エクセーヌやアルカンターラでの張替 バイクシート

最近依頼が増えたのがエクセーヌやアルカンターラを使った張替えですね。
雨の心配をされる方も多いですが、確かに表皮に保水はしますが、当社ではウレタンに完全防水加工を施しますので中まで濡れていつまでも水浸しと言うことはありません。
濡れた後は乾いたタオルで水分を取ってあげれば早く乾きます。
気を付けなければならないのは、かなり濡れた状態で2-3日激しく乗り続けると表面が荒れてきたことが実例として1度だけありました。私もアルカンターラを使用していますが一般的なツーリングで問題が出たことはございません。

KTM 1190RC8 Y-03とエクセーヌの組み合わせ。 シート形状も変更してあります。

KTM 1190RC8 B-19とエクセーヌの組み合わせ。こちらもシート形状変更ですね。

BMW R100GS アルカンターラ青とB-17の組合わせ。

KTM950アドベンチャー アルカンターラ黒とB-16のくみあわせ。

YAMAHA WR250F アルカンターラ黒とアルカンターラ青の組み合わせ。

ハーレーダビッドソン スポーツスター XL1200S アルカンターラ黒に赤ステッチでダイヤキルト。
そのソフトな座り心地とビニールレザーに比べて数倍ムレにくく、引き裂き強度も高く耐候性もあります。
本革やバックスキンに比べて耐久性はトータルで数倍上と言えます。
ビニールレザーとは違った高級感もあります。
サンプルが見たいと言う方は当社で実際張り込んだシートを見ていただくか、サンプル希望とご連絡いただければ小片サンプル(無償)もしくは総合カタログ(有償)を送らせていただきます。

バイクシート 張替えのデザイン




先ずは写真から。キャンディーカラーのブルーなヒョウ柄
それに合うシートが欲しいということで、ヒョウ柄!と言うわけにもいかず無難に黒のPVCレザーに太い糸でダイヤステッチとブルーのパイピング。
ベースはラペラのシートだけど、ノーマル形状がしっくりこないと言うことだったので気になる部分を補修してウレタン変更とT-NET挿入。
こうした外装の場合シートはあまり主張しないほうがいい。と言うのが私の意見です。
張替えの場合、気になるのがデザイン。
お任せの場合は当社の今までの経験とお客様の要望を合わせてデザイン案を2-3提出して選んでいただきますが、お客さまの方で既にデザインが決まっている場合は漫画を描いていただいたり、シートに直接書き込んでもらったりしてます。


切り返しが多くステッチの位置などを細かく記載していただいた例。

ここで色分けをしてほしいと、マスキングテープでマーキングしていただいた例。
このように直接シートにラインなどを入れていただくと、より理想に近いシートとなります。
オーダーの参考になれば幸いです。

バイクシート ウレタンのこと

良く聞かれること。
シートのウレタン(スポンジ、クッション材)は
硬いほうがいい?
柔らかいほうがいい?
結論としては、どっちでもいいんです。
となると話が終わっちゃうけど、お尻の大きさやシートの幅や角度、乗る時間、ソロなのかタンデムなのか・・・いろんなシチュエーションがある乗り方にコレです!というクッションは無いと言うのは正直なところです。
でも、柔らかすぎて沈み込みが大きくてシートベースにお尻の骨が当たったり、硬すぎて着座位置が安定しなかったり、シートの上で跳ねたりするのは良くないですね。
なので、先ずは乗る人の好み優先で柔らかさを決め、その柔らかさとシートの形状やシートベースの形状で硬めや柔らかめに変更すると言う提案をさせてもらってます。
さて、硬さをどうするかの前に一般的な市販車のウレタンがどうなっているか知っていますか?
モールド品と呼ばれる成形ウレタンで出来ています。
型の中にウレタンの原液を注入して発泡させる方法です。

