ウルトラスエード(アルカンターラ)の耐久性

それにしても、よく乗っていると自分でも思います。
BMW R100RS
乗っても見ても楽しい。
購入して約10か月で6,000km走りました。
その間にCT125やCRF450Lで走ってますので、この期間バイクでの走行はトータルで10,000kmは走ってますね。
総走行距離は70,000kmになりました。
気になるところと言えば、カンカンという打突音が出たり出なかったりという症状。タペットなどの基本的なところは完ぺき(だと思ってる)なのでネットでくまなく調べては見たけど、素人の質問に素人が答えてそれを素人が閲覧してという地獄なので、6,000kmそのままで特に問題出てないからまぁいいやと楽観することにしてます。

さて、これだけの距離を走ったシートがどんな状況かをお知らせします。
ちなみに雨の走行は1回のみです。
ここまでのシートのメンテナンスは、水を多く含ませたタオルで表面を前後に拭く程度です。前後に拭く理由は、ウルトラスエード(アルカンターラ)の毛並みが後ろから前へと揃えてあるので、前後に拭くことで毛が立ったり寝たりして整うからです。
先ずは作ったばかりのシートの写真です。
撮影の条件が違うので比較にはならないかと思いますが、参考までに見ていただければと思います。
これが作りたての状態です。

そしてこれが6,000km走行したシート

作りたてのシートと比較しても大きな違いは見られないです。
毛玉とか傷は見られません。
色褪せも問題ありません。
当然のことながら、感触の変化もありません。
6,000km程度では表面の変化は当然ながら起きません。
使い方や保管方法でウルトラスエードの寿命は変わってきますが、それほど神経質にならなくてもビニールレザーと同じ扱いで良いのではないかと私は思っています。
引き続きこのシートで走り回ろうと思ってます。

洗い方も以前紹介したように、こんな感じでよいです。

ビニールレザーよりも高価な素材ではありますが、その質感は体感すれば間違いなく満足いただけると思っております。

 

 

 

タンデムソムリエ

野菜ソムリエ 温泉ソムリエ 豆腐ソムリエ・・・
なにか評価する人のことをいつからか xxソムリエ と呼ぶようになったようです。
良し悪しは別として、日本語として定着はしたように思います。

なので、バイクシートのタンデム部分を評価する人をタンデムソムリエと呼ばせていただこうと思う。

相変わらず休日のバイク遊びは、天気が良いのも手伝ってあちこち走り回っています。
海を見に行ったり

ご当地名物を買ったり
友人と朝ラーメンツーリングも定期的にやっています。
どれも相変わらずです。

しかし、毎回バイクは一人。
二人乗りで出かけることは稀なのですが、先日当社に在籍するタンデムソムリエが「久しぶりに、タンデムシートの性能チェックをしてみようかな」というので、私が作ったR100RSのシートのタンデム部分の座り心地を、美味しいものでも食べながら出かけましょうとなりました。

このタンデムソムリエですが、それはもう本当に厳しい。バイクの免許は持っていないのでタンデムシートの乗り心地しか知りません。
ずいぶん昔に作ったシートで出かけた時、1時間くらい経過したころに、刑事がドアを乱暴に叩くあれと同じように僕の背中がどんどんと叩かれました。
どうかしましたか?
「ちょっとバイクを止めろ!」
「信じられんくらいお尻が痛い!」
「ここからバスで帰る!」
「キングオブシートが聞いてあきれる」
と、それはもう厳しい言葉をいただき、なだめて帰宅したことがあります。
もちろん普段は優しい言葉使いです。それほど耐えられないシートだったんだと口調からわかります。
それから何度かの試乗と試作を経て
「これなら一日乗ってられる」
「あの時の痛みがうそのよう」
とまで言われるようになれたので、免許は無いけれど後ろに乗るかもしれない人たちの気持ちも少しわかるようになりました。
頻繁に休憩を入れなくても大人しく乗っていてくれるし、あちこち寄り道も苦にならないし、なにより険悪な空気にならないのがいい。
美味しいごはんでシートの評価を忖度してもらうつもりでもないのですが、車でドライブするのと変わらないくらい気分良くツーリングできればそれに越したことはありません。
この日の走行は250km。
「お尻ことは気にせず乗ってられる」
という評価だったので100点としておこう。良かったです。

