2022HRC感謝の会

3年ぶりの2022HRC感謝の会にお招きいただき、ホンダウエルカムプラザへ伺いました。
HRCのレース活動を応援する国内の企業が集まってます。
チャンピオンマシンがずらりと並びます。
当然ですが、当社がお手伝いしているCRF450RALLYも。
お手伝いをして11年になると言うのに、やはりこういう舞台で見るとまた感慨深いです。

当然と言うか、こういう場所に来ても知り合いの企業は「ゼロ」なので話し相手もいません。
名刺交換もあまり好きではないので、同席した人たちとも挨拶程度で名刺交換もしません。
じゃぁ何しに行ったのかというとこれです。
このメンバー!ホンダの契約ライダー及びドライバーが一緒の会場で食事しながらお話ししたり写真が撮れるからなんです。
ダカールの監督に挨拶したら「リッキーとエイドリアンが野口さんと話がしたいと言ってますので、直ぐに帰らないでくださいね」というので、いやいや、それが目的で来てるので色々話をさせてもらいますよと、ガタガタの英会話6級レベルの僕が返事してました。
先ずは写真撮ろうよと何枚か
ダカールライダーの二人は他のライダーと比べても頭一つ大きい。しかも威圧感がある。けど話ととてもいい人。一流のプロというのはこういうものなんだなとあらためて思った。
やっと直にリッキーに2020ダカール優勝おめでとうが言えたし、エイドリアンに関しては初めましててで、略歴を話してくれたので聞いたらフランスの超有名なサンドレースのルトゥケで3回優勝、5度のホールショットを取ったそうで、面白いエピソードを色々話してくれました。

マルク・マルケス選手 言わずと知れたモトGPライダー

トニー・ボウ選手 インドア アウトドア含めて30回の世界チャンピオンという怪物です。まさに敵なし。

昨年26年の現役から退いたものの、まだ現場で活躍中の藤波さん。顔を覚えていてもらえるのはうれしい限りです。インスタなどでアフリカツインに乗ってモロッコの砂丘を飛んでいるのを見たのでその話ができて楽しかったです。

そして現在日本人唯一のF1ドライバー角田 裕毅選手。

まさかここで会えると思わなかったインディ500を2度制した男、佐藤琢磨選手。
めちゃくちゃうれしい。
FB観れる人ならこれを見て欲しいです
今までこれを観て何度気分上げたことか。
とまぁ、少し酒も入り赤く、にやけた顔がお見苦しいですが、こういう機会に恵まれるのというのも今まで頑張ってきた結果なのかと思います。

これからも頑張ろう。

余談ですが、現在もてぎのコレクションホールではダカール優賞マシンが展示してあります。
CRF450RALLY 懐かしい2stのEXP そしてバハの王者XR600

Special seats for the 2023 DAKAR RALLY [HRC CRF450RALLY]


2023ダカールラリー用シートの製作が大詰めです。

その前にFIMクロスカントリーラリー最終戦となったアンダルシアラリーでベバレンが優勝しました!

さらにモンスターエナジー・ホンダ・チームとしてマニュファクチャラーズFIMクロスカントリーラリー世界チャンピオンの称号を獲得しました。
ライダーの年間チャンピオンはガスガスのサムでしたが、2位にはリッキーブラベック。

おめでとうございます。

世界一のチーム及びライダーたちと仕事ができていることに誇りを感じます。

CRF450RALLY
1回でいいからこれに乗って砂丘を越えてみたいなと思っています。
さて話は戻り、と言っても毎年恒例の投稿となっていますが、飽きずに同じ内容になりますが今年も書いて置きます。

HRCライダーのシートです。
こうして並べると違いが分かりやすいです。
リッキーとベバレンの形状はサイドが張り出したウイングシート。同じように見えますが微妙に違います。カバーの素材も全く別物になっています。
生地のグリップの強弱を色々試した結果です。

コルネホとキンタニラはノーマルっぽく見えますが、高さ、幅、角度まったく別物です。
どれ一つとして、金型で成形されたウレタンをそのまま使用したものはありません。
当然ながら中身はダカールスペックの構造となっており、衝撃吸収材T-NETもインストールされています。

こうした形状はホンダから図面で来ることもあれば、テストやレースの現場からライブで簡単な図面が届いたり、直接シートに書き込んで指示が来る場合もあります。
図面などは載せられませんが、指示の一例
ウイング部分のトップを前へ10mm前へ・・って、幅を5mm 高さをあと7mmとシビアな変更が逐次送られてきます。

