2024ダカールラリー後のシート確認 KTM450RALLY-Replica.

今年のダカールで完走を果たした池町選手のシートが来ました。
ダカールラリーで使用するという事は、一般的な使用から考えると数年分のストレスをシートは受けます。
シートは受けたストレスを吸収してライダーをサポートします。
そういうシートでありたいと30年以上続けて作っています。
丈夫で長持ち。だけでは意味が無いと思っているのがノグチシートの考えです。
「集中力を維持し続けることができる快適なシート」常にこれが製作の第一と考えています。
ワークスのようにスペシャルなシートを何個も用意できないので、極力トラブルが起きないようにシートを製作します。
今回のオーダーは「できるだけ足つき性を確保しつつ、あとはいつものように快適であれば良いので任せますよ」という事でした。
寒いうえに雨の多いステージでもあるため生地はグリップレザーの組み合わせとしました。
ウレタンの仕様は「HRCと同じ衝撃吸収材T-NETが挿入されたダカールスペック」です。
ではシートを見てみましょう。
これ以上はクッション性の確保ができないと判断したところまで高さを下げて、シート前部は足を出しやすく幅をシェイプ。
外観からは形状の崩れもなく、触った感じも良好。
シート先端にひっかき傷が少し。厚みのある非発泡レザーのおかげでひっかき傷が広がることはありませんでした。
ステッチの糸はパラフィンコーティングの糸を使用しているため、どの部分でも擦れて細くなったり切れている部分はありませんでした。当然縫製のホツレもありません。
生地の表面が見た通りざらついていますが、その生地に施した転写プリントは1mmの剥がれも浮きもありません。
チャックカード入れのマジックテープもしっかり生きてます。
これがバカになってしまうと、チェックカードが逃げ出してペナルティを受けることになってしまうので、マジックテープは知っての通りA面、B面がくっつく仕組みなのですが、それぞれをどちらに取り付けるかにも意味があります。
自分自身でラリーで使って出た答えなので間違いはないと思っています。
マジックテープの素材も砂、泥、いろな要因に邪魔されてもしっかりつくものを使用しています。
ウレタンがへたったり、張り込みが悪いと裏を見ればそれが良く分かるのですが、こちらも問題ありません。カバーは全体にしっかりとした「張り」を維持しています。
カバーをはがしてみました。
水の侵入はもちろんないですし、防水コーティングの剥がれや変形など全くありません。
どこを触っても、防水コーティングとウレタンはしっかり接着されたままであり、ダカール後とは思えないほどウレタンのクッション性は保ったままでした。
池町選手の感想は
「見た目の薄さからは考えられないほど快適でした」
と言ってもらえたので、一言「良かった」これに尽きます。
本番であり実験でもあるこうしたシート作りは、良い結果を踏まえて今まで以上にお客様へ強く提案できるものになってきます。
今まで全てが成功だったわけではありませんが、失敗も含めて今のノグチシートがあるのだと思っています。

最後に完走した池町選手のインタビュー記事をどうぞ

友人のダカールラリー 

 

今回のダカールラリーは古い付き合いの友人がバイクで挑戦しました。


結果は無事完走。R2クラス44位、ベテランクラス6位でゴール
まぁ一言で完走と言ってしまえばそれまでなんだけど、これがどれほど凄いことかはいくら力説しても伝わらないかな。
とにかくかっこいいです。

そんな彼のライディングをノグチシートで支えることができたことは光栄です。
1994のオーストラリアのラリー用シートを作ったのが最初。
それから何度か作ったなぁ。今回で何個目かは忘れたけど、常に進化している今回のシートが一番いいはず。


シートのことは自分からは聞かなかったけど、最終日にこんなうれしい一言を貰った。
お願いしていたゴール後のシートの写真が送られてきた。
2週間彼を支えてきたシートはまだまだ行ける顔をしてる。
こうやって作ったシートを眺めていると、なんとなく、自分もいろいろ完走した気分になれたというわけです。
パリダカに出ようと一緒に視察に行って、このワインを一緒に買ってからもう30年。本人は「パリダカはこれで終わり」と言っているけれど、人生はまだ長いので、また面白いことを思いついて一緒に遊べたらいいなと思います。

お互い50を超えたけど、健康でまだラリーが好きでいられるというのは幸せなことだと思います。

戻ってきてからの話が楽しみです。

 

宝物が届きました。

クロネコさんが小さいけど重めの段ボール箱を届けてくれました。
早速開けると

あっ!!!!!!!!!!

箱の中からいきなりこれが見えたものだからびっくり。
僕の年代のオフロード好きなら説明は要らない代物。

バハライトと言えばこれ。これと言えばバハ1000です。
しかもバハ1000を11回優勝したジョニーのサイン入り。
XR600いや628か、デザートキングと呼ばれた名機。

これは2000年を記念して行われたバハ2000かな。この時もこのXR650に乗ったジョニーが優勝している。

そしてXRの時代は終わりCRF450X。
80年交換から2015(だったかな)のJCRがバハを撤退するまで使用されたこのどでかいハロゲン球のライト。

2012のバハ1000でジョニーチーム(JCR)のサポートカーに乗る幸運な機会を得て、出発前に入念にライトのセッティングをする花輪氏の話を聞き、実際ピットストップでこのライトに交換する作業を目の当たりにして興奮したのを鮮明に覚えています。

昼のライトから夜のライトに交換するピット。丸で囲んだ所にこのライトが置いてあります。交換作業も恐ろしく早かったです。

暗闇迫るラパスへの道をサーチライトのようにビカーーーーっと照らすこのライトは頼もしい存在でした。

届いたものは、これだけではないです。

2021にダカールで優勝したケヴィン・ベナビデス

KTMに移籍して2023に2回目のダカール優勝。
そんなケヴィンから
The best seat ever!だなんて、うれしいなぁ。


ホンダライダー ナチョ コルネホからも

ケヴィンの弟、ハスクバーナのワークスライダーである、ルチアーノ・ベナビデスからも。

さらに、
ジョニーの息子 プレストン・キャンベルの2023ISDE出場応援Tシャツまで。

会社の事務所内がコレクションで溢れていたので、もう少し整理してかっこよく展示しなきゃと思います。
届いた嬉しさもありますが、こうして世界中のトップライダーやその関係者の方々に気をかけていただけることが、ただただうれしいです。

 

 

カメラマン アレッシオのシート

イタリアのカメラマン、アレッシオから久しぶりに連絡が来ました。
彼とは2014のチュニジアで知り合い、その時に彼はKTM950ADVに乗ってコースを先回りして参加者たちの写真を撮っていました。
レース後に「シートのサポートをするよ」と彼に言って、ダカールスペックで作って送ったシート。

あれから約10年。彼の投稿を見る限りこのバイクで何度もラリーの撮影をして、シートも酷使されてきたと思います。
一般ライダーの数倍は過酷な状況でのテストになるので、ノグチシートとしても使用結果が気になるところでした。

アレッシオから届いたメッセージ
もうすぐトアレグラリーの取材に行くんだ。
とうとう破れたシートカバーを張り替えたんだけど、中のウレタンフォームは何ともない!
信じられない!
何年経ったんだ??

と、酷使されたウルトラスエードのシートカバーと張り替えたシートの写真が送られてきました。
10年経っても大柄な彼の体を支えていられるシートという事で、素材の確かさに安心するばかりです。
アレッシオ、これからも素敵な写真を楽しみにしています。