座圧分布表 その2

前回の続きです
それぞれ3分間座ってデータが取れました。
規則としてデータをそのままデジタルデータとして貰うことができません。
改ざんしたりするのを防ぐためだそうです。
なので紙に印刷した物を後日郵送すると言うことでした。
グラフには圧力範囲の他に平均圧力変化や圧力値範囲ごとの接触面積などがあります。
さて、圧力の平均値などはそのまま数字に出るのですが、体圧分布図は平均値の図が出ません。
と言うことで肝心の体圧分布図は

「録画した3分のどこかで出力する図を選んでください」とのことでした。

と言うことはですね「仮に3分のどこかで少しお尻を浮かせた時の図を選んでもいいってことですか」
・・・
なるほど・・・・
今まで商品に添付されているのは体圧分布図のみがほとんどでした。それ以外のデータはあまり目にしていません。
別に世の中の商品に添付されている体圧分布図が全て都合のいい図を抜き出したとは言えませんが、コマーシャルとして都合のよい図を出力してもらうことは可能と言うことです。
なるほどね(1年以上前の話なので、現在は出力の仕方が変わっているかもしれません。あくまでも2009年時点での話です。)
比較写真のように体圧が多くかかっている赤色の部分がほとんどなくなり、体圧がかかっていない青い部分がほとんど占めている図なんて体重の違う別人でしかあり得ないと思うんです。
なので、今度は条件を変えての実験をしたいと思っています。
1cmのクッションと同素材の10cmのクッション。
GEL素材とウレタン。ウオーターベッドのようなものと綿の布団などです。
それらのデータと、体感とをまとめると面白いかなと思います。
やはり科学的データに基づくとはいえ人間の感覚はそれぞれであり、一般的には良いとされるデータも人によっては悪い印象となったり、ダメとされている物がよかったりします。
データに裏付けされた材料を使用しても、使用する場所、人によってその効果も変わりますね。
データがいらないと言うことではないですが、先ずは自分がよいと思った物をちゃんと作る事ですね。
最後に、あまり面白くありませんが一応報告です。
バカ正直な3種類の座布団のデータです。
この時の図は、なるべく平均に近い物を選んで出力してもらいました。
なので、コマーシャルにならない図になっています。
ほんとは一番上のデータと一番下のデータを並べて
「こんなに違うから気持ちいい!!」と言いたかったんですが・・
先ずは表の見方

それでは結果です。
一般的な家具に使用されるウレタンで作った座布団

低反発ウレタンだけで作った座布団
感触は違うけれど、一般的な家具用ウレタンと座圧分布は変わりません。

低反発ウレタンと衝撃吸収材T-NETで作った座布団
データ上はどれもそんなに違いはありません。
若干ですが、当社オリジナル座布団は赤い部分が少なく座圧が分散されている図になっています。
このわずかな差が座り心地を格段に向上させていたとしても、言葉や図だけでは伝わりにくいですね。
結局は使ってみないとわからないのです。

世の中に出回っている、このような比較写真を出せるようなクッションを当社も早く開発したいと思います。

 

 

座圧分布表  その1

こんな図を見たことはないでしょうか?

特殊な座布団やベッド、椅子などの座り心地の一つの基準として体圧分布表による比較図が商品に添付されているのをよく見かけます。
この図で言えば、赤い部分(圧力が多くかかっている部分)がほとんどなくなり青い部分(圧力が少ない)が大半を占めている図が売りたい商品に座っているときのデータとなります。
これだけ体圧がお尻にかかっていないという視覚で訴えるにはとても分かりやすい図です。
これだけお尻に負担がかからないなら楽だろうと、使う前から期待が上がります。プラシーボ効果も望めます。
しかし、実際に購入して試したけれど、商品広告に記載の体圧分布表のような効果を私が体感できないので、ずっとこの表には疑問を持っていました。
はたしてこんな具合に1点に集中していた体圧を分散させるには、どういう方法を取ればいいのか前々から気になっていました。
探していたらわりと近くにその試験場があったので、早速比較試験の予約を取り高山まで出かけました。
生活技術研究所
同じ形状で材料の違う布団を3種類製作し持ち込みました。

これがセンサーです。たくさんの圧力センサーがこの布についています。

試験する部屋の中です。

自分で座ってデータを取ってもらいました。木のスツールにクッションを敷き、その上にセンサーを置いて座ります。

座ると試験官の前にあるモニターに座圧分布表が現れ、決められた時間(今回は3分)データを録画します。
試験前にグラフの基準値や時間など細かな設定をします。座る人や使う内容によってデータを分かりやすくするためですね。
今回は赤座布団(一般的な椅子に使用されているウレタン)青座布団(低反発ウレタンのみ)黒座布団(低反発ウレタンと衝撃吸収材T-NETの組み合わせ)の3種類を試験。黒い座布団は当社のWEBでも販売している座布団で、長時間座っていれば、赤座布団や青座布団より違和感が少ない事が体感できます。長時間でなくても座ってすぐにその感触の違いもわかります。それらの違いがどうんな数字やグラフになるのか楽しみでした。

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社長椅子?

