Lisboa-Dakar 2006

今年のダカールのスタートは、ポルトガルのリスボンとなる。
リスボンと言われてもイメージするものが出てこないが、観光旅行で「リスボン行ってみよう!」と言う気も起きないところだったので、逆に興味があった。今回は3度目のダカールとなる。
(と言っても、出場ではなく観戦及びヨーロッパでのライダーのサポートではあるが・・)

12/26夜にリスボンに入る。空港に先入りしていた参加する服部が迎えに来ていてくれた。
バイクも無事引き取り、準備も万端。後は車検を待つのみとのこと。
今回は、服部のサポートもさることながらシートを提供した「チームランドクルーザー」のシートや、チームドスードからピックアップに乗って出場する三橋選手のシートのセッティングの仕事もあるので、時間的に慌しくなりそうだ。

1/27 翌日に車検を控えて、アシスタンスパークや車検会場の下見をする。

1/28 本日15時より服部の車検だ。
パーツを入れるキャンティーンの預け場所、タイヤを預ける場所を確認して、アシスタンスパークをうろつく。
しばらくしてチームランドクルーザーの池町、浅賀、ラテが揃って入ってきた。
あらかじめシートだけをフランスに送り、スタッフに取り付けを頼んであったので、それらシートの確認をする。
いまいちポジションが合わないと言う浅賀さんのシートをその場で、切って、削って、時間の無い中何とか形にする。
メカニックたちが興味深く眺めてる。
そりゃそうだろう、整備などはどのチームでもやっているが、その場でシートのウレタンを削っているチームなどない。とは言え、その場で出来る作業は限られているし、2-3分座っただけでは分からない。
ある程度、勘と今までの経験で決めて最終調整とした。 

いよいよ車検。
他の日本人ライダーも既に揃っている。
堀田、岩崎、片山、柏。みんな弊社のシートを装着している。
こういったレースにおいて弊社シートを選んでもらったことが本当にうれしい。
先ずは書類チェックから始まり、GPSの講習会など・・パリダカの書類審査は時間がかかると言われるが、3回も見ていると「まぁこんなもんでしょう」と、取り立てていらつくことも無く、チェックは進んでいく。
GPS、イリトラック、サンチネルの装着、チェックを受け車検会場内に入る。
ゼッケンを貼り付け、車体のチェック。なんだか車検甘いなぁ・・って感じ。
前は色々質問されたし、事細かなチェックが入ったのに、今回はマーキングを淡々とこなしていくだけで、なんだか拍子抜け。
すんなり車検が通りパルクフェルメに車両を入れ、後はスタートを待つばかり。
待ち時間などに、職業柄気になる様々シートを触ったり眺めたり・・。
これでいいの?と思ったり、これで良い理由はなんだろうと考えたり、でも、全体的に見てシートは既製品をポン付けしただけの物が多く、まだまだ、改良の余地はあるし、バイクやクルマのシートをもっと改良することで、操縦する人間のポテンシャルを維持できるんじゃないかと考えていた。

1/29 チームドスードが宿泊しているホテルに向かい、三橋選手のシートをその場で製作。
2席のクッションのために、大量の材料を持ち込み、その中から硬さ、高さなどを決め装着。
結果は走り終えないと分からないが、今までの経験から最大限効果を発揮できるよう、出来る限りの事はした。

1/31 いよいよスタート。
服部をスタート地に送り、私はスタートは見ずその日のゴール地に向かった。
先にゴール地に向かって、ホテルの場所確認と服部が到着したらホテルまで送ることとなる。
ゴール地のパルクフェルメからホテルは、結構離れているので、プライベート参加で来ている者は、ホテルまでの足も無く、翌日の早いスタートにも元旦からタクシーなど来るかどうかも当てにならないので、こうしたサポートが必要になる。
初日のゴール地ポルティマオは暖かく、リゾート満点な気分。
昼過ぎに無事初日を走り終えた服部が到着。
ホテルに向かう街道沿いは観客で溢れかえっている。
すごい観客の数で、そこを走るライダーたちは、みんなスターだね。
大晦日で元旦を祝う花火が一晩中上がっていた。

