オリジナルウレタンフォーム  Special material of the Noguchi seat.

少し前にも書きましたが、もう一度詳しく当社オリジナルウレタンについて説明します。

専門用語などが出てきますので、気になる方はこちらで説明を読んでみてください。

今まではバイクシート改造に適したスラブウレタンやチップウレタン(これは特殊な場合にしか使いません)を使用しておりました。しかし、バイクシートに適したウレタンが各メーカーから徐々に姿を消しつつある現状に危惧して当社独自のウレタンを作ることにしました。何故それらのウレタンがどんどん廃盤になって行ったかのかは分かりませんが、単純に需要がないからでしょうね。

これはチップウレタン。ウレタン加工工場では、様々なウレタンを加工しておりカットした端材のウレタンがたくさん出ます。それをある程度同じ大きさのチップにして、接着剤で固めたものがチップウレタンです。チップウレタンにも硬さが色々あります。例えば同じ容量のチップを1/10まで潰して固めたものと5/10まで潰したのとでは密度が変わりますね。この要領で硬さに変化をつけます。ゴミとなったウレタンの寄せ集めのように思われる方もいると思いますが、ヘタリも少なく一般的な家具には絶対に(コスト面も含めて)必要な材料でもあります。

これはスラブウレタン。今まで使用してきたウレタンです。写真では分かりづらいですが気泡が細かく、硬さもあり、同時に反発力もあるウレタンです。リビングチェアーやソファーなどに使うと硬すぎて沈み込みが少ないので使いませんが、バイクのように座面巾が狭く、且つクッション薄い場合はこうした硬さと弾力性を備えた材料が必要となります。

しかし、何種類かあった上記の性能を持つウレタンが某メーカーの1種類となったために、かねてから色々と探していた材料に辿り着き、また協力していただける企業様とも出会い今回のオリジナルウレタンの製作となりました。

これがそうなのですが、スラブウレタンと何が違うの?というくらい似ていますね。若干こっちのほうが気泡が細かいです。硬さ、弾力、粘りなどスラブより感触は良いです。ちなみに感触についてはすべては私の基準です。基本的に先ず始めに私が良いと思ったものを採用して自分が先ずこの材料に納得します。その次に各方面のプロの方にモニターをしてもらい、大半が良い評価となったものを皆様に提供するという方法をとっています。
話がそれました。このウレタンはモールドウレタンといって、簡単に言えばバイクシートと同じ製法で作ったウレタンです。

バイクシートはこの形の金型の中でウレタンを発泡させて作ります。注入するウレタンの量や配合を変えて硬さなどに変化をつけます。

例えば10リットルの金型の中に0.1リットルのウレタンの材料を注入して発泡した物と、同じ金型に0.5リットルの材料を入れて発泡したものでは、10倍と2倍の差になりますね。10倍膨らんだほうはフワフワ、2倍に膨らんだほうはそれよりも硬い。先ほどのチップは圧縮して硬さを調整しましたが、モールドウレタンの場合は注入するウレタンの量で硬さに変化が出ます。(これは相当大雑把な説明なのでそれを理解してお読みください)

 モールドウレタンの発泡についてyoutubeに分かりやすい動画がありましたので載せます。

ほぼこれと同じ製法でノグチシートオリジナルウレタンを製造しています。おかげさまで20年もバイクシートを触っていると様々なデータが蓄積されているので、今まで使ってきたスラブウレタンの性能や、一般的なバイクシートの硬さなどを元に当社独自のレシピでウレタンを作りました。既に私自身のバイクにも使用し、薄いクッションのシートから厚みがあるもの、T-NETとの相性などなどなどなどなど・・今のところこれがベストと言う結論に達しました。「今のところ」と言うのは、常に材料に関してはアンテナを張っているので、良い物があれば直ぐに試して皆様へより良いものをお届けできるよう努力しているからです。今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

エンボスロゴマーク Emboss logo

エンボスロゴマークの続き

前回エンボスのロゴマークを紹介したところ、多くのお問い合わせをいただきまた。早速何台かのシートにマークを入れさせていただきました。

このエンボスのロゴマークは高周波ウエルダー加工と言い古くからある加工方法です。最近ではあまり見なくなりましたがバイクシートの座面にステッチラインなどの模様が入っていたのを見たことがある人もいると思います。もちろん金型さえ作れば昔のシートの表面模様は再現できるのですが金型を製作してまでの需要が・・・と言う問題もあり今のところ復刻模様は考えておりません。しかし、再現は可能なので相談には乗りますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最近ではKTMの何車種かに上の写真のようにエンボスを入れたのを見ました。やり方は当社も同じです。

 

 

早速自分のバイクでも試して見ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

右と左で色を変えたり、エンボスの高さを変えてみたり・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんなことや

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルカンターラにもエンボスを付けてみたり。って言うかかっこ悪いシートやなぁと思いますよね。でも、一度にいろんなことを試したいせっかちな正確なのであれもこれも詰め込んだシートになっています。そして、ロゴ以外の金型はとりあえず自作してます。

