小物入れとか色々

ミシンと材料とちょっとした技術があれば、こういう小物入れなどの創作意欲が湧いてきます。
最近は忙しい現場の邪魔をしない程度に、工場の隅っこでチマチマとアイデア出したりしながら、自分の欲しいものを作っています。

こんなものや
商品化を狙ったこんなバッグなどやってました。
たまにミシンを踏まないと感覚が鈍るというのもあります。
さて、次の製作はCT125 ハンターカブのセンターキャリアに乗っける小物入れ。
なんとなく買って付けたまではいいけど、機能と言えば乗車するときにこの部分に足が当たって塗装を傷つけることが無くなった程度。
なので、ここに小物入れを付けて、今まで後ろの箱の中に入っていたサングラスや・・? まぁ小物入れを付けたからと言って入れるものは少ないんですが、とりあえず作ってみたいので開始。
先ずは画用紙などの少し腰のある紙で横から見た大きさを決める。
キャリアの幅があるので、横からの形が決まれば後は自動的に寸法が決まる。
形を決めた画用紙を清書して、これを生地の型紙にする。
1回作るだけなので、全ての型紙は作らずに基準となるものだけ製作して、あとは進めながら寸法を拾って生地を切る。
ファスナーはロールで買ってあるので、必要な長さに切ってスライダーを装着して作ります。
これで袋になりました。
ぐるっと裏返すと出来上がり。
早速取り付けます。
ここに
こんな感じに取り付きました。
ファスナーが2本の理由は
こういうことです。
片手で開けられて、片手で閉めることができる。
それと開口部が広く取れるので出し入れがしやすいんです。
この大きさなら乗車時にぎりぎり邪魔にならないかなと思うし、まぁまぁ合格な収まり方となりました。

ちなみに何個か作った自分用のシートですが、この色のウルトラスエードが気に入ってずっとこれです。既にこのシートで3,000km走ったかな。
高さを+15mm、衝撃吸収材T-NETの挿入とのんびり走っても、林道攻めても楽しいシートです。

 

 

 

ノグチシート オリジナルウレタン

ノグチシートのオリジナルウレタンを作り始めてちょうど10年になります。
オリジナルのウレタンを作るにあたって、先ず難しかったのが作ってくれるところがない。
当社が発注する量なんてメーカーにとっては利益のある仕事ではないので、それを見つけるのが大変でした。
大手のメーカーに問い合わせても返事すら来ないのはざらで、担当者に話ができても、私からの要望が多くて最後には「・・うちでは難しいですね・・」と話が終わるパターン。
いやいや、はっきりと「儲からないし、面倒だからやりたくないです」と言ってもらったほうが気が楽です。できないのではなくて、難しいならなんとかなるんじゃないですかねと思ってしまうのです。
あきらめが悪いので、いろいろ当たっているうちに今のメーカーに行き当たり製造をお願いしています。
数百万をかけて当社専用の金型を作り、「硬くて粘って難しい」薄物のスライスも工夫してやってもらっています。オリジナルウレタンは今までミディアムとハードと2種類の硬さで作っていました。
しかし、この10年で自分自身で試してきた結果と、ダカールラリーや当社で改造したお客様の感想を踏まえて、当社で扱うオリジナルウレタンの硬さをハードの1種類にしました。
いろんな硬さを用意できればいいのですが、たくさんあってもお客様が選ぶことはできないと思います。
ハードウレタンの硬さに関しては、私自身がラリーで使用したり、ロードバイクでロングツーリングしたり、プロライダーの極端に負荷のかかる使用においての感想や劣化具合を総合して決定しました。
オリジナルウレタンで作ったシートで7日間毎日乗り続けるラリーや

のんびりと1500km程度ツーリングでシートを試したり・・。

ちなみに下の写真はダカールラリーで使用したシートを半分に切って、ウレタンや衝撃吸収材T-NETのへたりなどのチェックをした写真です。


ウレタンの接着面や、防水の接着面などを見るだけで貴重なデータがレース後のシートウレタンから得ることができます。
市販車のシートウレタンに硬度の違うウレタンを張り付けて改造するわけなので、硬度や密度の違いで接着面に問題が起きたり、素材そのものが破壊されることもしばしばあります。なので、世界一過酷なラリーで使用したシートの分解などは普通では手に入らない貴重なデータとなります。

今までこのブログで何度も「シートは硬いほうが良いか、柔らかいほうが良いか」について書きましたが、結論は出ていません。
しかし、基本的にノグチシートが提供するシートは、私にとって一番具合の良いシートなのです。
お客様に喜ばれるかどうかは、作ったものを乗ってもらわないとわからないというのが現状です。
なので、先ずは私が快適だと思うシートを作ることが製作する上での最低条件だと思っています。
それが、今回のハード1種類に絞ったウレタンの硬さとなります。
あとは高さやカバーのデザインなどお客様の希望をつけ足していくことで、よりお客様にご満足いくシートになると思っています。

