バイクシートの材料価格改定のお知らせ

ノグチシートではバイクシート改造に必要な材料も一般販売しております。
DIYでシート製作をされるお客様から、業者の方までたくさんの方からご注文をいただくようになりました。
ノグチシートのウレタンはバイク専用に製作しているオリジナルウレタンです。
へたりも少なく、硬めの設定となっています。
他で購入することは不可能です。
おかげさまでそのウレタン性能から、某メーカーの試作部門でも当社のウレタンで量産車の試作をしていただいております。

衝撃吸収材T-NETも当社でしか購入ができません。
オリジナルウレタンとの組み合わせで、ダカールスペックのシートは製作可能です。

材料販売に関してはなるべく価格を据え置きたいと考えておりましたが、ここ最近の材料価格の高騰には驚くばかりで、いよいよ当社の材料も価格の改定をしなければならなくなりました。

こちらが新価格になります。2022/12/12より適用となります。
また、代引き送料ですが、購入される材料が多くなった場合価格に変更が出ます。
接着剤は使い方にもよりますが、10mmウレタン+衝撃吸収材T-NET500x500+EVAシートを購入されてバイクシートを製作する場合、0.5リットルで足りる計算です。
ウレタン専用の一般販売されていない接着剤で扱いやすいです。

カバー地のビニールレザーも販売しております。こちらも併せてご利用ください。

材料の注文は注文フォームからも可能ですが、質問をメールでいただいてもかまいません。

値上げのお知らせは心苦しいですが、何卒ご理解宜しくお願い申し上げます。

 

 

ビニールレザーの新色追加

バイクのビニールレザーについては先のブログで書きましたが、出来るだけ非発泡のビニールレザーを使用しています。
また、非発泡のビニールレザーでも裏側にラミネートされた基布と呼ばれる生地によってはバイクに向かないものもあります。
バイク用として販売されているビニールレザーは家具用に比べたらごくわずかで、なかなか入手しにくい物なのです。
かといって、独自にバイク専用の生地を作る方法もあるけれど、求められる製作量は膨大で、そんなに作るわけにもいかないので、当社では大量に生産されたバイク用レザーのデッドストックや大量生産前の色確認の試作品などを、独自ルートで仕入れています。

なので、新色でも入荷が数メートルだったり、多くても1反/20mという少ない量の仕入れなので、売り切れ次第終了となります。
今回仕入れたものは
品番 BR-01
今まで茶系のバイク用ビニールが無かったのですが、今回これが入荷しました。
ソリッドカラーではないですが、写真よりはもっと濃いまだらなこげ茶です。

品番 BK-01 黒ですが網目模様のようなエンボスで、光の当たり具合でダークグレーにも見えます。艶はありません。

品番 BK-02 シボが深めで細かいです。艶はありません。

品番 GR-01 ライトグレー 艶はありません。

品番RE-01 B-43や64と同じシボです。

たくさんあると選べないというのもありますが、そうは言っても選択肢は多いほうが選ぶ楽しさもあるし、提案する幅も広がるのでこれからも新しい生地を探していきます。
WEBで随時生地見本は更新していきます

 

 

 

張替え済みの中古のシート R100GSパリダカ

もう一つR100GSパリダカのシートを作ってみたくて中古を探していました。
中古と言っても、R100GSのシートは程度の割に中々なお値段がします。
特に慌てて探しているわけではなかったので、お値打ちなものが出てこないか見ていたらアンコ抜きされているけど、改造ベースとしては良さそうなものがあったので購入。
見た目には綺麗。
しかし、触って分かる???な部分多数。
このまま使うつもりは毛頭ないので分解します。
他社の仕事ってなかなか見る機会はないので細かく観察してみます。
私が他社の仕事を覗くように、ノグチシートも中身をバラバラにされて観察されているかもしれない。そう思うと、こうして観察することで得るものがあるかもしれないし、絶対これはやっちゃいけないよなぁというのもよくわかる。
さて先ずはカバーを外します。
いきなりびっくりした。
カバーを止めるタッカー針が8mm。
側面なんか打ち方が悪いと内股に刺さるし、座るところはウレタンの厚みがあるからお尻に刺さることはまずないだろうけど、シートベースを突き抜けた針でウレタンがボロボロになる要因でもある。
ちなみにノグチシートは6mmの針で加工しています。たった2mmの差と思われるかもしれませんが、詳しい説明は省きますが、これがものすごく大きな差なのです。