こうした細かな対応ができるのもノグチシートだからと自負しています。
プライベーターは別として、KTM GASGAS HEROなどのワークスでここまでライダーに合わせたシートの装着は無いですね。
(もしやってるとすれば僕の認識不足です。ごめんなさい)
シートのオーダーができるよと言えば、どのライダーもオーダーするでしょうけど、チームにそのオーダーを聞くシステムが無ければ装着されているシートにそのまま乗るしかないですからね。
サスやエンジンのセッティングにプラスして、ポジションのセッティングの一つとしてシートは大きな役割を担っています。
シートによってライダーのポテンシャルが上がることを目指しているのがノグチシートです。
裏側の黒い生地はケブラー繊維の生地です。こうした処理も理由があってのことなのです。

写真には出せませんが、ノグチシートはシート以外にもマシンに装備する小物の製作もしています。軽く小さく安全にと言う工夫を凝らした小物の製作は出来上がると、とてもシンプルで誰でもまねができてしまうものなのですが、その形の理由が分からず同じものを作ると使えないものなってしまいます。
こうした仕事が田舎の小さな製造会社の生きていく一つの術ではないかと思っています。

2023は3回目の優勝目指して頑張ってほしいです!

 

 

アンコ抜き 足つきの向上を考える

・・私のバイクはxxなのですが、最大何センチ下げられますか?
・・現在片足のつま先がギリギリ着く状態ですが、両方のつま先で踏ん張れるくらいまで下げられますか?
と言う問い合わせは多いです。

足が届かない不安はバイクに乗る人にとっては重要な問題です。
なのでその不安を少しでも解決できないかと考えています。
スポンジを全部削ったら、その分低くなるんだから簡単じゃないの?と言う方もおられます。
それがその人にとって一番良い効果を生むのであればそれでいいでしょう。
しかし、低くなったと喜んで実際乗ってみると
低いのに足つきがそれほど良くなっていない・・
クッション性が無くなってお尻が痛い・・
体に接するハンドルとステップとシートの位置関係が悪い・・
という問題が出たりします。
オレンジのラインが脚です。
左の絵は座面幅の広いシートです。
右の絵はその座面の両角を斜めに削った時の絵です。
ノグチシートでは足つきを良くするという考えと、足を車体の近い位置に出しやすくするというのは同じだと考えております。
シートの形によって加工方法は変わりますが、単純にシートの厚みを薄くするだけの加工をすると左の絵のようにシートの幅は変わらず(もしくはノーマルより幅が広くなってしまう)内腿へのシートの干渉が大きくなり足が出しにくくなってしまいます。
この2つのシートは両方とも純正品で、右が標準タイプ。左が30mmローダウンです。30mm低いのですが、座面の幅は標準タイプより全体に広いです。
と言うことは、先に書いたように削れるだけウレタンを削って欲しいという要望に応えたシートになっています。
では、標準タイプで足つきに不安があるライダーが30mmローダウンシートに交換したら30mm足つきが向上したかと言えば、残念ながらそこまで大きな効果がが得られていないというのが現状です。なぜなら、低くなっているのに幅が広いためシートの角が内腿に干渉し足が車体近くに出しにくくなるため、バイク近くに足を着こうとするにはお尻をずらして足を出さなければなりません。
では、標準シートの前部を赤のノーマルラインから青いラインまでシートの角をシェイプするとどうでしょう。
着座位置の幅は維持したまま、足を着くとには前部の細い部分にお尻をずらして足を出せばいくらか足つき性の向上を体感できます。
こうした加工であればクッション性の維持もでき、足つきとお尻の快適性の両立が図れます。
なにより、ぺちゃんこのシートより見た目もカッコよいです。
そうは言っても、例えば身長150cmにも満たない女性がアフリカツインで足つき性を向上させたいと相談に来られても解決策はありません。
こう書くと、ノグチシートはアンコ抜きをしないのか?と思われそうですがそうではありません。十分な厚みのあるシートは座面を下げてシート前部をシェイプし、場合によってはシートの角度も調整したりします。
クッションの厚みのないシートの場合は、若干盛ることで足を出しやすくしたりと言う提案もしております。
足つきの不安の解消と同時に快適性の向上も図りたいというのが当社の考えです。バイクの種類だけその解決方法は異なりますのでご相談ください。

足つきと同時に快適性と言うところで当社がお勧めしているのが衝撃吸収材T-NETです。
アンコ抜き、アンコ盛、高さの変更はしない場合でも衝撃吸収材T-NETの挿入はお勧めです。

衝撃吸収材T-NETについて
当社が独自に開発した衝撃吸収材T-NETは、ダカールラリーなどの長距離で
過酷なラリーからツーリングシーンなどで、お尻の痛みが改善された、快適性が上がったと、多くのプロライダーや一般ライダーから評価を得ている衝撃吸収材です。T-NETは2013年からホンダHRCのワークスマシンに正式採用されており、2020-2021にはダカールラリーにおいて連続総合優勝を果たしました。
また、ノグチシートの代表も自ら長距離海外ラリーで使用し、バイクからの振動吸収、座圧の分散によって痛みや疲労の軽減を実際に体験し、そのおかげで好成績を収めることが出来ました。
しかし、痛みや疲労の軽減効果につきましては個人差がありますので、
効果を保証するものではない事を予めご理解ください。

