BMW R100RSのシート

 

気になって昨年末に試乗してみた BMW R100RS
これが発売された当時はまだ免許も持っていなかったし、免許を取ってからはパリダカの影響もありR100GSやR80GSには興味を持ったけど、RSの頭でっかちのカウルやマシン性能などから気にもとめていなかった。



しかし、気持ちは変わるもので、ここに来てと言うかこの年になって、このデザインにやられてしまいました。
ハーレーのスポーツスターXL1200Sは10年ほど乗って、そのスタイルやエンジンの性格も気に入ってはいたのですが、スモールタンクということもあり航続距離が200km弱と少し長距離ツーリングには不安がありました。

そこで気分転換に買ったNC700Xが長距離ツーリングやタンデムツーリングにとてもよくできたバイクで、購入後半年で5,000kmほど乗りました。
また春になったら何処に行こうかなと思っていた時に、たまたまこのR100RSに出会って即決。
RSでもこんなことしてる人もいるし。
イメージはこんなジェントルな感じなんですけどね。
スーツで乗ることはないけど、まぁいいです。
本題です。

さて、購入したバイクは丁寧にオーバーホールされて、電装部品もすべて対策品に換装されているということなので、いつものごとくシートから改造です。
と言うか、納車までに時間があるのでシートだけ手に入れて先に改造です。

RSのシートベースは鉄でできていて重いです。
シートカバーはブラインドリベットで留めてあり、それをすべて外してカバーを外します。表面のエンボス加工の下地となるクッション材が、柔らかいウレタンではなくウエルダー用のPVC発砲シートで、これがシートウレタンにくっついてなかなかはがれません。
ウレタンとシートベースを分解するとこのようになっています。
硬めのシートウレタンのボトムに柔らかく弾力のある発泡ゴム(発泡PVC?)の2層構造になっています。
R100GSも同じような構造でしたが、ここまで大きく入っていなかった記憶です。タンデム部分にも十分なクッション性が持たせてあります。
それと、写真で赤い丸で示した部分ですが、これはブラインドリベットの足が当たっていたところです。
シートベースにしっかりと接着剤で固定されていたので、穴が大きく削れて広がっていません。当社のシートもシートベースには接着剤で固定するのですが、わずか1mmでも飛び出たタッカー針によって、経年でウレタンが1cm程度穴が開いているシートウレタンを何度か見てきてるので、やはりシートベースとウレタンの接着は重要だなと改めて思ったところです。
ちなみにシートベースに接着されず数年乗ったシートウレタンは、タッカー針のわずかに飛び出た足によって、ウレタンにこんなに穴が開いてしまいます。
ボトムのクッションの柔らかさが写真でも伝わるかと思います。
この部分は劣化が激しかったので、ボトムのクッションはそっくりノグチオリジナルウレタンと衝撃吸収材T-NETで作り直すことにしました。
ウレタン自体は大きなダメージがないのと、保管状況がよかったのか感触も問題ないので表層面を削り取って加工します。
シートの形状を作っているシートウレタンの厚みは薄いところで20mmあるかないかなので、シート形状を楽に復元できるレベルまで表面層を落とします。
ハイシートにしたいところですが、あまり高くすると低めのハンドルとのバランスが取れないので10mm程度のハイシートにします。
全面に10mmのオリジナルウレタンを貼ります。
R100RSのシートはサイドが立っているので、10mmのあんこ盛であれば、サイドを盛る必要はないと判断しました。
どんどん削ります。
一通り削って形を整えたので、いったんシートは養生してカバーのデザインを考えます。
絵を描いてあーでもないこーでもないとラインを引いてみますが結局決まらないうちに納車となりました。
実車に付けて見たほうが形状もこれで良いのか判断できるので、装着した比較写真です。
10mm増した分の厚み増は感じますが、タンクからの流れもいい感じなのでこのまま張り込みに移ります。
EVAで防水をしてから
シートに直接ラインを引いてまた悩む。
一番苦手なところなんです。かっこいい切り替えとかデザインって何だろう。
タックロールもいいし、切り替えが多いのも良いだろうなと思うけど、ひとまずプレーンな張替えで行ってみます。
生地はもちろんウルトラスエード(アルカンターラ)
このシートは比較的少ない7パーツで構成されます。
生地の毛の流れがあるので、その流れに合わせて型入れをします。当然のことながらロスが出てしまいますが仕方がありません。毛の流れを合わせないととても残念な仕上がりになるからです。
このシートは鉄のベースでタッカー針でカバーを留めることができないため、リベット留めです。なので張り込みが少々大変です。
張っているところの写真がなくてすみません。いきなり完成です。
近くで見ないとわかりませんが、後部のステッチにBMWのMラインのステッチを入れてみました。R100RSには関係ないだろうと言われそうですが、嫌いな配色でもないしまぁ良いかという軽いノリです。


違和感ないハイシートになったかなと思います。
地味と言えば地味ですが、案外このつるっとした感じもいいです。
言い換えると、タックロールや装飾がないのでシートの形状にごまかしができません。ほんの少しの違和感が、少しではなく結構目立つんです。だからこうしたカバーリングは腕の見せ所でもあります。(と、プロが自分で言うものでは無いですけどね)

と言うわけで、春になったらこれでまた旅に出ようかなと思います。
また、うどんの旅かな。
昨年から始めた長距離ツーリングの楽しみがより一層大きくなりました。
それと、NC700Xのシートを作った時にも書きましたが、今回も厳しいタンデムシートの評価があるので、試乗の時からその乗り心地を確かめてもらい、改造でもタンデムを重視した作りになっています。
旅の途中で壊れないように、壊れてもなんとかできるように、今からいろいろ触って勉強です。

続き

やっぱり少し地味かなと、ノーマルの座面模様を踏襲してもう一個作ってみた。

サイドはB-46のザラザラしたビニールレザーを使いました。
座面のウルトラスエードのタックロールがしっかり出るように硬い8mmのウレタンでモコモコ感を出してみたら、やはりこっちのほうがかっこいい。

 

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