カバーの生地は発泡レザーで、いわゆる家具用。発泡層があるから柔らかくてソファやダイニング椅子にはちょうどいい。しかし、その分引裂きには弱くバイクには不向き。ノグチシートでは非発泡レザーを使用しています。一部発泡レザーを使う場合もありますが、この場合の発泡レザーは十分に耐久性のあるものを使用しています。

防水のビニール。まぁ一般的な方法ではあるけど、これだとカバーが動いちゃうんです。カチッとしない。ノグチシートではEVAのシートを全体に糊付けして防水しています。
タンデムシートにはアンコ盛りのつもりか、それとも柔らかい感じを出すためなのかフワフワのウレタンが貼り付けてありました。
見た目には高さも上がるし、座った瞬間にふわっとしてお尻に優しい感じがします。が、そう思うだけで効果はたぶんないです。プラシーボ効果的に「あっフワフワなソファみたいだ」という先入観から楽に感じるかもしれません。でも、長続きしないと思います。
ノグチシートではちょっとしたアンコ盛りでもオリジナルウレタンで成形しています。
最後にシートベースとウレタンを分離します。
このシートはもともとカバーがブラインドリベットで留めてあります。
古いカバーを外すにはブラインドリベットの頭をドリルでもんで、反対側の膨らんだ足を残さず取り除かないといけません。
思った通りウレタンにめり込んだリベットの足がポロポロと出てきました。

ノグチシートの問い合わせフォームには他社で加工済みかどうかという質問がございます。加工内容によってはここで書いたことよりももっとすごいことになってる場合があり、再加工ができないものもあるためにそういった質問をさせていただいております。

見えないところの仕事というものがいかに大事かという事を再度考える良い機会になりました。

さて、このシートがどう生まれ変わるか、また報告します。

ちなみにインスタでは日々作られているオーダーシートが掲載されています。
一度ご覧ください。

BMW R100RSとR100GS-ParisDakar シートなど

自分のバイクはシートの実験として使ってるのですが、乗り心地に関しては今のところ不満がないのと、サポートするワークスライダーからもクッション素材に関するオーダーもないので、衝撃吸収材T-NET+オリジナルウレタンのいわゆる「ダカールスペック」で良いと考えています。

もちろん、新素材には常にアンテナを敏感に張って、素材などの展示会などには足を運ぶようにしています。

自分のシートは多少問題があっても文句を言われるわけでもないし、それほど完璧主義者でもないので見て見ぬふりをする場合もあるのですが、そうは言っても素人目に見て問題があるようなところをほったらかしにするわけにはいきません。
今回は自分で作ったシート2個の気に入らないところを手直ししました。
先にも言ったようにウレタンは問題ないのですが、カバーのデザインが苦手です。一般的な冒険をしない定番のデザインというものはできるんです。
誰が見ても違和感を感じないもの。
でも、自分のシートを作る時は、普段お客様に提案しないことをして、正解なら今後お勧めするし、やっぱりだめならお客様の希望するカバーデザインに対して別の提案をすることができます。
今回は後者ですね。
やってみたけど、やっぱり気に入らないからという事で早速作業開始。
R100RS
座面にキルティングを入れて、その流れでサイドにも縫い目のアクセントを入れたらより一層重厚感が出ないかなと思ったけど、やはり邪魔なだけでした。

こっちのほうがいい。
座面にノーマル風な模様を入れてあるので、サイドはすっきりしたほうが座面の模様が生きてきます。
このシートの場合は座面をウルトラスエード、サイドをビニールレザーですが、こういう例もあります。
全体をウルトラスエードのみでカバーしたR100RSのシートです。
こっちも先のシートで違和感を覚えたサイドのつなぎが入っていますが、こっちは違和感をさほど感じません。同一素材なので多少切替がごちゃごちゃしていても、それが重厚感につながっているかなと思っています。

R100GSパリダカ
ここです。
一応狙ったものはあるのですが、詳しく書いても縫製を知らないとなんのこっちゃという内容になるので割愛。
とにかく、ここの角ばった部分がどうにもかっこ悪く見えてしまいやり直し。

やっぱりこっちがいい。
ステッチの幅が上と下と違うじゃないかという人もいると思いますが、これも試作みたいなものです。
このタンクの当たり面とか、良いねぇと自分で言いながら眺めています。
試したのもが気に入らなくて、それを手直しをしながらまた試す。良い物を作りたいので、結局自分のシートは常に試してばかりです。