社長と言っても1社員に変わりはなく、毎日机に向かって仕事をしています。
オフィスで使う椅子と言えばこんな椅子が理想かなと思う人もいるでしょう。
私も欲しいです。

座り心地もいいし、蒸れないし、体に合うように各部の調整ができます。
しかし、同じ机に向かう仕事でも、ひたすらパソコンに打ち込む作業や、書く作業、描く作業、ちょっとした工作作業など色々あると思います。
私の場合全部ですね。
全ての作業に合う椅子と言うのないと思っています。
やはり行動に合わせた椅子と言うもは必要ですね。
仕事椅子でもその形状は細分化されますし、リラックス椅子でも同じことが言えると思います。
そんなうんちくを垂れつつ、以前はこんな椅子を使っていました。

スポーツカーのシートを使い、フレームを製作してキャスターを付けました。高さや角度、肘の高さに至るまで自分に合わせて、疲れた時はリクライニングして寝ることもできました。
体に合っていると余分な力が入らず、お尻もムズムズせずとても快適なのですが、快適すぎて眠くなる事が多いんですね。肘があるとついついひじに寄りかかり姿勢も悪くなってしまう。
猫背とよく言われることが多かったのもあり、姿勢を椅子に強制される椅子に変えようと今はこれを使っています。

バランスボールです。
先ず眠くなりません。1年半ほど使っていますが、眠くなることはまずないですね。
電話しながら運動もできます。高さも空気である程度調整できるので机の高さも気になりません。
しかし、問題がひとつ。このままの状態で使用するとお尻が30分ほどで蒸れてきます。
蒸れと言うのは結構不快度が高いので対策を施しました。

ストレッチ素材の生地で包みました。風船なので一旦空気を抜き、縫製品に開けた小さな穴からボールを入れて膨らますとカバーにぴったりフィットします。
生地のみでも蒸れが気になるので、薄い蒸れ防止座布団も仕込んであります。
もっとカラフルにすることも考えたけど、イメージがこれなので黒にしました。

分かりますか?座禅の時に使う「お座部」です。
そうです、座禅を組む時のようにいつも平静で仕事ができるようにと言う意味です。
そうなればいいかなと言う程度ですけどね。
椅子の張りをしていると、こうした物を思いついて直ぐに作れるって言うのがいいですね。
こんなカバーが欲しい。なんて仕事も受付中です。

テレビの取材

どこまで書いていいのか分からないのでたぶんいいだろうと思う範囲で報告します。
地元ケーブルテレビCCNの取材を受けることになりました。
当社の紹介番組となります。
ただ単に当社のコマーシャルと言うわけではなく、取材いただくにあたってその理由はちゃんとあります。
内容はだいたい察しがつくと思いますし、詳しい内容は放送前にまた告知します。
撮影日も決まり取材内容も決まっていたのですが、ここは更に画面に華をと言うことでこの車を借りました。

ジャーン
市販車部門5連覇のチームランドクルーザー
本物です。
今回の取材の話をしたら、快く車両を貸し出してもらえました。
ついでと言っては何ですが、ナビの三浦さんにも出演してもらいました。
普段、カメラを向けられるこなんてないので喋りも顔もカッチカチでしたが楽しく撮影をする事が出来ました。
しかし、自分は恥ずかしくて放送見れないと思います・・・
さて、撮影中ずっと気になっていたので我慢できずに撮らせてもらった写真。
レポーターの深尾さんのピアス。

ファスナーのアジャスターです。
会社では見慣れた物だけに不思議な感じでした。
それがピアスになってるなんて初めて見ましたって言うと「勝負ピアスです!!!」っていうコメントが面白かったです。
ではスタッフのみなさん、編集しづらいでしょうがどうか男前にお願いします。

