改造や張替えの参考になれば幸いです。
フローティングターンがしたい!シートのアンコ抜き。
少し前のことですが「フローティングターンをマスターしたいけれど、そもそも軸足が地面に届かないからお話にならない」という相談を受けました。
ちなみにフローティングターンは下のyoutubeで観るようなやつで、オフロードバイクで山の中で遊んでいるときにこれが使えるとかっこよく見えるし、実際かっこよく上手い人の称号が貰えます。
マシンはKTM150XC-W 2017
依頼人の身長は 157cm
シートのみでどこまで足つき性を向上させることができるかなので、車体の写真を眺めるけど絶望的に厚みがない。どうしたものかと悩む。
単純な考えで「じゃぁシートのウレタンを取っ払うレベルまで下げたら良いのでは?」と思われがちですが、それをやるとどうなるか。
これはノーマルの状態で跨ったもの。
ギリギリ片方のつま先は地面に着くが、腰の位置は中心からずれてしまっている。
ウレタンをシートベース付近まで削ってしまうと、目線は低くなるけれどシートの幅がノーマルよりも広くなってしまい、股間が開いてしまいます。
左の図はシートベースまであんこ抜きをした図と想像してください。
右の図の赤いラインがウレタンを残したままサイドをシェイプした図となります。見てわかる通り、低くなったにもかかわらず強制的に足が外に出されて、足つき性というか足の出しやすさが阻害されています。
なので、単純に削るだけでは低くなっても足つきが良くならないことになってしまいます。
今回のテーマはフローティングターンをするための「踏ん張れる足」を作るためなので、それに特化したシートにしてみました。
シートの前部のアップです。
左がノグチシート 右がノーマル。
ノーマルがかまぼこ形状に対し、ノグチシートは高さは同じながら上面を絞った台形の形状となっています。
座面幅の違いはこの写真でわかるかと思います。
シートのセンターの高さはノーマルと同じままです。
着座部分の座面の幅も同じです。なので、コーナー立ち上がりなどの着座姿勢でのトラクションをかけやすい幅となっており、前部はエッジを立てたシェイプによってコーナーでのホールド感の向上にも役立ってます。
高さを変えないこのシェイプの結果はというと
まぁ撮り方によっては「やらせじゃないの?」と言われそうですが、左のノーマルに比べて右のノグチシートは腰が中心にいて、腰が入ったまま足が着くようになったと言うことになります。
これだと、腰を入れた力強いフローティングターンができる!かも!!!
と喜びの感想をいただきました。
平地では、まだ不安なので段差を利用して練習中の図。
そして、結局これが平地でマスターできたかどうかは謎のまま・・その後聞いていません。
先ずは挑戦するという、やる気になるシートができたことは確かです。
今回は薄いシートのオフロード車の話でしたが、これはどのバイクにも応用が利く足つき性向上の技法です。
ただ削って低くするだけではなく、乗り心地も残しながら安心できる足つきが得られるご提案をさせていただきます。
お客様よりいただいた写真とインプレ
数年前から何度かご注文をいただいておりましたお客様からまとめてインプレをいただきましたので、ご紹介させていただきます。
全てのシートは、最初の座りごごちは、ノーマルより少し硬めですが、
数年が経過したシートですが、乗り心地も維持され、写真で見る感じでは座面に使用してあるウルトラスエード(アルカンターラ)も問題ない状態を維持しており安心しました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
シート加工依頼についてのお願いです。
ノグチシートのブログをご覧いただきありがとうございます。
現在、ノグチシートではシート加工は予約制となっております。
メールや当社での打ち合わせ後、その時点での予約可能日をお知らせしております。
納期については加工内容にもよりますが、予約日にシートが到着して3-4週間いただいております。
問合せのメールは随時受け付けておりますので、質問など遠慮なくお送りください。
直接、当社で打ち合わせを希望されるお客様は、事前に予約をお願いします。
KTM FreeRide comfort seat フリーライド350のシート
最近KTMフリーライド350に乗り換えました。
ツーリングには少しタンクが小さいかなと思いつつ、1Lのボトルを持って走れば以前乗っていた250EXC-Rとさほど航続距離も変わらないこともわかり、そうなると山の中でちまちま遊ぶばかりではなくて、いつもの林道も走りたくなります。
と、問題なのはそのトライアルチックな細すぎるシート。
山遊びでは苦にならないけれど、軽く林道を流すにはちょっときつい巾です。
高さも私の身長では少し低いかなという事で、30mmアンコ盛りをしつつ、山でトライアル遊びをする際の足つきを確保するため、前部は思い切ってノーマルよりも細くするシートを作ることにしました。
何事も実験です。
着座位置を広げるにあたって、普段は殆どやらないのですが、シートベースより広くしてみました。
なぜ殆どやらないかというと、シートベースからウレタンがはみ出すことにより、はみ出した部分がコーナー時の荷重などで崩れる恐れがあるためです。直ぐにそうなるわけではありませんが、乗り方によっては早くその症状が出てしまいます。
しかし、それでも長持ちさせることが出来ないかと思い、今回も自分のシートで実験です。
通常、ウレタンは2のように貼り付けます。1のように貼り付けると上からの力で割れたり、オレンジ色で示した糊の部分が硬く違和感になることもあります。
乱暴な絵ですが以下にあんこ盛りや幅広加工の簡単な説明をいたします。
高さはそのままに巾だけ広げたい場合。
左がノーマルシートします。右が高さはそのままに幅広をした場合の断面図です。オレンジの部分は1枚です。単純に、高さはそのままに幅広であれば両サイドにウレタンを貼り付ければ形は作れます。最初の接着方法で説明したように、それでは乗り心地耐久性共に良い効果は出ません。
次にアンコ盛りをして、シートの幅はノーマルを維持、もしくはアンコを盛って高くなった分幅を狭くして足つき性を確保する場合。
幅広加工だけをする場合と断面構成は変わりません。これもオレンジ部分は1枚で包まれ接着されています。例外もありますが、基本的にはこのような作りです。
ここに、衝撃吸収材T-NETなどが追加されたりして、最後に全体を防水コートしたものがノグチシートです。
というわけで完成です。自分の着座位置のみを広げ、高さも30mm上がりました。
高さの比較です。ノーマルは湾曲していますが、改造したものはシートトップとエンドがほぼ直線です。
上から見ると幅の違いが大きく変わってることが分かります。
しかし、広げた部分よりも前はノーマルより断面をかまぼこ状にしているため、足つき性はそれほど損なわれていません。
ライダーの中には、この広がった部分が腰を引く際に引っかかるという方もいるかと思いますが、それは個人の好みかと思います。
私の場合は、ほとんど気になりません。それよりも着座した時の安定感のほうが大きいです。
当分これで遊んでみます。