今年もモンゴルのラリーに出場される方のシートを何点か製作させていただきました。
もうすぐ国内での車検ですね。
私もこのモンゴルのラリーは第一回目にアフリカツインに乗って出場し結果はリタイヤでした。
その後、オフィシャルでの参加を3年ほどさせていただきモンゴルの全てはないですが、かなり広範囲にわたって駆け廻りました。当たり前ですけどものすごく広いし、さまざまな風景を見て、さまざまな人に出会い、つかめそうな雲や降ってきそうな星を眺めとても楽しい経験ができました。
その時の様子はレポートにあります。
2005のレポート
2006のレポート
2007のレポート
少し思い出話を・・
はじめて行った時はここでラリーの一行が来るのを待って3日過ごしました。
初めて食べた時は、羊さんが口の中を土足で駆けまわりつらかったですが、2年目、3年目になるとそれがまたいい感じになってくるから不思議です。同じ羊でも場所によって味も違うんです。
チェックポイントで待っているとどこからともなく現地の人が来て、もれなく子供も付いてくるので3年目にはシャボン玉を持って行って見せてあげた。はじめてみるシャボン玉に喜んでいたなぁ。でも、乾燥した砂漠ではすぐ消えてなくなっちゃうんです。大きな空に消えるまでは飛びません。
自分が受け持つチェックポイントはGPSの座標で知らされていて大雑把な地図を頼りに、現場へ先回りします。GPSがこの近くだと示すあたりをさがすと、数ヶ月前に来た試走隊が置いて行った目印がありました。手のひらサイズのGPSが示された地球の一点に連れて行ってくれると言うのはすごいことです。
スタッフとして期間中のお風呂はまずは入れません。なので、川があれば体を洗い、井戸があれば体を洗い、こんなでかい湖に遭遇した時は貸し切りのでかいお風呂に入っている気分でした。あまりにもでかい湖で前を見れば水、振り返れば荒涼とした大地。見渡せば自分とスタッフのみと言う不思議な空間です。スタッフの一人が「初めてこんなに水を見た」と言う言葉が印象的でした。
思い出話の前置きが長くなりました。
本題 シートの表皮について。
先ずは写真をどうぞ。
モンゴルに出場したバイクの一部です。全てシートの表皮にエクセーヌやアルカンターラが使用されてます。
ラリーに限らず常に着座姿勢を取るバイクのシートは熱を持ち蒸れます。
なので、アルカンターラやエクセーヌを張る事でこれを軽減する効果が得られます。
毎日長時間着座するラリーなどではその効果がはっきり現れます。
炎天下にバイクを置いているとシートの表面がかなり熱くなり、熱いまま座るので汗をかく。湿ったお尻は擦り切れやすく、やがてそれが苦痛に変わって行きます。
これからの季節などは一般走行でも同じことが言えます。
ビニールレザーではないので雨が降ると水がしみて心配だと言う方もいるかと思いますが、当社ではウレタンにしっかりとした防水コーティングを施すので表皮に水はしみてもウレタンまでしみこむことはありません。
なので、濡れた場合は表面を乾いたタオルで水分を取り除けば短時間で乾きます。
蒸れず、適度な滑り止め効果と柔らかなタッチは一度使うとなかなか忘れられません。
ブルーマジック
ジオン公国軍 軽機動車 PVN.3/2 サウロペルタ 最終
あいにく当日はいけませんでしたが、当社の職人が行って見てきました。
職人が見てきたホビーショウの模様
ここでも紹介されていますね
製作者 大橋さんのブログ
世界一周のシート
彼とは2004にバイク屋さんの紹介で知り合い、その縁で世界一周のシートを作らせてもらいました。
世界一周中にスペインで合流してダカール見物を楽しんだりもしました。
スペインのスペシャルステージで、スタートを待つカミオンを後ろに見ながら飲むビールは贅沢な時間だったなぁ。
既に旅も終えて4年が経過してます。
まだHPが残ってました。
地球ぶるるん旅行
そんな彼が海外に転勤する事になり、バイクを預かる事になりました。
スタート時はこんな感じでした。
約30ケ月。10数万キロを走破したシート。製作から6年経過しました。
ビニールレザーは表面がこすれてテカリが出ています。
紫外線にさらされ続けたビニールレザーは色が飛び、少し硬化もはじまってます。
ステッチの糸は擦り切れています。
しかし、縫製はほつれていません。
クッション性もまだまだ良好です。
今度、カバーをはいで中を確認してみようと思います。
当社で製作したシートがライダーを支えて無事旅を終えて今度は当社がそのシートを検証することで、また新たなアイデアや技術を生みます。
こうした実績の一つ一つがとても大事なことだといつも思っています。