エッグチェア 張り込み 実演

エッグチェアの張り込み実演があるとWEBで知り見てきました。
フリッツハンセン社から職人が来て実際の張り込みをしているところが見られると言うことで、椅子張り屋としてはどうしても押さえておきたいイベントでした。
会場となったショップには結構人が集まってきていたが、遠巻きに準備作業を眺めるだけで最前列の観覧席が開いていたので普段は遠慮がちな私ですが、今回ばかりは遠慮なくその席を取らせていただいた。写真も撮ってよいと言うことだったのでこちらも遠慮なく撮らせてもらうことにしました。
会場内に実際には会ったことがないが、ブログで顔を覚えていた人を発見。数年前からこの人のブログを読ませていただいていて、今回のこのイベントもこの方のブログで知ったわけなんです。ブログの名前も「椅子が好き」
声を掛けさせてもらって、初対面ながらいろいろお話をさせていただき楽しかったです。
遅れてきたうちの職人もこの方のブログのファンで、同じく初対面ながらいろいろと情報交換ができたみたい。
会場には張り込み途中のエッグが2つ置いてありました。

製作途中のファブリックのエッグチェアです。裏側の布がたくさんの針で仮止めしてあります。

今回はこちらの革張りでの実演。思ったほど仮止めの針がないですね。

この写真を見てエッグの2人掛けなんてあるんだと初めて知りました。一応調べてみるとSASホテルのラウンジのためだけに作られたものだけど、近年特別版として製作されたが生産数も極少数で60000ドルの値がついたとか・・・。
ここに書いてありました。
実演前にエッグやフリッツハンセンについていろんな説明がありました。
いくつかあった話の中で面白かったのが、フリッツハンセンの売り上げの50%強が自国デンマークであること。地元だから安いと言うわけでもなく価格は日本と変わらず。なのにそれだけ消費されていると言うことは、良い物を長く使うと言う昔からよく聞く北欧の伝統が未だに続いていることがわかる。
そして説明を聞き進むうち、このビデオを見て不思議に思っていたことがわかった。

ビデオが始まって水に濡らした革を張り込むシーンがあるが、これは背の部分であって最後に手縫いで合わせる革。
なのに大きなシェルに張り込みをするって何なんだろうと思っていた。
説明によると、これは背裏の革の型取りと言うか型付けですね。濡れた状態で背裏と同じ型に張って、一晩乾燥させる。乾燥した革はそのシェルの形を維持しシェルから外してもRなどがちゃんと付いた状態となっている。
だから、今目の前に置いてある実演用の革のエッグは仮止めも少ないんだ。
ってことは、仮に本革でこの椅子の張替を委託されても、背裏の型を付けるシェルがないとできないと言うか、力技でやったとしてもちゃんとした物にはならない可能性は高いですね。
そんな時はファブリックで張り替えれば型要らずなので、そうするしかないと思いますしその機会があればそう提案すると思います。

仮止めはこん感じ。ピンで開いた穴は後からヒートガンなどで収縮させてふさぐと言っていたけど、展示してあったスワンのカウチの革張りを見たら、穴はしっかり残っていました。だから、仮止めは最小限にしたいわけですね。
一脚作るのに約1000回針を通すと言うことだけど、職人は約4時間で仕上げるとのことでした。
4時間っていうけど、この大きさでその時間て言うのはよほど手際がよくないと厳しいですね。
いろいろ話を聞いたところでいよいよ実演開始。



真ん前でやってくれているのだけど、見えるの彼の尻!常に尻!よく見えないです!
完全に観客に背を向けての作業です。
手際がいいのはよくわかる。すごく速い。それはわかるんだけど、どう縫っているのかを見たいんです。
彼は黙々と縫って行きます。
かぶりつきで観ているのもかかわらずよくわかりません・・・・
「では、体験してみたい人」と言うありがたい声がかかり、うちの職人が早速手を挙げて縫わせてもらった。
もちろん初めての経験である。


ここでようやくその縫い進み方がわかりました。
そうか、パイピングを表と裏の革で挟み込むってことですね。
が、実演する彼は左利き、当然縫い進み方は左から右。うちの職人は右利き・・逆です。
難しくはないが、革の硬さやその引っ張り加減など理屈は分かっているけどなかなか手ごわい・・・と言った感じな作業。
今回の職人が言っていた「才能があるやつは数カ月でこの技術をマスターするが、才能がないやつはいくらやってもダメ」まぁその意見には賛否両論あると思うが、自分の仕事に誇りを持って絶対的な自信で一つずつ作りあげて行く職人魂は購入する側にとっても安心ではありますね。
椅子張り屋としてはすごく楽しいイベントでした。
工場見学とかもしてみたいです。
キタニもこうしたイベントを開催してくれないですかね。日本の職人が縫っているところも見てみたいです。
いや、うちがそんなことをする会社になればいいんだ!と、とりあえず言ってみて自分にハッパかけてみる・・。
とにかく、もっと勉強しなくちゃだめですね。
と言うわけで、こんな感じのレポートでよかったですか?