三式戦闘機「飛燕」の復元が近所にある川崎重工で始まっているのは新聞で知っていたけど、特に気にすることはありませんでした。
ある日、取引先の家具屋さんから「こんなもの張れますか?」と、図面を手に打ち合わせに来られた。川崎重工の飛燕復元メンバーの方が、近くで飛燕のヘッドレストを作れるところを探してその家具屋さんに辿り着いたそうです。
話を進めるうちに家具屋さんは外れて、直接当社と川崎重工との打ち合わせが始まりました。
機体の復元は進められているけど、当時の資料が極端に少なく、なかなか手ごわいという話をされていました。当社が受け持つヘッドレストクッションも当時とほぼ同じ材料を使い、忠実に再現するというもので、当時の資料を基に先ずは材料と製作方法の提案をしました。それらをもとに作業仕様書を製作しヘッドレストの完成となりました。小さな部品でこれだけ詳細を詰めるということは、全体の復元にどれだけの苦労があったのだろうと、関係者の努力に頭が下がります。
ほんの少しのお手伝いでしたが、役得で内覧会に参加させていただき、機体を間近で観させていただき、さらに担当の方から機体やエンジンの詳しい説明をいただきました。
戦争の道具と言うこともあり複雑な心境ですが、それを抜きに見ると当時の技術者の苦労やアイデアがたくさん詰まっている素晴らしい機体でした。