シートのオーダー

シートのオーダーはメールでのやり取りの場合、文章だけで完成まで持っていくことが大半です。
もちろん、デザインや形状の提案が欲しいと言われる方には、シートが到着してから、シートに表皮切り替えしラインを入れたり、シート形状などは削る場所や盛る場所などを示した写真、ノーマルの表に近い表皮のサンプルを合わせた写真で最終確認をしております。
出来るだけ要望に近い形と仕上がりを目指すために、完成イメージを分かりやすく説明させていただいております。
しかし、乗り心地に関しては個人差があるので、今までの実績から良いと思う提案をさせてもらっても、出来上がってからではないとその効果はわからないという事もあります。
さて、オーダーされる方の一例をご紹介いたします。
今回はショップ様からの依頼で、お客様の要望を伝えていただきました。
【依頼内容】
車両 カワサキNinja250 2008年モデル 
加工依頼 メインシートのみ
オーナー情報
男性 身長171センチ 体重82キロ
使用状況  
100%ツーリング
通勤での使用は無し。
ノーマルシートの問題点
シートのウレタンが硬く?、150キロぐらいの走行でお尻が痛くなる。
乗車中にシートの形状の問題か、前にずれる。
(ステップをバックステップにしていることも影響しているかも)
SPLシートへの要望
往復で300キロ程度走っても、お尻が痛くならないシートが欲しい。
足つきは現在でも良好なので、ウレタンの厚みを増すことは、問題ないが、
ピリオンシート脱着のための鍵穴がある為、これを逃がす加工を望む。
何か良い提案がないでしょうか。
写真も添付されていたので、確認します。


写真で見る限り足つき性は十分余裕がありますね。
先ずは前下がりの解消について考えます。
前にずれてしまう原因は、シート以外にもいくつか考えられますが、シート屋としてはシートでできる解消法の提案をさせてもらいます。

一番安価に済ませるにはノンスリップレザーを座面に使用してズレを抑える方法ですが、今回のシートの場合は角度がきついので、座面に触れているパンツは止まりますが、体はやがて前へずれてきます。そうすると、パンツが股間に食い込んで不快感を覚えます。
次に

着座部を下げて角度を緩やかにする方法。
足つき不安があったり、快適性を犠牲にしても角度を補正したい場合には有効ですが、今回の場合は足つきには余裕があり快適性を求めるので、削り込むことでクッション性を下げたくありません。
なので

このように前を盛ってズレを抑える方法を提案させていただきました。
しかし問題がひとつあります。

このようにシート前部が反り上がっているシートであれば、タンクとの当たり面をある程度気にせず盛ることが出来ます。
今回のシートはその反り上がりがありません。バイクが手元にあれば合わせながら盛れますがそうはいきません。
隙間の開いたシートは、気分的にも見た目にもよくありません。
なので、

こんな感じで、シート中央とシート角部分の2箇所の型紙を作って一緒に送ってもらうことになります。
そうすることで、バイクがなくても型紙があることで、タンクが手元にあるように作業が出来ます。
それでも、隙間が心配な場合は一旦返送しフィッティングしていただきます。
快適性についてはアンコ盛と合わせてT-NETの挿入を提案させていただきました。
このシートはシートベースの着座部分が下げ底になっており、50mm程度のウレタンの厚みがあります。
全体に盛ってぼってりしてしまうと、あまり美しくありません。
提案まとめ
1.シート前部を盛り上げることで前へのズレを抑える。
2.快適性を求めるためにT-NETを挿入する。
3.アンコ盛により張替えが必要なので張替えをする。(希望カラーはY-03)
最終仕上の前に、一度乗車確認をしてみる(別途送料ご負担)
このような提案となりました。
これも提案のほんの一例です。
どうしたいか上手く伝えられないけど、今のシートに不満がある。
そんな人は、いつでもお気軽のお問い合わせください。