面ファスナー

材料のお話
面ファスナーと言ってもピンと来ない人もいるかと思いますが、マジックテープなら聞いたことがあると思います。
マジックテープはクラレの登録商標です。
ベルクロってのも聞いたことがあると思いますが、これはベルクロ社の登録商標。(だったと思う)
YKKならクイックロンだし、マジクロスと言うのもあったりします。
当社の仕事では様々な場所でこの面ファスナーを使用します。
袋の閉じはもちろんですが、カバーの固定や、椅子の固定など用途は無限にあります。
また、無限ではありませんが、用途によって様々な種類の面ファスナーがあるので、用途に応じた面ファスナーの選定も大事なことです。
基本的に面ファスナーはA面(フック)とB面(パイル)の2種類からなっています。

上から柔らかいタイプ(服などに使う)から、下に行くにつれて硬く接合強度も上がっていきます。
柔らかいだけではなく、制音タイプと言う物もあり、あのバリバリーという音を小さくしたものもあります。
接合強度の高い物はマッシュルームタイプとか、モールドタイプと呼ばれます。
写真にあるノーマルタイプと言う物が広く一般的に使用されているものです。
手芸屋さんで手にはいる物はこれが多いですね。

マッシュルームは横から見るとA面となるほうがマッシュルームの形をしていて、B面のループ上になった生地に引っかかります。B面の選定を誤ると剥がれなくなる恐れがあるほど強力です。
取り付け方法が見つからない店舗の壁に、背もたれを取り付けるときなどに使用したりします。

これはモールド品。なんとなく強そうなフックが見えませんか?

これは伸縮する面ファスナー。テンションをかけたい場所にゴムバンドを使用することがありますが、これを使えばゴムバンドの面ファスナーを縫製しなくても、これ一つで事足ります。

これはデイバッグやウエストバッグなどによく使われているPPテープに面ファスナーが一体となったもの。

これはA面とB面が裏表にある物です。結束バンドなどで見た人もいるのではないでしょうか。
1本で事足りるので、カバーの固定などによく使用します。

これは面ファスナーと呼んでいいのか分かりませんが、マッシュルーム面同士を合わせることで金属リベットのような強度を生む物です。ボードの裏に貼り付けて、プラハンマーで叩きながら付けます。一旦付いたら二度とはがれないですね。こういった接合強度の高い面ファスナーを使用する場合は、それの固定方法に気を使わなければなりません。強度にあわせた縫製や固定方法ですね。

少し分かりづらい写真ですが、これはセラミック繊維でできたカバーです。宇宙に飛んでいく際のロケットエンジンの高温から部品を守るためのカバーです。使用しているのは、セラミックの繊維と同程度の耐熱面ファスナーです。何でできているのかわかりませんでしたが、全て金属だったことと、ものすごく高額だった事は覚えています。
色も白と黒だけではなく様々なカラーがありますし、幅も16-20-25-38-50-100・・・とあります。
まだまだ、面ファスナーについてはこれでもごく一部しか紹介できてません。
いろんな材料を沢山知っていると作る幅も広がりますね。料理人と一緒で、後はその素材を生かすことができるかどうかです。
「これしか方法がない」と言う先入観や固定観念をなるべく持たずに「これしか方法がないの?」と決める前に一回でも考えて、新しい技術や発想で皆さんに喜ばれる会社になればと思っています。