シートウレタンの削り

一般の方が足つきを良くするために手っ取り早くする方法として
「アンコ抜き」があります。
シートのアンコ(ウレタン)を削ってシートの高さを低くします。
シート高を低くすることで足つき性が良くなるかと言うと、それは単純なことではなくて色々と問題もあります。
それは過去の投稿をご一読いただくとありがたいです。

ノグチシートはアンコ抜きに限らず、衝撃吸収材T-NETの挿入に加えてオリジナルウレタンを積層して新たにシート形状を削り出すことが多いです。
アンコ盛りも同じことで、ただ盛るだけではなく、高くなっても足つき性を損なわず高くなった利点を最大限引き出せる形状を考えて削っています。
この写真を見ていただければわかると思いますが、シートの前部を絞り込んで足を増した荷下ろしやすくしつつ、座面の広さの確保と、シートベースの広さが結構ある車体なので、サイド部分に角度を変えてプレスライン的なものを入れています。

更に削りにこだわる理由を言うと、多少の凸凹は薄くて柔らかいウレタンで覆って隠せばいいと言う考えは嫌いです。
たった数ミリの粗隠しのウレタンが乗ったときの違和感につながるんです。
触ったときの気持ち悪さもあります。
仕上がりもぼんやりとした緊張感のない造形になります。
目指しているのはシャープなラインで構成されたシートなんです。
チップウレタンを多用する家具などではチップの凸凹をが表に出ないようにスラブウレタンを巻く方法が一般的ですが、バイクシートにこの方法はダメです。
と言うのがノグチシートの考えです。

ノグチシートではお客様の要望と、さらに見た目の美しさを追及しています。

ここからは余談です。
先週土曜日は天気も良く絶好のツーリング日和。
先日作ったノーマル形状で中身はダカールスペック、カバーはウルトラスエードのシートで福井まで。
特に目的地は無いけれど、そう言えばあれ食べてなかったなとか、久しぶりにあそこに行ってみるかと思い付きのツーリングでした。
ここに来るのは3回目くらいかな。
中学の時に出会った言葉。
こう生きていきたいものです。

お尻の痛みから解放されるシートと言うのは永遠のテーマですが、一歩ずつそれに近づいている気はしています。
なぜなら自分で確かめてそれが確実だという感覚を得ているからです。
50を過ぎてから数台バイクを増車したことで、またしても自分にバイクブームがやってきました。とにかく乗って出かけたくて仕方ないんです。
そして出かけたら思いつくまま寄り道がしたい。
思いついた時にお尻が痛かったり、疲れが出てしまっていると「まぁいいか、今度にしよう」さらに「早く帰りたい」になってしまいます。
そうならないシートが自分の一番の理想です。

梅雨に入る前に、もう少しあちこち回りたいな。