シートレポート  WR250

先日北海道で行われた日高2デイズエンデューロ(HTDE)へマーシャルとして参加された方からのシートレポートです。茨城から自走だったようで詳細なレポートをいただくことができました。

ちなみにシートの仕様は衝撃吸収材T-NET挿入、シートエンド+10UP,中央前部(一番低い所)で+20UP。カバーはB-33の滑り止めとブルーのビニールレザーです。
それでは以下、原文のまま掲載します。

————————————-以下、レポートです。

当初こちらのオーダーは1000キロを一日で走るとしてなるべく体にローインパクトなものというもので、シートも思い切り厚くしてもらってとにかくゴーカなラグジュアリー仕様を・・・というこちらのイメージ。

だから今までのシートを付けたまま日高で走って、あらかじめ送っておいたラグジュアリーシートに付け替えて戻ってこようと思っていたんだ。

だが、出来てきたシートは日高で走るのも考慮に入れて作ったと言う。そりゃあ長距離もコンペ?も全部ひとつのシートですめば良いに決まっている。自走派(いや、積極的自走派ではないんだけど仕方なく自走派)としては荷物は出来るだけ少ないほうがやっぱりいいもん。

ノーマルシートよりセンターでたった20ミリしかアップしていないシートも、今までのアンコ抜きシートからすればトータルで50ミリくらいのアップになるんだろうか?さすがに足付き性は悪くなる。後々泥がついて重くなったブーツを履いてシートをまたぐのは辛かったが、足さえつかなければシートは高ければ高いほど楽なのは軽くシート高1Mオーバーのダカールで使ったXR400で経験済みなんだよね。

行きは大洗から苫小牧までフェリーで行くので、日高までの移動距離は120キロちょっと。ハナクソみたいな距離だ。だが、実際走ってみるとここではシートのメリットはなかなか感じることは出来なかったんだ。

やっぱ一時間以上乗るとケツが痛いような気がする。というかケツの痛みってじっと乗っているツーリングユースの場合、血が止まると言うか血流が悪くなって痛くなるんじゃないかな? 何となく釈然としないまま「痛い」とも「痛くない!効果がある!」とも言えないようなもやもやした感じで日高に着いてしまった。

そして日高の山々を走って一番初めにわかったのはやっぱり「ラリーにいいわ」ってこと。脳天にこないし、モウひとつサスペンションがある感じ。座ったままでどこまでも行けちゃいそう。お天気がよく、ハードな路面が少なかったこともあり、かなりラクだ。

これではシートの効果がわからない。だだ、座面の滑り止め(ただ、泥がついたり、すり減ってくると効果が少しずつ落ちてくるんだけど)が良いとウデが上がらなくてラクだということはわかった。ケツで止まっているので肩や腕の力を抜いて座ったままギャップやコーナーに突っ込める。

これはいい感じだ。ラフロードや林道などがかなり楽しい感じ。もちろんケツが痛いこともない。これはいつも振動しているラフロードなら血流が止まるってこともないだろう・・・という考えとも合致してるよね。

不調になった自分の単車の代わりに一日ノーマルのシートのWRでも走ってみた。それでわかったことはスペシャルとノーマルの差は短期的、ラフロード的にはそれほどないということ。

もちろんスペシャルのシートのほうが良いのは間違いない。ただ、その差は「劇的な差を期待している」身にとって見ればそれほどでもないということなんだ。

考えて見ればあたりまえだ。オートバイメーカーが制約があるとはいえ真摯に作り、量産したノーマルシート。それよりすべてに置いて劇的に上回る良いシートはいくらお金を出しても作れないんじゃないか?

つまりシートのオーダーの方法としては万人に平均点以上貰えるであろうノーマルシートに対して、自分の使い方に特化した仕様をリクエストする。そのために他の部分で犠牲になるものはある程度ガマンする・・・そういうスタンスが上手なカスタムシートオーダーなのではないか?

何かを捨てて何かを得る。自分のライディングに対して明確な意図を持った時に、最も上手にそして効果的に、自分にぴったりのオーダーできるんじゃないかな?そう思ったんだよね。

で、帰りは400キロ乗ってフェリーに乗り、青森で降りてから640~650キロほどのリエゾンだったんだけど、走ってる最中に思ったね。「ケツイテエじゃねえかっ!」

でも、時間があるのでさらに色々考えた。思えばダカールだって600キロオーバーの舗装路リエゾンなんてなかった。そういえばリエゾン辛かったなあ・・・単車を降りて休んでもケツが記憶していて、また乗ったらすぐに痛くなる・・・移動がイヤになってたっけ・・・

もちろんケツは痛いんだけど、今回は休んだらある程度ケツはダマされてくれる。ほぼリセットされると言っていいくらいだ。若干大げさに言えば、少し単車を降りて休憩すればまた初めて乗るみたいに走り出せる・・・何よりも風呂に入ってもお湯がしみて痛くなったりしないし、次の日は全くフツーに生活できる。

何十年も前の、しかも破けてカステラもなくなり、プラスチックのベースが出てるようなXRに乗っていた俺が言っても全く信憑性はないかもしれないが、進化してるぞ!!進化してるんだ!

もちろんノーマルシートも進化している。でも野口シートも進化している。その差はわずかかもしれないけど、ケツの痛みを何日も引きずりたくない人にすれば朗報だし、自分にぴったりの形状オーダーもちゃんと単車シートに対するイメージを持っている人にすれば自分専用のシートをより良くするヒントになるだろう。

とにかく乗っているときより降りてから違いがわかった。次は乗っている最中からその違いが際立ち、降りてからさらに驚くようなシートを作ってください。お願いします!!

-----------------おしまい

レポートありがとうございました。
シートの感想は人それぞれであり、こうしたレポートをいただくことで、様々な課題が頭に浮かんできます。全てを直ぐに解決できるものではありませんが、課題を1つずつクリアすることで進化し続けられると思います。