とあるショップにて

久しぶりにお邪魔したバイクショップに、当社のシートが付いたバイクが置いてあった。
ショップの社長曰く「たまたま当店で新車を購入されることになったお客様の、下取り車についてましたよ」と言うことでした。

アルカンターラで張り込まれたシートで、裏側からはT-NETの挿入が確認できる。
このように、一般の方がしばらく使用したシートは、普段検証する機会があまりないのでシートの裏側まで見せてもらった。
表皮のたるみもなく、テンションも均等を保ち、クッションの感じも問題ない。
どのような使われ方だったのかまではわからないけれど、アルカンターラの質感も上品さを保ったままだったので、これからもさらに安心してお客様にご提案ができます。

そのショップには、さらにもう一台当社のシートが付いたバイクが置いてありました。
いろんな場所で、当社のシートを装着したバイクを見ることができるように、もっともっと皆様に愛されるシートを製作して行きたいと思います。

野口シートの製作風景  XRシートの改造編

ある企画でXRのシートを製作した時に撮った写真と原稿があるので、まとめなおして掲載します。
XRがカタログから落ちてもう3年程経ちました。
XR系にはたくさん乗りました。XLR250で初めての国内ラリー、ツールドブルーアイランドに出場し5位。だったかな。初出場で上位になってうれしかったです。
その年の夏(1992)にはオーストラリアンサファリにXR250で出場。
今の自分があるのも、この時のXR250がすべてと言っても過言ではないですね。
その後、XR600やXR650、途中でツインキャブのXLX250やXR400なども乗りました。
どれも故障知らずで、安心して乗れるのがXR
それはXRのメカニカルな完成度の高さと、攻撃的ではないがそれでいてレースからツーリングまで幅広い分野で使えるマシンはそうそうないと思います。
私も21歳の時からXLR250 XR250(ME06) XR400 XR600 XR650R 現在は友人が世界一周で使用したXR250(MD30)と、多くのXRにお世話になってきました。
今回の改造内容は、数あるプランの中の一つに過ぎません。
しかし、すべてのシートは同じ工程を経て製作されいます。
皆様の今後の改造の参考になればうれしいですね。
XRシートの改造編
ファイルを見るのにPDFリーダーが必要になりますので、こちらからダウンロードしてください。

シートの打ち合わせなど

ほとんどの依頼は、Eメールから始まってEメールで終わってしまいます。
お客様の要望に限りなく近づけるために、写真や絵で何度もやり取りをします。
高さや形状などは絵でしか表現できませんが、表皮や糸などは現物を写真に撮って確認していただいております。

これはノーマルの色に近い物をというお客様に、ノーマルシートにサンプルを合わせて、何枚か写真を撮って確認してもらいました。

ステッチ色も、実際縫ってみてその色合いを写真で判断いただくこともできます。
全国各地からの依頼なので、たとえ日本の真ん中の岐阜でも近い!というわけにはいきません。
しかし、実際バイクで来て詳細を詰めたいというお客さまも多くなってきました。
来社いただくのは近くの方が多いのですが、東京や大阪からなども割と多くの方がお見えになります。
現在加工中のBMW F650のお客様は「アンコ盛りをしつつ足つき性は極力現状維持をしたい」ということでした。

このように現状の確認をします。
盛るイメージをお客さまに伝えて、持っても足つきがよくなるプランを提案するのですが、その場合バイクがあると私自身も、またがっていろいろな確認ができます。
また、取り外してしまうとわからない、車体とシートの関係なども発見できることがあります。

F650の場合、シート前部のウレタンがサイドカバーよりはみ出ています。シートベースはありません。
この部分は、シェイプしてしまっても乗車中は干渉する場所ではないので削ることができます。
今回はアンコを盛って、この部分を5mmほどシェイプして前部をくびれさせて、足つきの確保を目指します。
このシートは、まだ製作中なので後日また報告いたします。
こちらは3輪バイク「鋼(HAGANE)」

