BMW R100GS/ParisDakar シート張替え

前にも書いたように購入時に付いていたSiebenrock製のシングルシートは十分な性能で、500kmの一気乗りでもお尻は平気でした。ほぼ新品に近い状態であったこと、ウレタンの密度が高く沈み込みが少なかったこと、さらにカバーが二重になっていたことで温度上昇による沈み込みが抑制されていたこと、シートの幅や高さ角度が私の身体にぴったりだったことがその理由だと思います。
そうは言ってもストックのままではシート屋として意味がないので、さらにハイスペックにノグチシートとしての加工をしていこうと思います。
先ずはストックの状態の寸法取り。
これがしっかりとれていないと思った形状が出せなくなります。
高さなどの微調整がしたかったので、削る量、盛る量を計算します。
適当に削って衝撃吸収材T-NETやオリジナルウレタンを積層すると、変な厚みムラが出て乗り心地に影響が出てしまうんです。
真ん中下の写真が削り終わって、これからウレタンを積層、成形を繰り返していく最初の段階。衝撃吸収材T-NETの貼り付けです。少し盛っては成形。この繰り返しです。
写真右の2枚はタンクとシート先端の隙間埋め。これも見た目に重要なのでしっかりやります。
左上の写真を見てわかるようにウレタンは1枚です。接着して繋ぐことはありません。それは積層するすべての素材に言えます。接着するとその部分は弱くなり、硬くもなり、違和感になります。
ウレタンを積層して成形し終わったら防水加工です。
1.5mmのEVAシートを全面に接着します。
自分で言うのもなんですが、この形状を1枚で包むのは結構技術がいります。
この工程があることで、シートの寿命は確実に伸びます。
10年前に加工したシートの張替え依頼などがたまに来ますが、この加工がしてあることでウレタンに水の侵入はなく、また弾力も大きく劣化せずに維持されているのを何個も確認してきました。

余談ですけど、こんな大掛かりな作業をしなくても衝撃吸収材T-NETで座布団作ってシートに乗せればいいんじゃないですか?もしくはそんな商品があったらいいなと言われることもありますが、バイク用座布団は作りません。
だってあれってただただかっこ悪いと思うんです。
車や椅子や床に敷く座布団は、ある意味日本の文化みたいなものなので作りますけどね。
カバーのデザインも決まり、型取りをして裁断をしたらロゴ入れです。
座面にはフロントカウルに描いてあるGSと同じロゴを刺しゅう。
サイドはウエルダータグを溶着です。
これが終われまあとは縫製して張り込み完成です。

良い感じです。すごくかっこいいと自分で何度もバイクを前にして独り言。
タンクからシートへの流れも自然です。座面は10mm上げて前部を少しシェイプしました。これで185/76の体格の私が両足かかとが少し浮く感じです。片足ならかかとで踏ん張れます。

仕様
シートウレタンは衝撃吸収材T-NETを使ったダカールスペックとなっております。
カバーはウルトラスエード(アルカンターラ)黒+ビニールレザーB-61です。
ちなみにタンクとの隙間はこうなりました。
上がストックの状態で下が加工後。説明は要りませんね。
タンクとの当たり面は隙間だけではなく、右と左の出方が違ってタンクからはみ出していたので、ヒートガンでシートベースを温めて内側に修正。
しかし、このシートのシートベースが少し弱く、またフレームに乗っている部分が微妙なので、乗車するとシートが反ってしまいます。乗っているときにシートの先端を見るとパカパカ動いてるんです。
なので、もう少し剛性を持たせる加工を後ほどやろうと思います。
ついでにこんなバーパットカバーを製作。
最近のダカールのシンボルマークではなく、この時代のパリダカのシンボルを刺しゅう。
完成したら走りに行きます。

座った瞬間の感触はジーベンロックのシングルシートよりは少し硬い感じ。
長距離はまだですが、多分これならいつも通りの超長距離でも行けると思います。
ウルトラスエード(アルカンターラ)の感触もいつも通り。シート形状のおかげでホールド感が一段と良くなってます。
やはりこのバイクはダートが合いますね。
思った以上にコントロールしやすく、ますます好きになってきました。
シートを少し高くしたことと、前オーナーが交換したステップのおかげで、シッティングからスタンディングへの移動も楽です。やはりダートを走る場合、この動作が素早くできるかは需要。
いたるところで一気に咲きました。

シートを張り替えたときに来るいつもの撮影場所。
ウルトラスエード(アルカンターラ)の起毛によって、見る角度でグレーだったり黒だったりします。黒のウルトラスエードに黒糸の刺しゅうをしてもこれだけ目立ちます。

もう一つ、ダブルシートもあるので今度はそれの改造もしようと思います。

 

 

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