イタリアでの自転車イベント L’Ambrosiana Milano

先のブログでも話をしました、今回のメインイベント ミラノ警察主催の「L’Ambrosiana」1972年までに製造された自転車が参加条件。もちろん服装もその時代に合ったものが必須。
勿論、私はそんなに古くて貴重な自転車などは持っていないので、イタリア在住の友人の山本さんに貸していただくことになった。私の自転車は1923年製。当時の服装はどんな感じかと山本さんからアドバイスをもらい、靴やソックスはイギリスから取り寄せ、パンツは義父が使っていたニッカポッカ。ハンチングなんて被ったことがないけれど、古い資料を見るとこれにゴーグルといういで立ちが目立ったのでそれを真似てみることにした。

モデナで社会見学を終えた私たちは、ミラノから少し離れた川沿いの小さな町に着いた。彼の住む部屋から見える風景が、川に山に緑と素敵なロケーションでした。

自転車を受け取ってから、体を慣らすため川沿いのフラットなダートを10kmほどサイクリング。これがまた気持ちいいんです。


途中でビールとパニーニ買って、川沿いでゴローンってしながら大人三人でランチ。孵ったばかりの水鳥の雛たちを眺めながらぼんやりする至福の時間。
目を吊り上げて走るレースではないので、気持ちよく完走することが大切。
服装も乱れないように、姿勢よく自転車に乗ること。
細かな調整をし終わったら自転車は完成です。
これが私たちの自転車。100年近く経った今でも当時の新車のようなコンデションを保っている。山本さんの自転車に対する愛情が伝わってきます。

さて、いよいよ当日です。
私たちのチームはこれら自転車のオーナーの山本さんと日本から田代さん、青いシャツは自転車に関する仕事をしつつ本人もレーサーとして自転車に乗るカルロ。
いかがでしょうかこのスタイル。
スタート直前。おじさんの持っている旗は、たしか1959ツールドフランスのものだった。山本さんの提案で、日本人は胸に紺色のハンカチーフ。

他の参加者、約9割がこのようなレーシーなスタイル。
街を走るとこんな感じです。
はっきり言って、私たちは目立っていました。
それも相当目立っていたと思います。
日本人が素晴らしいコンデションの自転車を持ち込み、服装もしっかりしている。なので、たくさん話しかけられ、写真もたくさん撮られました。
その気になれば何人か口説けたのではないかと思うくらい・・。


いよいよスタートして、ミラノの市内から走り出しました。ミラノの街を車を止めて車道を走り抜けるなんてそうそうできる体験ではないです。
私は浮かれまくっていました。
第一チェックポイントでジュースを飲んだあたりから私に異変が・・
汗が止まらず体にまったく力が入らない。坂道などなく、ひたすらフラットな道を走るだけなのに体がきつい。
ここは3つ目のチェックポイント。見てくださいこの格好。服装の乱れは心の乱れとよく言ったもので、心の乱れどころか横になって寝たいくらい心身が乱れ、体が言うことを聞きません。このおじさんはそんな私を見て、遠くから「キャラメルゥーー」って叫びながら飴を持って来てくれました。「これを舐めろ。そうすれば元気になる」って言われれば頑張るしかない。
このおじさんに限らず、みんなが日本から来た、図体はデカいがへたりこんでる私に随分気を使ってくれて、頭の下がる思いでした。ほんと申し訳ない・・。
さらにはチームメイトのカルロにプッシュしてもらい、カルロアシスト自転車により先に進めました。
たぶん熱中症になっていたいたんだろうと思います。
私のスピードに合わせて走らざるを得なったチームの人に申し訳なかったです。

途中のチェックポイントでは集合写真を撮ったり、ダートも数キロ走ったり。
本当なら砂埃が立つ道で、持っていたゴーグルが役に立つはずが、その必要もないレベルのスピードと、集団から遅れる私。
なんとか走り切るというか、何とか最後尾の救急車に乗せられずにゴールにたどり着きました。