モールド品の断面図です。
表面はスキン層と言われる部分で、被膜のようになっています。
スキン層のすぐ下あたりは写真ではわかりずらいかもしれないですが発泡の密度が高いです。
これは型の中で発泡して型の中で充填されると外側に圧力がかかり密度が高くなるのです。
アンコ抜きをするとシートが柔らかくなってしまった経験はありませんか?
それは、表面層の硬い部分がなくなってしまったからなのです。
最近は発泡不良品を見ることは少なくなりましたが、今まで大きな穴があいていたり、スキン層下の部分が硬すぎて割れた物など数多く見てきました。
当社でアンコ抜きをする場合は、削った後にスキン層の再生に近い形で防水コーティングを施すので極端に柔らかくなったりしません。

全面に貼り付けます。
当社が得意とするのはクッション材の積層です。積層する事によって薄いシートなら底付きしないクッションとなり、分厚いシートなら型崩れしない快適なシートを目指しているところです。
なので、アンコ抜きで薄くなったシートは防水コートしても底付きの恐れがあるので底付き防止にT-NETの挿入をお勧めしております。

コレを入れることで柔らかくても底付きせず、下の写真のように積層を重ねることで厚みのあるシートでも、さまざまな感触を作り出すことできます。

ちなみにオリジナルのスポーツスターシートの中身はこんな感じです。
厚み30mmのクッション材ながら硬さをあまり感じず長距離走行を可能にしてます。

とりとめの無い話になってしまいましたが、ウレタンはシートの要なのでまた書きたいと思います。

バイクシート 張替え 縫製

先ず、シートにカバーを張り込む前に当社では必ずしていること。
防水加工

これはウレタンの加工をして形状が整った状態。
ここまま表皮を張り込むと水が浸入した場合ウレタンがどんどん水を吸ってしまいます。

防水コーティングをしたところです。
独立気泡の発泡シートを接着剤で全面に張り込みます。
これで水はほとんど浸入しません。
しかし、ウレタンは空気の出入りがありますのでシートベースの空気抜きの穴はちゃんと確保します。そうしないと風船が割れるようにシートが破裂しちゃいますからね。裏側に穴があると水が入りそうですが、今までの経験で水没やよほど条件が悪くない限り水は入ってきませんでした。
ちなみに、この防水シートは厚さ約1mm。なので、張り込む前のウレタン成型でデコボコが残っているとそのまま表皮に出てしまいます。
柔らかいウレタンでデコボコ隠しすると楽なのですが、なんとなくあのふわっとした感触が好きではないので当社ではショーモデルなど以外には使用してません。
さて、表皮ですがカバーを作るにあたっていろいろと方法があります。
1枚で張る方法は置いといて、だいたい2枚や3枚などの繋ぎ合わせの立体縫製によって仕立てます。
縫い合わせのところで色々と化粧と言うのがいいのか分かりませんがステッチやパイピングなどでデコレーションします。

これは縫いしろを片方に倒して押さえるシングルステッチ。

こちらがダブルステッチ。

こうして断面図にすると両方の違いがわかりやすいですね。
シングルは片方に縫いしろが来るのでその部分のレザーの厚みが3枚になるので、場所によってはふくらみが出る可能性があります。一般的には同色の糸でステッチをかけますが、色違いでアクセントを付けることもできます。
強度的にどちらが強いかという質問を受けますが、ダブルも裏に補強の当て布を入れますので大きく強度の差は出ません。

これはパイピングです。糸で色違いのラインを入れるよりはっきりしますね。

パイピングも同色の場合が多いですね。
座面とサイド部分を色違いで張る場合などは、サイドの色と同色でパイピングを作ることが多いです。
同色でも色違いでもお客様の欲しい色使いに対応します。

これは座面にタックロールが入っていますね。
コレが入ると一気に重厚感が出ます。写真のように中央に配置して枠取りする方法もあれば、全体をタックロールにしたりと加工の幅は色々あります。ただし、タックロールをする場合は防水が完全できなデメリットもあります。

オフロードでは一般的ですがロゴのペイントもできます。(ロゴについてここに詳しくあります)
ビニールレザー用の特殊な塗料でペイントしますのでべとついたり、すぐにはげたりしません。

