BMW R100GSパリダカの修理

 

この写真はその時の気持ちを伝えるには分かりやすいと後から撮ったのだけど、でもまぁこんな感じのトラブルが起きたわけです。

タペットの音が少し気になったのでカバーを開けて調整をして、ついでにロッカーアームのスラストクリアランスもシビアにやってみようと色々してたわけです。要は触りすぎなんです。
整備と言うよりいじり倒して壊すパターン。子供の頃のおもちゃ分解と変わりはありません。
とは言え、この部分は遅かれ早かれこうなってたと思います。
今回はその修理記です。
一通り作業がまとまったので本締めしたら、このスタッドボルトだけトルクがかからず伸びてくる。
この時点で脇汗はびっしょりです。
ナットを締めていく途中で「ヌルっ」としたあの力がどこかに飛んでいく感じ。
重整備の経験のある方なら一度は経験があるかと思います。
・・・そう言えばこれを買った1年前、一通りの「整備」としてヘッドの増し締めをしたんです。その時に??なトルクで締まっているところがあったので、結局そういう事だったのかも・・(ヤフオクの闇と思いつつ、ショップでこの手の古いバイク買えば保証なんてないし、もっとひどいものもあるしね。だからそこには腹は立ててません)・・・
クランクケースのネジ山が全部持って行かれたんだなと思い、仕方なくシリンダーを外すことにしました。この時点では相談した友人と「ヘリサート入れればいいか」と話していたんです。

あれ?なんか変だ。
あー--、もうヘリサート入ってるし・・・・
そうなるとヘリサートはもう無理。
何か方法がないかと色々調べる。
とにかくいろいろいろいろいろいろ調べまくってエンザートに決めました。
エンザート挿入のための下穴の限界値が11.4なのでギリギリ挿入できそうです。
試しに11.5の棒を作って差し込んでみたけど入らない。11.2の棒だとスルスル入ってしまう。
なので、穴の再加工はせずにこのままエンザート入れることにしました。
これがエンザート
もう少し奥まで入れたかった・・・
念のためにクイックスチールを塗ってねじ込んでみました。
ここのネジ山の先端にはオイルラインが来ているので、塞ぐわけにもいかないのでもう少し奥まで入れたかったけど、オイルが出てくることは確認できたからここで我慢することにした。
スタッドボルトはイギリスから輸入。5日で到着する速さでした。
さぁ組付けです。
もうネジを締めるのがこんなに怖いのは初めてです。
直したところがグリンって抜けたり、他のところがヌルってなったり・・。
そんな悪いイメージしか沸かないのです。
少しずつ少しずつ締めていきます。
規定トルクは35N・・かなり締めなきゃいけません。
違う場所の1本もトルクのかかり方が微妙・・・ここもそのうちいくかな。
10-15-20-25-28-30・・・むり、もう無理、精神がやられそうなので30Nが限界。これ以上締めると吐きそうなのでやめました。
ガスケットが飛ぶかもしれないけれど、古いバイクだし飛ばすことも無いのでひとまずこれでしばらく様子見です。
近所を20kmほど流してきました。
とりあえず今のところは、普段通りの走り。
調整もしたのでとても静かなエンジン音。
ひとまず修理完了となりました。

こうして自分で直せると、それが正しい方法かどうかは別にして、遠くまで走って旅しててもちょっとした異音や不調で原因がわかるし、なんとか家まで帰れる整備ができるかもしれない。エンジンの構造は違っってもこうした経験がラリーにも生かされますしね。
今度は100kmくらいのツーリングで問題でないか確かめよう。

 

 

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