BRIDEフルバケ T-NETでクッション製作

WR250のシート改造でお世話になったお客様から「フルバケットシートの座面を何とかして欲しい」と依頼を受けました。

ノーマルのウレタンは厚み30mm。高級な家具に使われている密度の高いウレタンです。

密度が高く、ヘタリにくいウレタンではありますが、こうして指で押さえると簡単に底付(お尻が硬いシートベースに当たっている状態)をしてしまう硬度です。底付をしないように硬いウレタンにしてしまうと、今度は板の上に座っている感覚となり、ノーマルの柔らかいウレタンで底付きをしている状態と変わりがなくなってしまいます。

座り心地に関しては好みがあり、ノーマルでも十分だという方も多く見られます。しかし、今回のお客様にはこのクッション性能は合っていないようでした。なので、ノーマルのウレタンはそのままで、新たにクッションを新作しました。

黄色く見えているのがT-NETです。このT-NETが底の部分に来ます。10mmのT-NETと、高弾性のウレタン20mmの構成です。厚みは同じなのでアイポイントも変わらず、もちろん全てのポジション変更もしなくて良いです。断面で見てみましょう。

シートに入れたものと同じ厚みと構成です。同じように指で押さえると、20mmのウレタンはノーマルウレタンと同じように沈みますが、弾力あるウレタンの沈み込みでお尻全体を支え、T-NETが底付きする部分の圧力を全体に逃がします。

なので、この厚みでも分厚いクッションのような浮遊感を得ることが出来ます。オートバイの場合でも、理屈は同じです。(少し大げさな表現ですがお許しを)

ちなみに、ダカールでクラス優勝をしたランドクルーザーも、ほぼ同じ仕様です。(ほぼ、と言うのは選手それぞれの厚みの好みなどに合わせて一つずつ仕様を変えているからです)

完成したクッションをロードスターにセットされた座席に取り付けました。座った途端に違いが分かると、お客様に喜んでいただけました。

野口装美ではフルバケットに限らず、車のクッションの新作から張替、フィッティングの相談など承ります。