これはまだ1例に過ぎません。金型は自作ながらも後3つあります。座っただけでもその違いは分かります。あくまでもたたき台。求められているシートの性能を、求められている以上に出せないか試験は続く・・・

※ エンボスロゴマークは殆どのシートに入れることができますが、ロゴマークの大きさが決まっているので薄いシートやロゴのスペースが取れない形状のシートにはお入れできません。エンボスロゴをご希望の場合は一度ご相談ください。 

オリジナルウレタンフォーム  Material

シートに限らず椅子に絡んだ仕事をしているとウレタンフォームとは縁が切れない。

当社の倉庫はいつもこんな感じで椅子用のウレタンがぎっしり

チップウレタンやスラブウレタンの貼り合わせやカット品など様々な形状で詰め物にしたり、板に貼り付けてクッションとします。これらは主に家具用ですね。

ウレタンには硬さや密度など数多くの種類があり用途によってそれらを使い分けています。

バイク用のウレタンはこれらとは少し特性が変わり、家具では殆ど使わない硬さや密度のものとなります。

今までは数社あるウレタンメーカーの既存品からバイク用に最適なものを選んで購入していましたが、もう直ぐ当社オリジナルのウレタンが完成します。

写真では分かりづらいですが発泡のきめの細かさは従来品とは比べ物になりません。硬さ、密度、弾力など様々なバイクシートとシチュエーションに対応できるように数種類を試作中です。
オリジナルのウレタンを作ることで今までできなかった加工も可能になり、また、今まで出せなかった乗り心地も出せるようになります。お楽しみに。

ロゴマーク  Emboss logo

当社で張替をされるお客様にはロゴマーク入れのサービスを行っています。

ネームを縫製する方法や特殊インクでペイントなどをしています。

 

 

 

 

 

これらの方法は純正や社外品では一般的な方法です。

 

今回新しくロゴをエンボスで表現してみました。以前キーホルダー用に作った刻印でシートにマーキングをしたら、それなりにかっこよかったのと、色を乗せないのでロゴが強く主張せず良いと言う評価もいただきました。

690エンデューロのシートにエンボス加工を施しました。

で、誉められると調子に乗るんですよ。

小さな印はネットでデータを送って作ってもらいました。しかし、今回は大きさもあり、やってみないと分からないということもあったので近くの加工屋さんにお願いしました。各務原にある加古彫刻様に細かい注文を聞いてもらい、先ずはベークライトを削り雰囲気を確かめて・・

刻印完成!

ギュゥーーーーって高周波で押さえると

ジャーーーーン!!!!!

さらにジャーーーーーン!!!

いい!!
アルカンターラでもきれいなエンボスが出る。

予想通りにいい。

もう少しエンボスの高さなどを検討してシートに反映させます。

乞うご期待ください。

 

 

 

KTM 690DUKE ver.2012

まだ発売されたばかりのKTM690DUKEのシートの相談がありました。ちょうど同じ日にいつもお世話になっているバイクショップトライで現車を見てまたがってきたところでした。(試乗はしていません)

 

 

 

座った感じは見た目同様座面のバケット形状によりお尻を包む感じ。座面の広さも角度も悪くない。尾骨に力を入れる感じで座ってみると若干底付き感が出るような感覚もあった。足つき性に関しては、シートベースよりウレタンが外に張り出しているので、足つきに不安がある人だとその張り出しがネックになりそうな感じもしました。指でウレタンの厚みを確かめると30mmあるかどうかでしたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の依頼は身長155cmの女性が乗るための足つき性向上です。先ずは表皮をはがします。すると・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんかの顔に見えますね。笑ってます
そして、座面のボトムに何か入ってます。

旭化成のフュージョンですね。特に新素材といえるほど新しいものではないですが、こうして量産車に使用されているのは始めてみました。シートカバーではBMWやYAMAHAなどが使っていますね。この素材はウレタンに比べてへたりも少なく弾力もあり底付き防止には有効だと思います。指で潰せば潰れるけど手のひらで押さえつけると中々潰れません。ちなみにこれが入っている部分の総厚みは28mmウレタンの厚みは20mmです。このシートに採用されている硬度のウレタンだけの構成だと底付きは座った瞬間に分かるでしょうね。

では、これが入っているからOK!というわけではありません。もちろんこれで問題ない人も多くいるでしょう。これではダメだという人に対して提案できるものは用意していたいですね。

単純にフュージョンが入っていたところにT-NETを同じ形状ではめ込むなんて事はしません。そういう仕事はコスト優先の量産メーカーがすればいいのです。あくまでも乗り心地にこだわるのであれば些細な違和感も消していきたいですね。

二つの素材と私が向き合ってお話中です。まぁ一人喋りなんですけどね・・

でも、入れ替えただけの試乗もしてみたいな。フュージョンは試したことがあったけど新しい発見があるかもしれない。

いずれにしても、こうしてライダーの快適性を考えたシートを量産メーカーが作ってくれるというのは嬉しい事ですね。そして量産メーカーの手が届かないところに当社がいることで、さらにお客さんに喜んでもらいたいです。