破れたシート CRF450RALLY

5月にメキシコのソノラ砂漠で開催されたソノララリー。
優勝はリッキーブラベック3位にコルネホとHRCの活躍が目立つレースでした。

最終日に現地からこんな写真が届きました。
犬にでも齧られたのか?という冗談はさておき、シートに欠陥があったのか気になるところでしたが、理由を聞いたら大きな問題ではなくホッとしました。
ついでに何枚か写真を撮ってもらい、今まで対策をしてきたところを検証させてもらいました。秘密の黒い布もちゃんと仕事をしてるようです。
どこの会社も同じかもしれないですが、問題が起きると過剰にそれに反応して、なぜそうなったのか、対策はどうするのか、二度と起きないようにするには・・・等々、書類や会議でうんざりすることがあります。
勿論今回の破れに関しても、ライダーが「破れないように対策をしてくれ」と言えば対策をします。しかし、そうでない場合は無闇に仕様は変えません。
破れた理由もわかっているからです。別の対策をすることで本来の性能が損なわれては意味がないのです。
なんてことを考えていたら
ワハハ ってな感じでこんな写真が届きました。破れた理由も書いてあるし。
優勝ライダーの余裕か、チームの余裕か、いずれにしてもこういうノリは好きです。
それなら周りにいる、そうそうたる面々のサイン書いてくださいとお願い。
3位のコルネホ ジョニーキャンベル 引退して戻ったかと思ったら5位に入ったケンドル メカのエリックやゲージ そして謎の人。
この車両は一旦日本に戻すから、シートはこのまま付けて戻すねと。
日本に届き、シートを見た担当から連絡があり、シート送りますと言うことで先日届きました。


一言添えてあるのがうれしいですね。
超一流のチームの面々がこういうことをしてくれるとやる気も出ます。
そして、届いたシートは分解。
破れたところのウレタンは別として、やはり実戦とテストで酷使されたシートの中身はとても気になります。一般のユーザーが使うレベルの数倍のストレスがシートにかかっているので細かく確認です。
接着部、ウレタンのへたり、衝撃吸収材T-NETのへたり、全体の形状、シートエッジの状態などなど見るところはたくさんあります。
自分で書いてしまうと嘘っぽくなってしまいますが、どこも問題は確認されることはなく、接着剤、ウレタン、工法どれも現状のままで問題なく安心したところです。
問題が無いと一言で書いてしまうと簡単なのですが、ウレタンとウレタンを接着することは簡単なのですが、接着方法と素材の性質が悪いと、接着面はそのままに。その横から破断していきます。なので、ウレタンの接着はなかなか難しく、今までさんざん失敗も重ねてきた結果なので、こういう結果を基に安心して作業ができるので無駄なストレスもありません。

極限のレースにシートを提供するメリットとして、耐久性と乗り心地性能の実験結果が得られると言うことです。さらに、トップライダーのリクエストに対する加工技術の向上や、一般ではリクエストされない乗り心地のリクエストに対する答えの用意などによって、一般のライダーの要望に広い範囲で応えられるようになることが挙げられます。必然的に製品は良いものとなっていきます。

今回の破れたシートは良く目立つところに飾っておこう。