2022ダカールラリー モンスターエナジーホンダ CRF450RALLY

2022 ダカールラリー
サウジアラビアにて1/2スタートします。
ホンダ広報より引用

Hondaは、2022年1月2日よりサウジアラビアで開催される、FIM※1世界ラリーレイド選手権の開幕戦 ダカールラリー(Dakar Rally)2022に、株式会社ホンダ・レーシング(HRC)のワークスチーム※2「モンスター・エナジー・ホンダ・チーム(Monster Energy Honda Team)」で参戦し、3年連続での二輪車部門の総合優勝をめざします。

2022年のモンスター・エナジー・ホンダ・チームは、パブロ・キンタニラ(Pablo Quintanilla)選手が新たに加入し、リッキー・ブラベック(Ricky Brabec)選手、ホセ・イグナシオ・コルネホ(José Ignacio Cornejo)選手、ジョアン・バレーダ(Joan Barreda)選手の4名体制で参戦し3連覇に挑みます。2022年も皆さまからの熱いご声援をお願いいたします。

  • ※1FIMとは、Fédération Internationale de Motocyclisme(国際モーターサイクリズム連盟)の略称
  • ※2ワークスチームとは、マシンを製造しているメーカーが運営しているチーム。HondaではHRCが運営するチーム

チームにシートを供給して10年が経ちました。
当社の夢であった「ダカールラリー優勝マシンにノグチシートが使用されている」が叶い、今回は3連覇を目指す。
10年の間には問題が起きたり、今まで想像するしたことがなかった要望がライダーから出たり、そのたびに頭を悩ませながら材料の開発や加工機の入れ替え、加工技術などで解決し、そのおかげで当社のシートは自信を持ってお客様に提供できるものになりました。
おかげさまでその技術を生かしたシート作りは多くのお客様の満足につながっております。
たかがシートですがされどシートです。
座右の銘ではありませんが、20数年前にシート作りを始めた時にこう思っていたのが現実になっているというのは、当たり前のようで少し不思議な感じでもあります。

2022ダカールラリー用、ワークスマシンのシート。

 

HRC HONDAチームのシートのお手伝いを始めて今回で10年目となります。

早い段階で優勝が見えた時もありましたが、ダカールラリーはなかなか厳しくて念願の優勝は8年目。
そして、9年目の今年も優勝して連覇と言うかたちで勢いに乗っている。
10年間ワークスマシンのシートを作ってきて、いろんなことを学べました。
シート製作の基本的な技術だけではなく、素材の選定、素材の組み合わせ、シートに付帯する様々なこと。
レースの現場からダイレクトに届く問題や要望は、一般的なライディングでは出てこない内容で、それらに応えるためには一般的なスペックの材料より、ワンランク上の素材が必要になってきます。
何が言いたいのかと言うとただの自慢なのですが、正社員3人の小さな会社が世界的大企業の看板を背負って走るワークスマシンのシートを10年も手伝っているのは、少数でありながらも世界に通用する技術と知識を備えている証かなと思っています。
単なるバイクの1部品であるシートですが、それを作る当社には大きな責任があるといつも思っています。
これは、ワークスマシンのシートではなく全てのシートに言えることで、この姿勢は今後も変わることはありません。
2022のダカールラリーはどうなるでしょうか。
楽しみです。

 

 

VEGAS to RENO 2021 JCR/HONDA

ベガスtoリノが開催されました。
HRC CRF450RALLYでダカールの覇者、昨年の本レースの優勝者リッキー・ブラベックが参戦。
先月作ったリッキー専用のウイングシートが装着されています。
右のシートは今年新たなチーム員となったキンタニラ選手のシートです。

ピットではノグチシートの工具巻きやスペアタイヤカバーが活躍してます。


そして、リッキーのピットはジョニーキャンベルレーシングのスタッフ。
バハ1000で何度も優勝を経験した熟練のスタッフたちが、それぞれの役割をテキパキとこなしていきます。