そして、昼食を取りながらまったりとしていると、なにやらざわついている。
なんと!この大会名を冠した名誉あるL’Ambrosiana賞を私たちチームがいただいてしまった。
理由は分からない。イタリア語もさっぱり分からないし、理由は特に聞かなかったってのもある。私の走りはともかく、山本さんが用意した自転車、山本さんに指導してもらった服装。あと、少なからずチームのキャラクター。それらが主催者や地元の参加者に受けたのだろうと思う。ちゃんとまじめにこの大会に臨んだ自負は全員にあったしね。
とてもありがたい賞をいただいてしまった。トロフィーには名前が刻まれ、今後も年を重ねるごとに受賞者の名前が増えていくそうです。

このオブジェのうなだれ感がさっきまでの私にそっくりなのが皮肉です。。


イタリアで自転車に乗るなんて今まで考えもつかなったけど。
誘ってもらった友人に感謝し、それに応えるべく簡単に壊れない体も作らなければと誓った日でもありました。
しかし、昨日の会社見学出会った人たちといい、今回の主催者や参加者全てのイタリアの人たちが、なんでこんなに親切で気持ちのいい人たちばかりなんだというのが今回このイベントに出て思った感想です。
今までいろんな国の人に対する偏見というものが私には少なからずあったのですが、毎回自分のその考えが恥ずかしくて反省する事ばかりです。

さて、これで終わりではなく最後にもう一つご褒美が待ってました。

次はバイクでツーリング編です。
もう少し、イタリアのお話を続けさせてもらいます。

 

 

イタリアで社会見学

今回、友人の誘いを受けてイタリアでヴィンテージ自転車のイベントに参加することになった。
さらに、自転車イベントの前にイタリア・モデナで社会見学をさせてもらえるという事になりました。この辺りにはランボルギーニ社をはじめ、板金、内装、レストアなどの工房がたくさんあるそうです。
これら段取りはイタリア在住のスーパーコーディネーターの野口さん。
何がスーパーかって、2日間でこんな見学のコーディネートが出来る人ってたぶんいないのではと思う。ただ見学するだけではなく、野口さんとそれぞれの会社の人たちとの信頼関係がしっかり結ばれているため、初めて行く私たちが信じられないくらい深くて面白い話をしてもらえました。
さて、行った先々の写真を載せていきます。
先ずはランボルギーニの本社
カウンタック、ミウラ、チータ、ウラッコ・・そして最新モデルまで。夢のスーパーカーがずらり。
いきなりこんなのが見られて興奮しまくりだったんだが、これからがなかなかすごいことに。
次に訪れた工房に入って「おぉーーーーっ」って叫んでしまった。
365BB ミウラ 250GTが新車のようにそこにあったんです。
アルミの板を切り出し叩いて型に当てる。
この繰り返し作業。「パテ?そんなものでごまかさないよ。使ったとしてもほんの極薄く使うだけだ」
「古い車は事故で修理してあったりするけど、パテで形を作り直してるものはだめだね。俺たちはそんな修理されて部分を全部新品に作り直すんだ」
そんな話を聞いたけど、職人たちの仕事と型紙や冶具など見るものすべてが新鮮でここでも興奮しっぱなし。

次は工場団地の一角にある内装屋さん。
まさに当社の仕事と同じ!
昨年当社でも施工したF40のシートもそこにあった。
ディノの内装のレストア中で、縫製や張り込みなどたくさん得るものがありました。

そしてエンツォフェラーリ博物館
もうこの辺りまで来ると普通はマヒして感動も薄くなるはずなんだけど、工房で見て聞いた話から、こうして素晴らしい状態で保存されている名車の細かな部分に目がいってしまい、さらに感動が大きくなって行くんです。

次はバッグを専門に作る会社。

バッグと言っても、フェラーリ ランボルギーニ マセラティ ブガッティ・・・・名だたるスーパーカーメーカーの車に積むためのバッグです。もともと社長の親戚がフェラーリを買ったが、トランクに積む適当なバッグがないというので作ったら、これがとても評判よく純正採用されてから各社に広がっていったようです。バッグだけではなくF1のシートの張り込みや革の小物類、ここの仕事もたくさん得るものがありました。