お客様からゲルの挿入はやってませんか? 低反発ウレタンの加工はできませんか?等の質問を受けますが、当社ではゲルや低反発ウレタンは使用しておりません。持ち込みでも加工は致しません。既にゲルの挿入加工をしたシートの再加工も受けておりません。
ゲルや低反発の知名度は高く、座った瞬間の感触から快適という錯覚を起こします。
当社も20年ほど前からゲルや低反発ウレタンなど様々な材料をテストし、海外のラリーでも実際に使用してきました。
これら材料は快適なシートにするには良い効果が得られないと判断し使用していません。
現在使用している衝撃吸収材T-NETが今考え得るベストな素材として使用しております。

足つきと同時に快適さも考えてお客様にご提案できればと考えています。

youtube観てたら「裏抜き」という荒業が紹介されていました。
結論から言うと、これやったらシートは終わりです。
やった結果、良い効果が得られた人は良いのですが(多分よくならない)失敗だったという場合は新品を買い直すしかないです。
アンコ抜きも人それぞれ考えはあると思いますが、せっかくやるなら良い結果が得られる方法を選びたいですね。

関連するブログのリンクも張っておきますので合わせてこちらもどうぞ。
関連ブログ1
関連ブログ2

足つきの向上についてはまだまだ書くことがありますが、追々加筆してゆきます。

2022ダカールラリー用、ワークスマシンのシート。

 

HRC HONDAチームのシートのお手伝いを始めて今回で10年目となります。

早い段階で優勝が見えた時もありましたが、ダカールラリーはなかなか厳しくて念願の優勝は8年目。
そして、9年目の今年も優勝して連覇と言うかたちで勢いに乗っている。
10年間ワークスマシンのシートを作ってきて、いろんなことを学べました。
シート製作の基本的な技術だけではなく、素材の選定、素材の組み合わせ、シートに付帯する様々なこと。
レースの現場からダイレクトに届く問題や要望は、一般的なライディングでは出てこない内容で、それらに応えるためには一般的なスペックの材料より、ワンランク上の素材が必要になってきます。
何が言いたいのかと言うとただの自慢なのですが、正社員3人の小さな会社が世界的大企業の看板を背負って走るワークスマシンのシートを10年も手伝っているのは、少数でありながらも世界に通用する技術と知識を備えている証かなと思っています。
単なるバイクの1部品であるシートですが、それを作る当社には大きな責任があるといつも思っています。
これは、ワークスマシンのシートではなく全てのシートに言えることで、この姿勢は今後も変わることはありません。
2022のダカールラリーはどうなるでしょうか。
楽しみです。

 

 

ウルトラスエード(アルカンターラ)の耐久性

それにしても、よく乗っていると自分でも思います。
BMW R100RS
乗っても見ても楽しい。
購入して約10か月で6,000km走りました。
その間にCT125やCRF450Lで走ってますので、この期間バイクでの走行はトータルで10,000kmは走ってますね。
総走行距離は70,000kmになりました。
気になるところと言えば、カンカンという打突音が出たり出なかったりという症状。タペットなどの基本的なところは完ぺき(だと思ってる)なのでネットでくまなく調べては見たけど、素人の質問に素人が答えてそれを素人が閲覧してという地獄なので、6,000kmそのままで特に問題出てないからまぁいいやと楽観することにしてます。

さて、これだけの距離を走ったシートがどんな状況かをお知らせします。
ちなみに雨の走行は1回のみです。
ここまでのシートのメンテナンスは、水を多く含ませたタオルで表面を前後に拭く程度です。前後に拭く理由は、ウルトラスエード(アルカンターラ)の毛並みが後ろから前へと揃えてあるので、前後に拭くことで毛が立ったり寝たりして整うからです。
先ずは作ったばかりのシートの写真です。
撮影の条件が違うので比較にはならないかと思いますが、参考までに見ていただければと思います。
これが作りたての状態です。

そしてこれが6,000km走行したシート

作りたてのシートと比較しても大きな違いは見られないです。
毛玉とか傷は見られません。
色褪せも問題ありません。
当然のことながら、感触の変化もありません。
6,000km程度では表面の変化は当然ながら起きません。
使い方や保管方法でウルトラスエードの寿命は変わってきますが、それほど神経質にならなくてもビニールレザーと同じ扱いで良いのではないかと私は思っています。
引き続きこのシートで走り回ろうと思ってます。

洗い方も以前紹介したように、こんな感じでよいです。

ビニールレザーよりも高価な素材ではありますが、その質感は体感すれば間違いなく満足いただけると思っております。