ここにもテーブルの上にノグチシートの工具巻きです。




連覇はなりませんでしたが、2022ダカールに向けてこれからの調整が勝負かと思います。

 

 

 

破れたシート CRF450RALLY

5月にメキシコのソノラ砂漠で開催されたソノララリー。
優勝はリッキーブラベック3位にコルネホとHRCの活躍が目立つレースでした。

最終日に現地からこんな写真が届きました。
犬にでも齧られたのか?という冗談はさておき、シートに欠陥があったのか気になるところでしたが、理由を聞いたら大きな問題ではなくホッとしました。
ついでに何枚か写真を撮ってもらい、今まで対策をしてきたところを検証させてもらいました。秘密の黒い布もちゃんと仕事をしてるようです。
どこの会社も同じかもしれないですが、問題が起きると過剰にそれに反応して、なぜそうなったのか、対策はどうするのか、二度と起きないようにするには・・・等々、書類や会議でうんざりすることがあります。
勿論今回の破れに関しても、ライダーが「破れないように対策をしてくれ」と言えば対策をします。しかし、そうでない場合は無闇に仕様は変えません。
破れた理由もわかっているからです。別の対策をすることで本来の性能が損なわれては意味がないのです。
なんてことを考えていたら
ワハハ ってな感じでこんな写真が届きました。破れた理由も書いてあるし。
優勝ライダーの余裕か、チームの余裕か、いずれにしてもこういうノリは好きです。
それなら周りにいる、そうそうたる面々のサイン書いてくださいとお願い。
3位のコルネホ ジョニーキャンベル 引退して戻ったかと思ったら5位に入ったケンドル メカのエリックやゲージ そして謎の人。
この車両は一旦日本に戻すから、シートはこのまま付けて戻すねと。
日本に届き、シートを見た担当から連絡があり、シート送りますと言うことで先日届きました。


一言添えてあるのがうれしいですね。
超一流のチームの面々がこういうことをしてくれるとやる気も出ます。
そして、届いたシートは分解。
破れたところのウレタンは別として、やはり実戦とテストで酷使されたシートの中身はとても気になります。一般のユーザーが使うレベルの数倍のストレスがシートにかかっているので細かく確認です。
接着部、ウレタンのへたり、衝撃吸収材T-NETのへたり、全体の形状、シートエッジの状態などなど見るところはたくさんあります。
自分で書いてしまうと嘘っぽくなってしまいますが、どこも問題は確認されることはなく、接着剤、ウレタン、工法どれも現状のままで問題なく安心したところです。
問題が無いと一言で書いてしまうと簡単なのですが、ウレタンとウレタンを接着することは簡単なのですが、接着方法と素材の性質が悪いと、接着面はそのままに。その横から破断していきます。なので、ウレタンの接着はなかなか難しく、今までさんざん失敗も重ねてきた結果なので、こういう結果を基に安心して作業ができるので無駄なストレスもありません。

極限のレースにシートを提供するメリットとして、耐久性と乗り心地性能の実験結果が得られると言うことです。さらに、トップライダーのリクエストに対する加工技術の向上や、一般ではリクエストされない乗り心地のリクエストに対する答えの用意などによって、一般のライダーの要望に広い範囲で応えられるようになることが挙げられます。必然的に製品は良いものとなっていきます。

今回の破れたシートは良く目立つところに飾っておこう。

 

 

2023ダカールラリーに向けて準備開始 CRF450RALLY HONDA

まだ世界中はコロナ禍において様々な制限があり、思うような移動やイベントができない状況です。
しかし、そんな中でもHRCダカールチームは2023ダカールラリーに向け始動しました。
写真は2020優勝のリッキー・ブラベックのウイングシートと、今年からHRC入りとなったパブロ・クインタニラのシートです。
リッキーは先月のソノララリーで優勝しましたし、アンダルシアラリーではジョアンが優勝と2023ダカールに向けた諸々のレースは、HRCにとって順調なスタートだと思います。
ダカールラリー3連覇目指して頑張って欲しいです。