そしてフェラーリ本社。
街にはこうした真っ赤な制服を着た人がたくさん歩いています。
博物館は世界中から観光客が訪れ混雑していました。
どこもそうですが、ブランドは一夜にしてならず。ちゃんとした歴史が今を作っているんだなと感じます。

次はチーズ屋さんなんだけど、個人でマセラティやバイク、トラクターなど地元の宝の保存をしているところへ これが個人所有て言うんだから頭が下がる。
「道楽で集めているんではない。地元の大切な製品をちゃんと守っていかなければならない」という使命感からこうした保存をしてるという話が印象的でした。
そこの息子さんが作っているスピーカー。F1のエキゾーストパイプとスピーカーの組み合わせ。エキパイは全て本物。小物類に至っても純正部品を組み合わせている。世界中に輸出しているそうです。
で、ここの本業のパルミジャーノの倉庫に入れさせてもらいました。
圧巻!この量!きちんと温度管理されて高く積み上げられたこのチーズ。
直売所で買ったので食べるのが楽しみです。

かなり端折って書きましたが、ここで紹介できない工房やコレクションも何カ所か見せてもらい、本当にとても良い見学でした。
今までの仕事のやり方に得た物をどんどん加えていきたいと思います。
最後に、どの工房でも社長以下、すべての社員の方々が私たちの質問に笑顔でためらいなく説明してくれる姿に、自分の仕事に誇りを持って居るんだなと強く感じました。大変な仕事を眉間にしわを寄せてやるのもいいけれど、そんな仕事も余裕を持ってできるように自分の技術と人間性を高く持って行きたいと思います。

次は自転車のイベントについて書きます。

 

 

ONE PIECE 連載20周年企画「ワンピいす」の製作

ちょっと変わった椅子を作ってほしいんですが、と相談がありました。

ワンピースが連載20周年という事で「ワンピいす」という椅子を作るので協力をしてほしいということでした。

1そしてこれを読者プレゼントしてしまうというなかなかすごい企画。

昔のマッサージチェアーのような感じで・・から始まり、あーしてこーしてと椅子に求められるスペックを考えると、一般的な家具のフレームでは壊れる可能性があるので通常の1.5から2倍の強度を持たせたフレーム作りから入りました。

IMG_4688信頼のおける木工屋さんにて、完成案からフレームの分割を考え、CGに近い形になるよう何度も打ち合わせをします。

IMG_4757

枠が出来たらウレタンを張り込んで、ボリュームを出して、張り地の型を取ります。

いきなり本番ではなく、試し張りをして確かめます。

 

その合間にこんなゆるキャラの修理も舞い込んできたりします。
IMG_4753ちなみに、この子は頭部を骨折して当社に入院してきました。

話がそれました。

ワンピいすに戻します。
IMG_4844この椅子には電動で動く様々な機械が付くため、それを制御するコンピューターがここに収まります。うちの仕事は椅子本体と本棚の製作、銅鑼の枠まででした。
3椅子本体の納品前に昨日部品の取り付け確認をしました。
ここからは別のところで最終仕上げをします。

そして先日、12/16-17に幕張メッセで行われた行われたジャンプフェスタでお披露目されました。
DRH_CuFV4AAHxHr

ツイッターの公式サイトでも紹介されていました。
5動画はここから。
25394067_2016376728372554_838057437_n25434024_1784424524965578_131093303_oなかなかな大舞台でのお披露目でした。
onep_isu1onep_isu7http://kaibutsu.jp/?p=2828

果たしてだれが当選して、この椅子を自分の部屋で楽しむことが出来るのか。
自分の部屋に来た時の衝撃はかなりなものになるだろうと思う。

楽しいお仕事でした。
野口装美はこうした特注の椅子も承っております。

 

 

エルメスの手仕事 Hand works of HERMES

IMG_4894

 

エルメスの職人が名古屋でその仕事の実演をしてくれるというのを知り、見に行ってきました。

エルメスの事は知ってるけれど、エルメスの商品は残念ながら所有していない。
以前、知り合いの女性が8年(!!!)待ってやっと手に入れたというハンドバッグを見せてもらった。
その時に、縫製のすばらしさと、隅々まで隙のない作りにため息をついたことがあります。
IMG_4884スカーフの印刷作業。
職人の後ろで工程の説明をしています。
スカーフ1枚作るのにどれだけたくさんの工程があるか、ここまで気を配って慎重に仕事をしているんだという話をユーモアを交えて説明していました。
彼が「私たちには手間をかける十分な時間があります」と言う言葉が印象的でした。