快適なシートについて考える
と、以前のブログにも書きましたので参考までにどうぞ。

自作される方も、このウレタンは材料販売していますので、ご注文いただければ1枚から販売します。

 

ステッチの話

シートカバーの切り替え(つなぎ目)の縫製にはステッチやパイピングを入れます。
縫いっぱなしの場合も時にはありますが、基本的にはシングルステッチを入れます。
なぜステッチを入れるかというと以下の図をご覧ください。

生地同士を縫い合わせただけの縫いっぱなしの状態だと、張り込み時に縫いシロが右や左に倒れてしまい縫い合わせのラインが乱れます。
また、厚みのあるバイク用ビニールレザーだと縫い合わせた部分が膨らんでしまい、レザーが浮いてウレタンに密着しません。
ステッチを入れることで縫いシロが押さえられ、かつ縫いシロが一定方向を向くので張り込みがしやすく、仕上がりもきれいになります。
縫いっぱなしの縫製をした裏側はこのようになっています。通常、縫いシロは8-10mmあるので、その部分だけ膨らみます。
今回はあくまでもバイクシートに限っての話なので、家具や車その他の張り物とは考えが変わります。

ステッチにもいろんな種類がありますが、今回は2つ。
シングルステッチとダブルステッチ
縫いシロをすべて片側に倒してステッチをかけるのがシングルステッチ
両側に倒すのがダブルステッチです。

シングルステッチ
これが一番多いステッチです。
このステッチにもう1本ステッチを走らせる方法もあります。
糸の色を変えたりステッチを強調したい場合には、このシングルのダブルも良いかと思います。
シングルのダブルはこんな感じです。こうしたラウンドした縫製部分はシングルのダブルがきれいに仕上がります。ダブルなのでステッチも目立ちます。

ダブルステッチは縫い合わせた生地の縫いシロをそれぞれ両側に倒してステッチをかけるため、縫い合わせ部分の引っ張り強度は「糸のみ」となってしまうので図のように裏に1枚テープを当てて補強します。こうすることで引っ張り強度は保たれます。しかし、裏のテープを取り付けるため生地の伸びがなくなったり、急カーブな縫製を苦手としたりします。
シングルステッチの場合、縫いシロをどちらに倒すかで見た目も変わります。
これは側面(当社ではマチと呼んでます)にステッチをかけた場合

これは上面(当社ではカガミと呼んでます)

違いはありますが、シートの形状や色の組み合わせなどで指示がなければ当社が思う最適な方向でステッチをかけています。

ダブルステッチとシングルステッチの大きな違いがステッチ部の厚みです。
図を見ていただければわかりますが、ステッチ部の厚みはシングルは生地3枚分、ダブルは2枚。 厚さ1ミリのビニールレザーだと2mmと3mmの違いがあります。これが違和感になると心配なさる方もいますが、それほど大きく干渉するものではないので気にするレベルではないと思います。
もちろん、だからと言って強制するつもりはありませんので、気になることはすべて解消するように対応します。
ダブルの場合必ず補強テープを入れる(例外もあります)ので厚みは同じになることが多いです。
どっちが丈夫?という質問もよくされますが、縫製する部分が少ないシングルのほうが若干は強いと思いますが、ダブルも補強さえ入っていれば問題はありません。
手間が増えるダブルに関しては加工費も一般の縫製より上がります。

ステッチで迷われた場合はご相談ください。カバーデザインに最適なステッチの方法をご提案させていただきます。

今回はステッチの話でしたが、パイピングやタックロール、刺繍など縫製にまつわる話はまだありますので、機会を見て紹介していこうと思います。

 

ウエルダータグ ロゴマーク

CRF450RALLYのシートにも取り付けているウエルダータグ。
高周波溶着で生地に溶接するので頑丈です。
ダカールラリーでの過酷な状況でも問題はありません。

当社のロゴはプリントでもできるのですが、このエンボスのウエルダータグの取り付けが最近では一般的です。

そして、今回は新たに2色追加しました。
スタンダードに加えてブラックラベルとホワイトラベルです。
タグのデザインは同じです。
(タグなのかラベルなのかロゴなのか、言い方統一しろよと言われそうですが、まぁそこは目をつむってください)
黒いシートが多数を占めるので、黒のビニールレザーとウルトラスエード(アルカンターラ)に付けてみました。

ビニールレザー

ウルトラスエード(アルカンターラ)

こうして当ててみるとイメージが湧くかと思います。
自画自賛ですが、黒い生地にブラックラベルがいい感じです。

ホワイトラベルは赤が無いだけで一層目立つ感じです。

ロゴをつけたいお客様には、選ぶ楽しみもできたのでタグを増やしたのは良かったと思います。