HRCダカールチームへのシート供給はこれで10年目となります。
10年もの間、ホンダとライダーが当社のシートを要望してくれたことは感謝しかありませんが、同時に求められるシートを机上のデータではなく、きちんとした形や性能で応えられるか高い次元で常に応えてきたという自負もあります。
あっという間の10年のように思いますが、この10年で当社の材料の性能や技術が飛躍的に伸びました。
写真は2013ダカール。ホンダがワークスとしてダカールラリーに戻ってきた年です。
ベース車両はCRF450Xでラリー仕様にしたものでした。
シートにはノグチシートのロゴも入っております。
2012からジョニーキャンベルレーシングのシートのサポートをはじめて、今までになかったシートへの要望がアメリカからたくさん届くようになりました。
その為に材料方見直しを図る必要に迫られました。
シートの大部分を構成するウレタンは、バイクシート用に金型から製作をしてオリジナルウレタンを作りました。
当初は様々な密度・硬さを試行錯誤し、現在のオリジナルウレタンにたどり着きました。
衝撃吸収材T-NETも同じく、挿入する位置や厚みなど様々な試作を経て今に来ています。
2014に登場した新型CRF450RALLYです。
シートのロゴが誇らしいです。
2015からはxxxな事情でこのロゴ位置にはHONDAと入るようになりました。
まぁそのおかげと言っていいのかわかりませんが、苦肉の策でウエルダータグを思いつき製作。

シート後部に付けたこれです。
ウエルダータグもこのように種類が選べるようになりました。
サポートをすることで付加価値の高いものになっていくのではなく、付加価値が高くなる創意工夫なんだと思っています。
勿論、ホンダブランドは巨大で価値の高いものとして世界中に知れ渡っていますが、社員10人に満たない小さな会社が、そのホンダのシートを作っているわけです。これが結構大変です。
大変だからすごいわけではないのですが、会社というものは利益の追求が伴わないと先に進みません。サポートをすることで結果的にブランド力を上げ、商売と上手に合わせて進む資金力もつけてきました。資金が尽きればすべて終わりなのです。
また、この10年で3回サハラ砂漠のラリーに自ら参加してシートの開発をしてきました。ワークスライダーとはスピードも何もかも及びませんが、ラリーという同じ環境で走る事で、ライダーの言葉で表せない要望が汲み取れたらという思いからです。
なんか偉そうなことを言ってますけど、基本は自分自身がラリーが大好きというのもあります。
いつかはパリダカ!と中学生の時から言ってました。
パリダカには出れてないけれど、3回もサハラを走れたことに割と満足しています。
HRCのテストに参加して、道具と材料を持ち込んで砂漠でシートも作りました。

この時、トップライダーの信じられないスピードを目の当たりにして、シートに対する考え方を少し修正した覚えがあります。

こうして培ってきた技術が多くのノグチシートのファンを増やせたのだと思います。
先日お客様からこんなメールをいただきました
・・・始めは、この固さで衝撃は・・・?と思いましたが
いつも、ガツンとくる衝撃を食らう道路でもかなりソフトになりました。
シート高さもちょうど良くスエードも滑らず、ガシッとして大変良い感じでした
・・・・
今皆様にお届けしているシートがまさにこれです。
「硬いのにソフト」
言葉では伝わらない、体感しないとわからないこの感じなのです。

オリジナルウレタンと衝撃吸収材T-NETの組み合わせ、ダカールスペックのシートが一般ライダーの日々の使用に十分効果を発揮できるものであり、ワークスシートが特別なものではなく、ノグチシートが製作するシート全てがワークスと同等の製品であると認識いただければと思います。
製作する私たちも自分で作ったシートでツーリングを楽しんでいます。
長距離が苦痛でなくなり、あちこち寄り道がしたくなり、もっと走って居たくなるシートを目指して研究開発を重ねていきたいと思います。