IMG_4885印刷されたスカーフの縁を手でこよりを作るように丸め、一針一針縫っています。90cmのスカーフ1枚を45分で仕上げていくそうです。
この縁の部分、パイピングのように細く丸まっています。
「クリーニングに出すことがあったら、この縁をアイロンがけしてペッチャンコにならないように注意してくださいね。この部分がペチャンコになると悲しいです」
なるほど、ただ縁かがりをしてるのではなくてこの部分にも形としての理由があるわけなんだ。

どの作業もすごい人だかりで、私は身長があるので後ろからでも見えるのですが、殆どの人は良く見えません。
近くの女性がこんなことを言ってました、良く見えないけど何してるの?と友人に聞くと友人は「なんか縫ってるだけ」「つまんないからほか見に行こ」
そんな会話だったと思います。
ただ縫ってるだけ ただ描いているだけ ただ塗ってるだけ。
確かにそうなんですが、職人が簡単そうにやってる作業をジッと見てると、体が覚えた繊細な手さばきに見とれてしまいます。

IMG_4888

IMG_4890

 

どの作業の職人も自分の仕事に誇りを持って作品とお客さんに向かっているんだなと感じました。
IMG_4892久しぶりに良いものが見れました。
ちゃんとした仕事が出来るように、これからも頑張ろーー

一流ではなく超一流を目指したいなと思いました。

IMG_4893

 

RED BULL BOX CART RACE! チーム お米食べてー!

友人がレッドブル ボックスカートレースの出場権を獲得した。
チーム名は「お米食べてー!」チーム名の由来はリンク先を見てください。
キャプチャちなみにボックスカートレースとはこんなレースです。
YouTube Preview Image

先日チーム員及びその関係者が集まり、人里はなれた山奥の私有地を使って大試走大会を行ってきました。
先ずはここまでの道のりをFACEBOOKページから引用
外装のデザインは決まっているので、そこからフレームの検討をする。
okometabete_TEAM-4-hanapy-nora-1024x684cartseisaku_redbull-19DSC_170122154213_919184864914129_2436328575351392092_nこれを山奥の合宿所に持ち込んで試走用の外装を纏わせた。
合宿所の朝の風景はこんな感じ。
IMG_4786早起きして今日の試走に備えた強力朝ごはんをたらふくいただく。
朝から肉!そして新鮮玉子かけごはん。
IMG_4796よし仕事に取り掛かろう。
22050358_441980862862623_2746345143055780041_n18528084_441980789529297_9105468145771927368_n外装を張り込む。ここは張職人の私の出番。
今回は敵チームに見られたくないテストなので試走の外装はダズル迷彩で敵から観察しにくくしてあります。
22195942_10214103931141849_1015617810092304130_nイメージとしてこんな感じ。

完全にプロトタイプの雰囲気が出た。
22089911_441980882862621_522316982755833541_n
22089384_441980749529301_8523231515522757557_n最後にノグチオリジナル座布団を敷いて完成。リジットフレームの衝撃を少しでも柔らかくするためです。安全のヘルメットは必須。動力がないから下り坂でのスピードはチキンレースのごとくブレーキをいかに踏まないか。なんだけど、オーバースピードだと横転するし、ハンドルのシビアさと言ったら、ほんの少し切っただけでも車体が大きく動くので怖くてたまらない。
YouTube Preview Image
試走の模様はこんな感じ。
怖い!とにかく怖いけど、その怖さを上回る面白さ!
ビデオで絶叫してるのは、声を出して恐怖を消そうとしてる私です。
ボディーはこのままでは破壊してしまうということで途中から外したけど、弱い部分などが分かって良いテストが出来たと思います。

本番は10/22日曜日 東京 赤坂サカスです。
お米食べてーTEAMが優勝できるように応援お願いします!!