BMW R100RSのシート 3個目

 

自分のバイクシートを作るのは試作でもあるし、確認でもあるんだけど、同じもの作るのは面白くないし、なにより面白くないと手も頭も動きません。
それと自分で作るモノが欲しいと思えるのはすごく幸せだと思ってます。

RSを購入して3年目となり、今まで作ったアンコ盛りシートではなくてノーマル形状のシートだとポジションが低くなって乗りにくくなるかの検証をしてみようと思いました。

今乗っている15mmアンコ盛りのシートは乗り心地やポジション違和感はないのですが、厚みが増した分やはり厚ぼったさは否めない。
前に作った記事もあるので良かった見てください。
気になることは検証しないといけないので早速開始。
ヤフオクで落としたけど
結構腐ってる・・
ネジが生きているのが唯一の救い。

さびさびです・・
シートウレタンは2層構造になってるのですが、ボトム部のウレタンは柔らかい発泡ゴムなので撤去。

ちなみに、こんな感じのシートの改造依頼が来たら、それなりのコストがかかるので程度の良い中古を探すことをまずお勧めします。
もしくは社外品でも良いものがあるので、その新品を付けてもいいかと思います。

その部分に衝撃吸収材T-NETとオリジナルウレタンを充填。
と言う加工写真があったはずなのに全部消えてる。
結構しつこく撮ったはずなのになぜないんだろう。
鉄のシートベースは歪んでいるし、凹んでいるし、腐って欠落してるので修正と板金加工。

いきなり防水コートの写真でごめんなさい。
シートベースは再塗装して、ウレタンはリフレッシュ。
形状はノーマルと同じ。
ライダー部とタンデム部の境もはっきり、タンデム後部の反り上がりもしっかり出ています。

デザインどうしようかなと、いつも通り線引いてばかりで進まない。
ノーマル形状だからノーマルの模様の再現でもいいけど、結局ノーマル風タックロールにしました。

タックロールを座面の7割くらいまでにしたけど、これでよかった。
タックロールは5mmの低いタイプで、ウエルダーで模様を付けました。
ミシンでタックロールを入れる方法が一般的ですが、フラットバーで溶着するタックロールもかっこいいです。

テールカウルとシートのくびれ部分の流れが綺麗に出ているので気持ちがいい。

生地はウルトラスエードにサイドは定番のB-08。半艶の革シボでごくごく普通のビニールレザーです。最近はウルトラスエードとビニールレザーのコンビがかっこ良く見えるので、そうしています。

このバイクは長距離を座ったまま走る事が多いので、これからの季節は特にウルトラスエードの蒸れ防止がありがたいです。水のしみ込みを心配する方は多いと思いますが、ウレタンには防水コーティングが施してあるので、表面が濡れるだけで思いのほか早く乾きます。

シートベースの板金修理のおかげで、タンクとのチリもきれいに収まってる。


こうして見るとノーマル形状もいいですね。
あとは乗り心地ですけど、長年の経験でまたがった感触から15mmアンコ盛りシートとさほど変わらない気がします。
メリハリのある形状は良いですね。
ベースはボロボロでしたが、10年以上は問題なく使えるシートに生まれ変わりました。

という事で走ってきました。
横から見るとタンクからテールかけての形状がかっこいいです。
やはり今までより低くなったので膝の窮屈さはあるけれど、直ぐに膝が痛くなるようなレベルではないかな。
タンデム部の立ち上がりにシートストッパーとなる部分が、私の身長だとちょうどいい場所になりお尻の収まりもいい。
アンコ盛ったシートの乗り心地は捨てがたいけど、ノーマルの厚みでも問題なさそうなのと、何よりこっちの方がかっこ良く見えます。

山の家の風景にも合うR100RS

今のシートで満足なら何個も要らないんじゃ?と言われたことがあるんだけど、1個作ってそれで満足してたらなんの発展もないんです。
疲れる、お尻が痛い、窮屈、色が変、カバーの切り替えがおかしい、などと満足しない経験をたくさんしないと良いものは作れないと思っています。

最近はたくさん自分用の思い切った失敗作を作ってきたおかげで、作ってからモヤモヤすることは少なくなってきましたが、それでも作るたびに「もう少し」が現れます。

その繰り返しによってノグチシートの精度が上がってきたのではないかと思っています。お客様に基本的な仕上がりの指摘を受けることはここ数年ありません。
乗り心地についてはやってみないとわからないのですが、概ね良い評価をいただいています。せっかくノグチシートに依頼してもらったんだから、その期待には高いレベルで応えたいと思っています。