白 黒 シルバー ガンメタなどがあります。特に黒レザーで張り込んでガンメタでペイントをすると光の当たる角度で見えたり見えなかったりするので、ロードバイクやあまり目立つペイントはしたくないけど、ロゴが欲しいという方にはお勧めしています。

ロゴペイントのの後ろについているのがアルカンターラのタブ(タグ?)
アルカンターラを使用するときは、このアルカンターラ純正ブランドタグを取り付けることができます。

野口シートのタグですね。
とりあえず表皮についてはこんなとろでしょうか。
また思いついたら書きますね。

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バイクシート 張り替え  生地について

バイクシートの張替えと言っても加工業者によっていろいろやり方がありますね。
うちが一番と言いたいところですけど、決めるのはお客さんですからうちがいいと思ってやってる加工内容と素材の紹介です。一度に書いても長くなるので今回は表皮材から
ビニールレザー

左は一般的な家具用レザーの断面図。  右はバイク用。
左は上からスキン層、中間に発泡層、裏面には基布と言われるメリヤス生地の3層になっています。スキン層は極薄なので椅子やソファなどにはソフトで良いのですが、バイク用となると少しの引っかきで裂けてきてしまいます。
一方バイク用は表面から基布まで全てビニールなので多少の引っかきでも避けにくくなっています。
もちろん当社で使用するビニールレザーは99%右のバイク用のほうですが、発泡層があるビニールレザーでも使用箇所によっては問題ない場合もあるので使用する場合もあります。
ビニールのメリットは、防水性がある。耐候性に優れている。加工しやすく安価である。
天然皮革
使用することはあまりないですが製作は可能です。
天然皮革の風合いはビニールレザーにはない質感がいいのですが、雨や経年劣化で見た目に良い感じではないヤレ感が出る場合が多いですね。まぁそれは車種にもよりますけどね。
バックスキンなどは色の飛びが早いので人工スエードをお勧めしたりしています。

座面を黒のバックスキンで張って3年ほど経過して色が抜けてしまった例。色が抜けたと言うだけで使えないわけではないです。

ヌメ革やサドルレザーで作るとまた話は変わり、飴色になるその変化は十分楽しめますね。
人口スエード
エクセーヌやアルカンターラですね。
ものすごく簡単に素材の内容を説明するなら、極細の繊維がかみ合ったフェルトのようなものでしょうか。
そのタッチは柔らかくしっとりしていて天然皮革よりもいろんな面で扱いやすい。
イタリアのアルカンターラ社製造の物と国産のアルカンターラではやはり違いがありますね。

これはMVアグスタのシート。座面のアルカンターラが伸びきってしまっています。
ビニールレザーと違って伸び止めの基布が中間層に入っているのですが、イタリア製のアルカンターラはそれが弱いのかもしれません。国産のアルカンターラはここまでダラダラに伸びきることはないですね。

このシートはダカールラリーともう一つ砂漠のラリーで使用したシートです。座面はエクセーヌで張ってあります。
サイドのビニールレザー部分は破れていますが、座面はほとんど荒れていません。座面に乗せてある小片はバージンのエクセーヌです。あまり色などに違いはありません。
エクセーヌとアルカンターラの違いについてはここでは省略。まぁほぼ同じですけどね。そのブランドで使用範囲が大きく違っています。国産でアルカンターラのソファってないでしょ?もっと知りたければinfo@a-seat.jpへメールください。
・・・話を戻します。
人口のスエードを使用するメリットとして、タッチが柔らかい。夏場など座面の温度上昇が少ない。長時間座っていても蒸れにくい。ビニールレザーに比べて破れにくい。適度な滑り止め効果がある。などですね。
特に夏場など長時間炎天下で駐車していてシートが熱くなってしまうことがありますが、アルカンターラやエクセーヌだとそれがありません。しかし、この表皮には防水性がないので雨もガンガン走る場合は少し気になるところです。
ちなみに表皮に水はしみますが、当社のシート加工にはすべて防水加工を施しますので雨に当たってもスポンジにしみ込んでいつまでも不快な思いをする事はありません。
こちらでカラーバリエーションを確認いただけます。

総合カタログもございます。
今度は表皮の縫製についてお話します。