モトグッチV7の張替え MOTO GUZZI V7Ⅲ

モトグッチV7の張替えです。
元はこの車両ですが、タンクの塗装をすると言うことで、それに合わせたシートカラーに変更したいと言うご依頼でした。


ウルトラスエードのインディゴとネイビーを組み合わせて、ステッチはタンクに合わせたオレンジ、座面のタックロールは2本ステッチを入れることで凹凸をより強調させています。

MOTO GUZZIのロゴは刺しゅうで入れました。


ウルトラスエードは起毛によって、見る角度で明るく見えたり暗く見えたりします。

ご依頼いただきありがとうございました。

 

 

 

HONDA CRF1000L アフリカツインのシート あんこ盛

背の高いお客様から、乗車時に足が窮屈なのと、このマシンでレースやコース走行もするためフラットな座面にしたいとのことでした。

加工前と加工後の比較です。
50mmフロントシートを上げて、タンデムシート座面からフラットな面を作っています。
また、シートの角度も身長が高い人というのもあり、着座位置が若干後ろになるように調整してあります。
足つきは50mm上げた分悪くはなりますが、通常座ることがない前部の幅をシェイプすることで足が真下に下ろしやすく、思ったほど足つきが悪くなりません。
加工後の写真は片足はステップに乗っていますが、このレベルであれば足の窮屈さが改善され、レースなどで足が着きたい時も、今までとさほど変わらず不安なく行けるかと思います。

ご依頼いただきありがとうございました。

 

 

2012のダカールを走ったシートの修理

2012のダカールラリーはホンダワークスがダカールに参戦する前年のレースです。
2011にダカールラリーで9位に入ったアメリカンライダーのクイン・コーディは2012にゼッケン9を付けてさらなる上位を目指しての参戦でした。

名前が定かではないですが、確かこれはヨーロッパのHT Rallyというチームのキットだったのではないかと思います。
ジョニーキャンベルレーシングチーム(JCR)もマシンのセットアップ等のお手伝いをしていた中で、割と期限ぎりぎりでシートも作ってくれないかという依頼でした。
その時のレースの結果はというと以下の動画

ケガをしましたが、致命的なものではなくて本当に良かったです。
マシンが戻ってきたときの写真です。


マシンはそのままJCRのピットで眠り、たまにラリーマップの製作などで動態保存されていました。
そして最近、JCRからこのマシンを借りているであろうDAVIDさんから「シートが破れてしまっているので張り替えてもらえませんか?」ということで、10年ぶりにシートが戻ってきました。
なんだか、いろんなプレゼントも同封されていた。ありがとーー!
破れてはいるけれど、乱暴な扱いをされていたわけでもなさそう。ウルトラスエードの状態も良く、毛羽立ち、毛玉、擦れなど見当たらなく良好です。
糸のほつれも、糸切れも見当たりません。
EVA防水コーティングの密着も問題なし。コーティングとウレタンの接着面の破断も起きていません。当然、水の侵入もありません。
ウレタンの状態もいいのでこのままウルトラスエードで張り替えて発送です。

完成写真はマシンに取り付けてから送ってもらうとするかな。

マシンがリフレッシュされて完成したようです。

応急処置をされていたカウルや、塗装が剥げたタンクの再塗装などして完成


いい感じです。

 

 

 

 

破れたシート CRF450RALLY

5月にメキシコのソノラ砂漠で開催されたソノララリー。
優勝はリッキーブラベック3位にコルネホとHRCの活躍が目立つレースでした。

最終日に現地からこんな写真が届きました。
犬にでも齧られたのか?という冗談はさておき、シートに欠陥があったのか気になるところでしたが、理由を聞いたら大きな問題ではなくホッとしました。
ついでに何枚か写真を撮ってもらい、今まで対策をしてきたところを検証させてもらいました。秘密の黒い布もちゃんと仕事をしてるようです。
どこの会社も同じかもしれないですが、問題が起きると過剰にそれに反応して、なぜそうなったのか、対策はどうするのか、二度と起きないようにするには・・・等々、書類や会議でうんざりすることがあります。
勿論今回の破れに関しても、ライダーが「破れないように対策をしてくれ」と言えば対策をします。しかし、そうでない場合は無闇に仕様は変えません。
破れた理由もわかっているからです。別の対策をすることで本来の性能が損なわれては意味がないのです。
なんてことを考えていたら
ワハハ ってな感じでこんな写真が届きました。破れた理由も書いてあるし。
優勝ライダーの余裕か、チームの余裕か、いずれにしてもこういうノリは好きです。
それなら周りにいる、そうそうたる面々のサイン書いてくださいとお願い。
3位のコルネホ ジョニーキャンベル 引退して戻ったかと思ったら5位に入ったケンドル メカのエリックやゲージ そして謎の人。
この車両は一旦日本に戻すから、シートはこのまま付けて戻すねと。
日本に届き、シートを見た担当から連絡があり、シート送りますと言うことで先日届きました。