このバイクはうちから5分程度の工房で作っています。

シートの相談で来社いただきましたが、こうした珍しいバイクを見られるのも楽しみの一つですね。
はじめて現物を見るバイクなどは、いつも興奮してしまいます。
またがらせていただいて、シートの感触を記憶したり、細部にわたって眺めさせていただくことが多いですね。

F1の前輪のようです。
Eメールでも、来社いただくお客様でも、できる限りわかりやすい情報をお伝えしようと努力しております。
オーダーやシートに関する質問などは遠慮なくどうぞ。

先ず、自分で試す。 バイクシート

新素材が手に入った時、先ず自分で試します。
素材のカタログスペックは、体感の次でいいと思っています。
体感具合が良かった場合の補足説明としてあればいい程度ですね。
自分が試した次は、自分ではなかなか行えないテストに入ります。
ラリーレイドや長距離ツーリング、長期間に渡るテストなどを、しかるべきライダーにモニターとしてお願いします。
これも、単純に「良いか悪いか」の評価を貰い、お蔵入りになる材料もあれば、他の材料と複合して再度テストを繰り返したりします。
今回は、メインで使うウレタン。
今まで使っていたウレタンよりも弾力があり、硬度もある。
加工性もよいので、お客様の選択肢を一つ増やす事ができます。
さまざまな要望に応えるためには、技術だけではなくそれに伴って素材もたくさんあった方がいいと思います。
テストをするときの基本は、ノーマル形状で表皮もノーマルに近いものから始めます。
ローダウンしたり、ハイシートにしたり、表皮を変えたりとすると、何が良くて何が悪かったのか分からなくなってしまします。この結果をベースに、次のステップに進みます。

前回のラリーでは、現在お客様に提供しているシートを自身であらためて確認できた。これはこれで問題は無い。
しかし、このままでいいと止まった時点で、技術は維持するが進化はありません。
焦って新素材ばかりを追いかけるのも良くないです。
良いと思う素材をじっくり料理して、いつでもどこでもその性能を発揮できる状態でお客様に提供しなければなりません。
しかし、今回はツートラ。
準備隊の映像がユーチューブに上がっていました。ちなみにBGMの優歌団は好きです。

・・・・うーーーん
マシンはKTMだし(いいわけではないんですよ)・・
座ったままで移動するラリーと違い、山や沢を映像のように進むわけで、トライアルマシンではない私の場合は、押して押して押しての連続かと思います。それでも、少しはテストができるでしょう。
テストのシチュエーションは、多ければ多いほうがいい。

さーて、行ってきます。

ヨシムラ GS1000 8耐優勝車レプリカ 

もうすぐ8耐ですね。
私も、ロードレースに憧れた時があり、実際に18歳から数年間、鈴鹿サーキットや中山サーキットなどをTZR250で走っておりました。
免許を取る前の高校生の時は部活を無断で休み、先輩にグーで殴られるの覚悟で鈴鹿8時間耐久レースを見に行きました。
ケニーロバーツが復活して、平忠彦と組んでトップを走っていて優勝間違いなしと思われた残り30分でのストップは今でも忘れられません。
それと、シケイン立ち上がりの金網にへばりついて見た、ケニーロバーツのハングオンの美しさもいまだに覚えてます。
やはり夏と言えば8耐ですね。
さて、それより少し前の1980。
ヨシムラがGS1000で優勝しました。
そのマシンのレプリカのシートの依頼を受けました。
ベース車両はGS1200SS

クッションは発泡ゴムの貼り付けだったけど、そこにビニールレザーを追加して貼ったがいまいち具合が良くない。
なので、次のような内容で製作をしました。
1.クッション新作 厚みアップ
2.先端部延長 クイックファスナーの逃げを作る
3.アルカンターラで張り込みをする デザインは打ち合わせにて
クッション部はカウルにしっかりと糊付けがされており、綺麗に塗装されたカウルに傷を付けないようにはがすところから始める。
現状のシートは、カウルのエッジよりはみ出していたので、事前に気になる点の寸法などを計測して新作をしました。
取り付けは、ノーマルと同じように糊と両面テープで貼り付けです。


アルカンターラの質感がいい感じです。
赤のダブルステッチも、カウルのカラーに合っていると思います。