同じようなシチュエーションに身を置くことだと思っています。

2018-20192018 2019はライダーの好みも色々内容が細かくなり、カバーのグリップ力、ウレタンの硬度、角の丸み、シートの角度、幅などオーダーが細かくなってきました。それは、シートは色々改造できるんだという認識がライダーに理解してもらえた証拠だと思っています。

そして優勝した2020年ダカールラリー
今回は数回のテストシートを製作の後、最終的には全てのライダーが一番強いグリップのカバーを選び、優勝したリッキーブラベックからは、テスト段階から超ハイスピードに耐えうる形状のシートを求められ、大まかなイメージを貰い製作。テストを経て本番のダカール用の形が出来上がりました。変形シートは形を作るだけではなく、その形がもたらす効果が最大限に発揮できるような素材選びと工法が必要になります。
このシートが優勝に少しは貢献できたのではないかと思ってます。

 

こういう写真はシート屋冥利に尽きます。
写真を撮ってくれたスタッフや、シートをアピールしたポーズを取ってくれたライダー本当にありがとうございます。

こうして書くと8年はあっという間のようにも思えてきますが、シートひとつとっても様々な問題が起きるたびに解決をしてきました。
これがマシン全体となると、スタッフの皆さんは気が遠くなる作業だったと思います。
ノグチシートとしての夢の一つであった、ダカール優勝マシンのシートは成しえることができました。

次の目標は連覇であることに違いはないのですが、ノグチシートは今以上にライダーたちに満足してもらえるものになるよう研究と開発、要はもっとたくさんいろんなところでバイクに乗ろうと思います。

そして一番大事なことを。
ダカールスペックのシートが欲しいというお客様はお気軽にお問い合わせください。
お客様に合わせたダカールスペックのシートをご提案させていただきます。