一言添えてあるのがうれしいですね。
超一流のチームの面々がこういうことをしてくれるとやる気も出ます。
そして、届いたシートは分解。
破れたところのウレタンは別として、やはり実戦とテストで酷使されたシートの中身はとても気になります。一般のユーザーが使うレベルの数倍のストレスがシートにかかっているので細かく確認です。
接着部、ウレタンのへたり、衝撃吸収材T-NETのへたり、全体の形状、シートエッジの状態などなど見るところはたくさんあります。
自分で書いてしまうと嘘っぽくなってしまいますが、どこも問題は確認されることはなく、接着剤、ウレタン、工法どれも現状のままで問題なく安心したところです。
問題が無いと一言で書いてしまうと簡単なのですが、ウレタンとウレタンを接着することは簡単なのですが、接着方法と素材の性質が悪いと、接着面はそのままに。その横から破断していきます。なので、ウレタンの接着はなかなか難しく、今までさんざん失敗も重ねてきた結果なので、こういう結果を基に安心して作業ができるので無駄なストレスもありません。

極限のレースにシートを提供するメリットとして、耐久性と乗り心地性能の実験結果が得られると言うことです。さらに、トップライダーのリクエストに対する加工技術の向上や、一般ではリクエストされない乗り心地のリクエストに対する答えの用意などによって、一般のライダーの要望に広い範囲で応えられるようになることが挙げられます。必然的に製品は良いものとなっていきます。

今回の破れたシートは良く目立つところに飾っておこう。

 

 

2023ダカールラリーに向けて準備開始 CRF450RALLY HONDA

まだ世界中はコロナ禍において様々な制限があり、思うような移動やイベントができない状況です。
しかし、そんな中でもHRCダカールチームは2023ダカールラリーに向け始動しました。
写真は2020優勝のリッキー・ブラベックのウイングシートと、今年からHRC入りとなったパブロ・クインタニラのシートです。
リッキーは先月のソノララリーで優勝しましたし、アンダルシアラリーではジョアンが優勝と2023ダカールに向けた諸々のレースは、HRCにとって順調なスタートだと思います。
ダカールラリー3連覇目指して頑張って欲しいです。

HRCダカールチームへのシート供給はこれで10年目となります。
10年もの間、ホンダとライダーが当社のシートを要望してくれたことは感謝しかありませんが、同時に求められるシートを机上のデータではなく、きちんとした形や性能で応えられるか高い次元で常に応えてきたという自負もあります。
あっという間の10年のように思いますが、この10年で当社の材料の性能や技術が飛躍的に伸びました。
写真は2013ダカール。ホンダがワークスとしてダカールラリーに戻ってきた年です。
ベース車両はCRF450Xでラリー仕様にしたものでした。
シートにはノグチシートのロゴも入っております。
2012からジョニーキャンベルレーシングのシートのサポートをはじめて、今までになかったシートへの要望がアメリカからたくさん届くようになりました。
その為に材料方見直しを図る必要に迫られました。
シートの大部分を構成するウレタンは、バイクシート用に金型から製作をしてオリジナルウレタンを作りました。
当初は様々な密度・硬さを試行錯誤し、現在のオリジナルウレタンにたどり着きました。
衝撃吸収材T-NETも同じく、挿入する位置や厚みなど様々な試作を経て今に来ています。
2014に登場した新型CRF450RALLYです。
シートのロゴが誇らしいです。
2015からはxxxな事情でこのロゴ位置にはHONDAと入るようになりました。
まぁそのおかげと言っていいのかわかりませんが、苦肉の策でウエルダータグを思いつき製作。

シート後部に付けたこれです。
ウエルダータグもこのように種類が選べるようになりました。
サポートをすることで付加価値の高いものになっていくのではなく、付加価値が高くなる創意工夫なんだと思っています。
勿論、ホンダブランドは巨大で価値の高いものとして世界中に知れ渡っていますが、社員10人に満たない小さな会社が、そのホンダのシートを作っているわけです。これが結構大変です。
大変だからすごいわけではないのですが、会社というものは利益の追求が伴わないと先に進みません。サポートをすることで結果的にブランド力を上げ、商売と上手に合わせて進む資金力もつけてきました。資金が尽きればすべて終わりなのです。
また、この10年で3回サハラ砂漠のラリーに自ら参加してシートの開発をしてきました。ワークスライダーとはスピードも何もかも及びませんが、ラリーという同じ環境で走る事で、ライダーの言葉で表せない要望が汲み取れたらという思いからです。
なんか偉そうなことを言ってますけど、基本は自分自身がラリーが大好きというのもあります。
いつかはパリダカ!と中学生の時から言ってました。
パリダカには出れてないけれど、3回もサハラを走れたことに割と満足しています。
HRCのテストに参加して、道具と材料を持ち込んで砂漠でシートも作りました。

この時、トップライダーの信じられないスピードを目の当たりにして、シートに対する考え方を少し修正した覚えがあります。

こうして培ってきた技術が多くのノグチシートのファンを増やせたのだと思います。
先日お客様からこんなメールをいただきました
・・・始めは、この固さで衝撃は・・・?と思いましたが
いつも、ガツンとくる衝撃を食らう道路でもかなりソフトになりました。
シート高さもちょうど良くスエードも滑らず、ガシッとして大変良い感じでした
・・・・
今皆様にお届けしているシートがまさにこれです。
「硬いのにソフト」
言葉では伝わらない、体感しないとわからないこの感じなのです。

オリジナルウレタンと衝撃吸収材T-NETの組み合わせ、ダカールスペックのシートが一般ライダーの日々の使用に十分効果を発揮できるものであり、ワークスシートが特別なものではなく、ノグチシートが製作するシート全てがワークスと同等の製品であると認識いただければと思います。
製作する私たちも自分で作ったシートでツーリングを楽しんでいます。
長距離が苦痛でなくなり、あちこち寄り道がしたくなり、もっと走って居たくなるシートを目指して研究開発を重ねていきたいと思います。