1/1 スタートに服部を送り、今日も先回り。
SS出口の国道で服部を待つ。そこから400kmはバンにバイクを乗せ移動。
スペインのマラガの港で下ろし、いよいよアフリカへ渡ることとなる。
移動中の車の中で軽い整備と、オイル交換などをして高速を飛ばす。
マラガの港に着いたとき、と言うよりマラガに入った時点で大渋滞。
港の入り口は、またしても観客が溢れてる。
ほんと、ダカールの人気は日本じゃ考えられないくらいの熱狂ぶり。
ここで一旦服部と別れ、明日から自分にとって初めてのアフリカに入ることとなる。

1/3 レンタカーを借り、この日のSSゴール地に向かい参加者の到着を待つ。
SSゴールに続々と競技車両が入ってくる。
遠くから埃を巻き上げながら走ってくる様は、とにかくかっこいい!特にカミオンの速さにはびっくりした。バイクであんなのに抜かれたら死ぬ思いだろうな。
日本人も続々ゴールして、キャンプに向かったので私も着た道を戻る。
戻る道は競技者と同じなので、バンバン抜かれるわ、抜けない道ではプッシュされるわ、うれしいような怖いような・・。
夜になってビバークに到着し、中に入るがその広さびっくり。
サポートする服部を見つけるにも、どこにいるのか探すのに一苦労する。
各チームの整備などを眺めつつ、やっと、暗い隅っこのほうで、プライベーターが集まってる場所で整備する服部と再会。
トラブルもなく問題は何もない。ただ一人で全部やるのはきつそうだ。
キャンプ地のレストランで一緒に食事を取る。
テントの下に絨毯が敷いてあり、各選手座ってガヤガヤ話しながら食事と取っている。
思ったよりというよりも、美味い!暖かいし、メニューも豊富。
服部とはたくさん喋りたいが、明日は4時スタート。
まだまだ先は長い。なので、寝る前にマッサージをして早く寝てもらった。
その後、チームランドクルーザーが陣取る場所に行き、池町選手と話す。
三橋選手がトラブルとの話を聞いている時に、彼から電話。食事してるとのことなので、話を聞きに行く。ドライブシャフトは壊れるし、パワステも効かない・・。修理はしたが不安は残るとのこと。
チーム菅原では、日本人ライダーのバイク整備が行われている。
溶接機もあるし、明るい。ライダーは早く寝て、メカニックたちが、ばらしたバイクを組んでいる。
やはりライダーは走りに徹して、メンテナンスはメカにしてもらうのが楽であり、気分的にも余裕が生まれるだろう。

1/4 3時におきて200km先のSSスタートに向かう。しかし、寒い。
こんな中、暗くて砂利が浮いた舗装道路を飛ばすのは怖いよなぁ、と思いつつ、レンタカーのカローラを飛ばす。
SSスタート地点に近づいたが、まだ暗く時間も早いので、手前の村でミントティを飲んで待つ。
とってもあまーーいミントティがおいしい。しばらくすると、続々とバイクが通過しだしたのでスタート地点に向かう。
既に10数台スタートを待っている。
ゼッケン1番シリルのスタート。
開けっぷりの良さというか、そのスピードはありえない!
スタート手前には続々とバイクや車が入ってくる。ムースが溶けてしまって交換している者がいたり、既にボディーがボコボコになった車。
車のスタートを眺めていると、日野レンジャー、三橋、池町の並び順でスタートみたいだ。
なかなか、こんな並びは見れない。
知ってる人が続々とSSに突っ込んでいく後姿に感動しつつ、今回の観戦はここまで。

ラリーはまだこれから10日強ある。
毎日、毎日、早起きして、モチベーションを維持し続けて走るにはテクニックもさることながら、その精神力が試される。
「凄いレースだな」と言ってしまえばそれまでだけど、これだけ長期にわたるレースは凄いの一言では言い表せないものがある。
「その魅力は何?」といわれても、的確な答えが見つからない。
でも、私にとってダカールラリーは何物にも変えがたい魅力を持ったレースであることには代わりが無い。
ただし、ダカールラリーが全てではなく、自分にとって魅力を感じるものはまだまだたくさんある。
その中の一つがダカールラリーなのである。

今年も自分にとって良いスタートがきれた。
ラリーと違い、どこに向かうかの地図は無い。
好きなほうへ向かっていこうと思う。
色んなトラブルが待ってると思うけど、対処してあきらめずに進んでいこうと思う。


トヨタ

日本レーシングマネージメント(JRM)