タンデムシートに衝撃吸収材T-NETを挿入してアレコレすると、かなり大掛かりな作業となりますが、それに見合った効果はあると思っています。

タンデムシートのご相談も遠慮なく質問お問い合わせください。

 

 

 

小物入れとか色々

ミシンと材料とちょっとした技術があれば、こういう小物入れなどの創作意欲が湧いてきます。
最近は忙しい現場の邪魔をしない程度に、工場の隅っこでチマチマとアイデア出したりしながら、自分の欲しいものを作っています。

こんなものや
商品化を狙ったこんなバッグなどやってました。
たまにミシンを踏まないと感覚が鈍るというのもあります。
さて、次の製作はCT125 ハンターカブのセンターキャリアに乗っける小物入れ。
なんとなく買って付けたまではいいけど、機能と言えば乗車するときにこの部分に足が当たって塗装を傷つけることが無くなった程度。
なので、ここに小物入れを付けて、今まで後ろの箱の中に入っていたサングラスや・・? まぁ小物入れを付けたからと言って入れるものは少ないんですが、とりあえず作ってみたいので開始。
先ずは画用紙などの少し腰のある紙で横から見た大きさを決める。
キャリアの幅があるので、横からの形が決まれば後は自動的に寸法が決まる。
形を決めた画用紙を清書して、これを生地の型紙にする。
1回作るだけなので、全ての型紙は作らずに基準となるものだけ製作して、あとは進めながら寸法を拾って生地を切る。
ファスナーはロールで買ってあるので、必要な長さに切ってスライダーを装着して作ります。
これで袋になりました。
ぐるっと裏返すと出来上がり。
早速取り付けます。
ここに
こんな感じに取り付きました。
ファスナーが2本の理由は
こういうことです。
片手で開けられて、片手で閉めることができる。
それと開口部が広く取れるので出し入れがしやすいんです。
この大きさなら乗車時にぎりぎり邪魔にならないかなと思うし、まぁまぁ合格な収まり方となりました。

ちなみに何個か作った自分用のシートですが、この色のウルトラスエードが気に入ってずっとこれです。既にこのシートで3,000km走ったかな。
高さを+15mm、衝撃吸収材T-NETの挿入とのんびり走っても、林道攻めても楽しいシートです。

 

 

 

ノグチシート オリジナルウレタン

ノグチシートのオリジナルウレタンを作り始めてちょうど10年になります。
オリジナルのウレタンを作るにあたって、先ず難しかったのが作ってくれるところがない。
当社が発注する量なんてメーカーにとっては利益のある仕事ではないので、それを見つけるのが大変でした。
大手のメーカーに問い合わせても返事すら来ないのはざらで、担当者に話ができても、私からの要望が多くて最後には「・・うちでは難しいですね・・」と話が終わるパターン。
いやいや、はっきりと「儲からないし、面倒だからやりたくないです」と言ってもらったほうが気が楽です。できないのではなくて、難しいならなんとかなるんじゃないですかねと思ってしまうのです。
あきらめが悪いので、いろいろ当たっているうちに今のメーカーに行き当たり製造をお願いしています。
当社専用の金型を作り、「難しい」薄物のスライスも工夫してやってもらっています。オリジナルウレタンは今までミディアムとハードと2種類の硬さで作っていました。
その使い分けは用途や好みにもよって様々ですが、この10年で自分自身で試してきた結果と、ダカールラリーや当社で改造したお客様の感想を踏まえて、オリジナルウレタンの硬さを1種類にしました。
いろんな硬さを用意できればいいのですが、たくさんあってもお客様が選ぶことはできないと思います。
今回1種類にしたこの硬さに関しては、私自身がラリーで使用したり、ロードバイクでロングツーリングしたり、プロライダーのハードな使用においての感想や劣化具合を総合して決定しました。
オリジナルウレタンで作ったシートで7日間毎日乗り続けるラリーや

のんびりと1500km程度ツーリングでシートを試したり・・。

ちなみに下の写真はダカールラリーで使用したシートを半分に切って、ウレタンや衝撃吸収材T-NETのへたりなどのチェックをした写真です。


ウレタンの接着面や、防水の接着面などを見るだけで貴重なデータがレース後のシートウレタンから得ることができます。
市販車のシートウレタンに硬度の違うウレタンを張り付けて改造するわけなので、硬度や密度の違いで接着面に問題が起きたり、素材そのものが破壊されることもしばしばあります。なので、世界一過酷なラリーで使用したシートの分解などは、普通では手に入らない貴重なデータとなります。

