2023ダカールラリーに向けて準備開始 CRF450RALLY HONDA

まだ世界中はコロナ禍において様々な制限があり、思うような移動やイベントができない状況です。
しかし、そんな中でもHRCダカールチームは2023ダカールラリーに向け始動しました。
写真は2020優勝のリッキー・ブラベックのウイングシートと、今年からHRC入りとなったパブロ・クインタニラのシートです。
リッキーは先月のソノララリーで優勝しましたし、アンダルシアラリーではジョアンが優勝と2023ダカールに向けた諸々のレースは、HRCにとって順調なスタートだと思います。
ダカールラリー3連覇目指して頑張って欲しいです。

HRCダカールチームへのシート供給はこれで10年目となります。
10年もの間、ホンダとライダーが当社のシートを要望してくれたことは感謝しかありませんが、同時に求められるシートを机上のデータではなく、きちんとした形や性能で応えられるか高い次元で常に応えてきたという自負もあります。
あっという間の10年のように思いますが、この10年で当社の材料の性能や技術が飛躍的に伸びました。
写真は2013ダカール。ホンダがワークスとしてダカールラリーに戻ってきた年です。
ベース車両はCRF450Xでラリー仕様にしたものでした。
シートにはノグチシートのロゴも入っております。
2012からジョニーキャンベルレーシングのシートのサポートをはじめて、今までになかったシートへの要望がアメリカからたくさん届くようになりました。
その為に材料方見直しを図る必要に迫られました。
シートの大部分を構成するウレタンは、バイクシート用に金型から製作をしてオリジナルウレタンを作りました。
当初は様々な密度・硬さを試行錯誤し、現在のオリジナルウレタンにたどり着きました。
衝撃吸収材T-NETも同じく、挿入する位置や厚みなど様々な試作を経て今に来ています。
2014に登場した新型CRF450RALLYです。
シートのロゴが誇らしいです。
2015からはxxxな事情でこのロゴ位置にはHONDAと入るようになりました。
まぁそのおかげと言っていいのかわかりませんが、苦肉の策でウエルダータグを思いつき製作。

シート後部に付けたこれです。
ウエルダータグもこのように種類が選べるようになりました。
サポートをすることで付加価値の高いものになっていくのではなく、付加価値が高くなる創意工夫なんだと思っています。
勿論、ホンダブランドは巨大で価値の高いものとして世界中に知れ渡っていますが、社員10人に満たない小さな会社が、そのホンダのシートを作っているわけです。これが結構大変です。
大変だからすごいわけではないのですが、会社というものは利益の追求が伴わないと先に進みません。サポートをすることで結果的にブランド力を上げ、商売と上手に合わせて進む資金力もつけてきました。資金が尽きればすべて終わりなのです。
また、この10年で3回サハラ砂漠のラリーに自ら参加してシートの開発をしてきました。ワークスライダーとはスピードも何もかも及びませんが、ラリーという同じ環境で走る事で、ライダーの言葉で表せない要望が汲み取れたらという思いからです。
なんか偉そうなことを言ってますけど、基本は自分自身がラリーが大好きというのもあります。
いつかはパリダカ!と中学生の時から言ってました。
パリダカには出れてないけれど、3回もサハラを走れたことに割と満足しています。
HRCのテストに参加して、道具と材料を持ち込んで砂漠でシートも作りました。

この時、トップライダーの信じられないスピードを目の当たりにして、シートに対する考え方を少し修正した覚えがあります。

こうして培ってきた技術が多くのノグチシートのファンを増やせたのだと思います。
先日お客様からこんなメールをいただきました
・・・始めは、この固さで衝撃は・・・?と思いましたが
いつも、ガツンとくる衝撃を食らう道路でもかなりソフトになりました。
シート高さもちょうど良くスエードも滑らず、ガシッとして大変良い感じでした
・・・・
今皆様にお届けしているシートがまさにこれです。
「硬いのにソフト」
言葉では伝わらない、体感しないとわからないこの感じなのです。

オリジナルウレタンと衝撃吸収材T-NETの組み合わせ、ダカールスペックのシートが一般ライダーの日々の使用に十分効果を発揮できるものであり、ワークスシートが特別なものではなく、ノグチシートが製作するシート全てがワークスと同等の製品であると認識いただければと思います。
製作する私たちも自分で作ったシートでツーリングを楽しんでいます。
長距離が苦痛でなくなり、あちこち寄り道がしたくなり、もっと走って居たくなるシートを目指して研究開発を重ねていきたいと思います。