今回座面に使用しているウルトラスエードは両方とも再利用しました。
高価な材料なので、お客様はその耐久性が心配になるところです。
なので、R100RSの座面は既に8,000kmほど使用していますが、まだ問題もないので、もうしばらく使ってお客様の耐久性の心配を実物を見て安心にかえてもらえればと思っています。
R100GSパリダカも同じく再利用です。お盆のツーリングでは雨に降られ、林道では泥に汚れたりしていますが、シートをガシガシ洗っても表面に毛羽立ち等は見られません。こちらも同じくしばらくこのまま使います。

ここからは余談です。
新しいプリント素材の耐久性も、かなり安心感をもって使用できるようになってきたので一度やってみたかった影文字をプリントしてみました。
遠くからは認識しにくいのは仕方がないとして、やってみたら案外いい感じだなと思ってます。

もう一つはシートとは関係ないけど、R100GSパリダカにタンクバッグを両サイドに付けたらどうかなと思い試作。
刺繍も入れてみた。
シートと同じで先ずはやってみようです。
絵を描いてそれで完成が想像できて、その通りに出来上がればいいのですが、大体その通りにならないので、凡人はやってみる。これしかありません。
片方付けて様子を見ようかなと思ったけど、バランスが悪いので反対側も製作。
こっちも刺繍・・むー-・・まぁいい。
タンクのトップにある小物入れはとても便利で、ここには常に使うものを入れて、両サイドのバッグにはそれ以外のものを入れます。
パニアケースまでつける必要がない近距離のツーリングはこれだけの収納があれば事足りる気がします。

シートもリニューアルしたし、小物入れもついたしでこれからのツーリングシーズンが楽しみです。

 

 

椅子を観て来た。

椅子が好きです。
好きなものが仕事になっているのが良いのかどうかわかりませんが、自分や自社のレベルでは到底できないものを見て刺激を受けるのが好きです。
そんな椅子を見てきました。
見て、それが刺激となって椅子作りが一歩進めればいいなと思います。
先ずは東京都美術館でフィンユール展
フィンユールだけではなく北欧の椅子が多く展示されていました、
デンマークの照明メーカー、ルイスポールセンのPH4も良いですね。
話はそれますが、ルイスポールセンの照明の中ではやはりアーティチョークが一番好きで、不謹慎かもしれませんが市営の葬儀場のロビーに3つあります。
そこに行くといつも天井を見上げててあの柔らかい光を眺めています。
照明の展示会があれば足を運んでみたいなと思っています。
この椅子たちは一部座っていいものがあり、ふだん先ず見ることも無いイスに座ることができてうれしかったです。
このチーフテンはじめ、フィンユールの代表作は全て座ることができました。
ウエグナーのザ・チェアーも座ることができて、これも感動。
ザ・チェアーという名前からして、椅子の中の椅子、キングオブ椅子かなと勝手に思っています。
何度見ても飽きないので会場内を何周でもできますが、もう一か所見たいところがあり次に移動。


武蔵野美術大学。さすがというか、大学が所蔵する椅子の一部を無料で見学出来るイベントが開催されていると知りやってきました。
こっちもすごい。見て触って座っていいよという。

もう気持ちが先走って、逆に集中できません。
名作椅子と言われる椅子がこれほどあるというのがすごいです。
さらに
少し照明を落とした特別感のあるこの部屋
倉俣史郎ミスブランチ・・見るのは3回目だけど、何度見ても素敵です。
さらに
倉俣作品がこれだけ。
同じ部屋には梅田正徳のGETSUEN

さすがにこれらの椅子には座れなかったけど倉俣史郎の椅子は他にも展示があり
これらには座ることができました。座り心地が良くないのは見てわかるとおりだけど、それはそれでいいんです。
この椅子
先日FACEBOOKにも書いたけど、TVCMで彼女の後ろに写っているソファが当社で張ったもので、ここに写っている椅子たちは名作椅子ばかりで
彼女が持っているのはスーパーレジェーラという軽量の木製椅子という話。
それも展示してあり、あらためてその軽さと木組みの凄さと座り心地を確認できたことが良かったです。
あー- 幸せな時間でした。

本物に囲まれた生活は人生を豊かにするだろうけど、椅子を何十脚も置けるスペースもないので、自分としてはそれらのミニチュアを15年くらい前からちまちまとオークションサイトなどで集めています。ヴィトラデザインミュージアムも近いうちに行くところではあるのですが、このミュージアムが作るミニチュア椅子は世界最高峰だと思っています。
今回自分の持っているミニチュアの現物を見ることができたし、座ることもできたので、このミニチュアを眺めるたびにその座り心地を思い出せる幸せが増えました。