今までこのブログで何度も「シートは硬いほうが良いか、柔らかいほうが良いか」について書きましたが、結論は出ていません。
しかし、基本的にノグチシートが提供するシートは、私にとって一番具合のシートなのです。お客様に喜ばれるかどうかは、作ったものを乗ってもらわないとわからないというのが現状です。なので、先ずは私が快適だと思うシートを作ることが製作する上での最低条件だと思っています。
それが、今回の1種類に絞ったウレタンの硬さとなります。
あとは高さやカバーのデザインなどお客様の希望をつけ足していくことで、よりお客様にご満足いくシートになると思っています。

快適なシートについて考える
と、以前のブログにも書きましたので参考までにどうぞ。

自作される方も、このウレタンは材料販売していますので、ご注文いただければ1枚から販売します。

 

ステッチの話

シートカバーの切り替え(つなぎ目)の縫製にはステッチやパイピングを入れます。
縫いっぱなしの場合も時にはありますが、基本的にはシングルステッチを入れます。
なぜステッチを入れるかというと以下の図をご覧ください。

生地同士を縫い合わせただけの縫いっぱなしの状態だと、張り込み時に縫いシロが右や左に倒れてしまい縫い合わせのラインが乱れます。
また、厚みのあるバイク用ビニールレザーだと縫い合わせた部分が膨らんでしまい、レザーが浮いてウレタンに密着しません。
ステッチを入れることで縫いシロが押さえられ、かつ縫いシロが一定方向を向くので張り込みがしやすく、仕上がりもきれいになります。
縫いっぱなしの縫製をした裏側はこのようになっています。通常、縫いシロは8-10mmあるので、その部分だけ膨らみます。
今回はあくまでもバイクシートに限っての話なので、家具や車その他の張り物とは考えが変わります。

ステッチにもいろんな種類がありますが、今回は2つ。
シングルステッチとダブルステッチ
縫いシロをすべて片側に倒してステッチをかけるのがシングルステッチ
両側に倒すのがダブルステッチです。

シングルステッチ
これが一番多いステッチです。
このステッチにもう1本ステッチを走らせる方法もあります。
糸の色を変えたりステッチを強調したい場合には、このシングルのダブルも良いかと思います。
シングルのダブルはこんな感じです。こうしたラウンドした縫製部分はシングルのダブルがきれいに仕上がります。ダブルなのでステッチも目立ちます。

ダブルステッチは縫い合わせた生地の縫いシロをそれぞれ両側に倒してステッチをかけるため、縫い合わせ部分の引っ張り強度は「糸のみ」となってしまうので図のように裏に1枚テープを当てて補強します。こうすることで引っ張り強度は保たれます。しかし、裏のテープを取り付けるため生地の伸びがなくなったり、急カーブな縫製を苦手としたりします。
シングルステッチの場合、縫いシロをどちらに倒すかで見た目も変わります。
これは側面(当社ではマチと呼んでます)にステッチをかけた場合

これは上面(当社ではカガミと呼んでます)

違いはありますが、シートの形状や色の組み合わせなどで指示がなければ当社が思う最適な方向でステッチをかけています。

ダブルステッチとシングルステッチの大きな違いがステッチ部の厚みです。
図を見ていただければわかりますが、ステッチ部の厚みはシングルは生地3枚分、ダブルは2枚。 厚さ1ミリのビニールレザーだと2mmと3mmの違いがあります。これが違和感になると心配なさる方もいますが、それほど大きく干渉するものではないので気にするレベルではないと思います。
もちろん、だからと言って強制するつもりはありませんので、気になることはすべて解消するように対応します。
ダブルの場合必ず補強テープを入れる(例外もあります)ので厚みは同じになることが多いです。
どっちが丈夫?という質問もよくされますが、縫製する部分が少ないシングルのほうが若干は強いと思いますが、ダブルも補強さえ入っていれば問題はありません。
手間が増えるダブルに関しては加工費も一般の縫製より上がります。

ステッチで迷われた場合はご相談ください。カバーデザインに最適なステッチの方法をご提案させていただきます。

今回はステッチの話でしたが、パイピングやタックロール、刺繍など縫製にまつわる話はまだありますので、機会を見て紹介していこうと思います。