椅子張り1級技能士

椅子張り1級技能士とは
資格があってもクオリティの高い物が作れるわけではないし、良い物を作ることができても人とのコミニケーションが取れなければ仕事も来ないしね。
しかし、資格を得ることや資格を取るためにする努力は無駄になることはない事はわかっている。
資格があることで面倒な手続きが必要なくなる場合もあるから、あって邪魔にはならない物ではある。
ずいぶん前から椅子張り1級技能士の存在は知っていた。が、今まで資格に興味もなかった。
なので、取ることなんて考えていなかったが、1級技能士の試験を受けませんかと言うお誘いの文書を貰うに当たって社員に「取ってみる?」と聞いたら「やってみたい」と言うことになり合格への一歩を踏み出した。
どんな試験が行われるのかもわからないので先ずは講習会に参加することになった。
参加した社員いわく・・やばいわ・・100年前の椅子の作り方だってあれ。
「やったことがないことばかりだし、制限時間5時間と言うけれど6時間以上かかってしまうんだわ」
しかし、2年に一度しかない試験だし、難しいから余計に火がついた感じになってそれからほぼ毎日試験用のスツールを組み立ててはばらす作業の繰り返し。
その練習風景を見ててもちょっとやそっとの練習じゃ無理なのが良く分かる。
だって、いつもの仕事は機械が半分以上手助けしてくれるけど、今回の試験は道具を使ってすべて手作業だから時間短縮はすべて手際の良さにかかっている。
しかも美しく仕上げる。
何度やっても5時間が切れないと嘆いている社員に対して、よく分からない自分としてはアドバイスをすることもできない。
でも、練習のおかげで知らなかった技術や技法が身につき、知らなかった道具類を知ることができたんだし、それだけでもいいやん!って言うくらい。
試験が終わった翌日
どうだった?と聞くと
「ぶっちぎり!これで俺が落ちたら全員不合格やね。4時間40分で完成して一番、仕上がりも一番。誰が見ても俺が一番!」と言う返事が返ってきた。
いやいや、頼もしいです。
翌週には筆記試験もある。なので、過去問題集を手に入れて何年かぶりの試験勉強もした。
結果
当初は完成すれば受かる試験じゃないの?という期待とは裏腹に・・・ 
受験者17人中、合格者は4人。(全国平均でも合格者の割合は2割程度)
もちろん、ぶっちぎりです!発言をしていた写真は合格!
うちの会社にも1級技能士誕生です。
おめでとーーー
全員で大喜びでした。
1級の看板に泥がつかないように今まで以上に美しくて喜ばれる製品作りを全員でしていきたいと思います。
麻テープとヘッシャンを枠に固定。
星形に配置したバネを固定。
ヘッシャンでバネを包み。
よくほぐしたパームを乗せて固定。
ヘッシャンをかぶせて土手を作りながらパームを固定。
これで芯材の完成。
カバーの縫製ももちろん手縫い。玉縁も取り付け完成。

中の構造はこんな感じです。

こうして見ると、見よう見まねですぐできる仕事じゃないってのがよく分かる。
蓄積されていく技術と、柔軟な発想で、いい物作って行こうじゃないかと思うしだいです。