ノンスリップレザー

ノンスリップレザーはオフロードバイクだけではなく、オンロードでもよく使用します。
シートの上でお尻が滑るとポジションが安定せず、乗車に余分な力が必要になり、疲労の原因にもなります。
また、コーナリング時や加減速時に体が動いてしまうのも嫌ですね。
だからと言ってまったく滑らない物にしてしまうと、滑らせたいときに滑らず、足を付くにも問題が出る場合もあります。
滑り止め効果の高い座面にすると、パンツと座面は滑らないせいで、パンツが座面に固定されたままお尻が動くので、パンツが股間に食い込んだりして不快になることもあります。
なので、走るシチュエーションや求める性能で滑り止めの強さを選ぶ必要があります。
当社が使用するビニールレザーレザーは、バイク用に開発された物、もしくはバイクのシートとして使用に耐える物のみを使用しております。
滑り止めレザーはカラーサンプル帳にも掲載しておりますが、新しい素材も入ってくるので滑り止めレザーを使いたい方はお問い合わせください。
紹介する上から滑り止め効果の高い順となっています。
B-13

表面が起毛したような風合いです。柔らかな毛のようなビニールがしっかりとパンツに食いつきます。マディや雨でも滑りません。あまりにもグリップ力が強いので一般的な使用には向いておりません。ジムカーナなどをやられている方もよく使われます。フルバケットシートの座面に細く縫い付けて滑り止めに使ったりもします。
B-30

起毛はしていないが、さわり心地がラバーライクで滑り止め効果が高いです。B-13は汚れが落ちにくい面もありますがこちらは汚れが落としやすいです。
B-33

B-30と同じような粘りのある滑り止め効果を持っています。表面は細かいダイヤ柄です。
B-12

サンドレザーと命名した当社オリジナルのレザーです。荒いサンドペーパーのような表面なのでパンツによく食いつきます。しかし、ゴム系の材料を混ぜ込んでいないので、粘りのある滑り止め効果はありません。
滑らせたいときに滑る。止まりたいときに止まるビニールレザーです。オンロード、オフロード問わず、一番使用されている滑り止めレザーです。
B-31

ツヤのあるファブリック柄のビニールレザーです。この柄の凸凹が適度な滑り止め効果を生みます。
アルカンターラ‐–エクセーヌ

アルカンターラも滑り止め効果があります。強くグリップすると言うわけではありませんが、適度な安定感があります。何より蒸れないと言う点で、夏場のビニールレザーに比べたら快適度は数倍上です。
こう書くと、これ以外のビニールレザーは滑って良くないように思われる方もいるかと思いますが、そうではありません。一般的な革の模様が付いたビニールレザーでも問題なく使用できます。
ノーマルや更にシートの性能を上げたい場合の参考になればと思います。
ちなみに、よく受ける質問にディンプルレザーはどのくらい滑り止め効果がありますか?が、あります。
当社品番で言うD-01から始まるディンプルレザーですが、これにすべり止め効果はありません。一般的なレザーと大差ありません。もしくは少し滑るくらいですね。(もちろんシートとして使用できる範囲での話です)

面ファスナー

材料のお話
面ファスナーと言ってもピンと来ない人もいるかと思いますが、マジックテープなら聞いたことがあると思います。
マジックテープはクラレの登録商標です。
ベルクロってのも聞いたことがあると思いますが、これはベルクロ社の登録商標。(だったと思う)
YKKならクイックロンだし、マジクロスと言うのもあったりします。
当社の仕事では様々な場所でこの面ファスナーを使用します。
袋の閉じはもちろんですが、カバーの固定や、椅子の固定など用途は無限にあります。
また、無限ではありませんが、用途によって様々な種類の面ファスナーがあるので、用途に応じた面ファスナーの選定も大事なことです。
基本的に面ファスナーはA面(フック)とB面(パイル)の2種類からなっています。

上から柔らかいタイプ(服などに使う)から、下に行くにつれて硬く接合強度も上がっていきます。
柔らかいだけではなく、制音タイプと言う物もあり、あのバリバリーという音を小さくしたものもあります。
接合強度の高い物はマッシュルームタイプとか、モールドタイプと呼ばれます。
写真にあるノーマルタイプと言う物が広く一般的に使用されているものです。
手芸屋さんで手にはいる物はこれが多いですね。

マッシュルームは横から見るとA面となるほうがマッシュルームの形をしていて、B面のループ上になった生地に引っかかります。B面の選定を誤ると剥がれなくなる恐れがあるほど強力です。
取り付け方法が見つからない店舗の壁に、背もたれを取り付けるときなどに使用したりします。

これはモールド品。なんとなく強そうなフックが見えませんか?

これは伸縮する面ファスナー。テンションをかけたい場所にゴムバンドを使用することがありますが、これを使えばゴムバンドの面ファスナーを縫製しなくても、これ一つで事足ります。

これはデイバッグやウエストバッグなどによく使われているPPテープに面ファスナーが一体となったもの。

これはA面とB面が裏表にある物です。結束バンドなどで見た人もいるのではないでしょうか。
1本で事足りるので、カバーの固定などによく使用します。

これは面ファスナーと呼んでいいのか分かりませんが、マッシュルーム面同士を合わせることで金属リベットのような強度を生む物です。ボードの裏に貼り付けて、プラハンマーで叩きながら付けます。一旦付いたら二度とはがれないですね。こういった接合強度の高い面ファスナーを使用する場合は、それの固定方法に気を使わなければなりません。強度にあわせた縫製や固定方法ですね。

少し分かりづらい写真ですが、これはセラミック繊維でできたカバーです。宇宙に飛んでいく際のロケットエンジンの高温から部品を守るためのカバーです。使用しているのは、セラミックの繊維と同程度の耐熱面ファスナーです。何でできているのかわかりませんでしたが、全て金属だったことと、ものすごく高額だった事は覚えています。
色も白と黒だけではなく様々なカラーがありますし、幅も16-20-25-38-50-100・・・とあります。
まだまだ、面ファスナーについてはこれでもごく一部しか紹介できてません。
いろんな材料を沢山知っていると作る幅も広がりますね。料理人と一緒で、後はその素材を生かすことができるかどうかです。
「これしか方法がない」と言う先入観や固定観念をなるべく持たずに「これしか方法がないの?」と決める前に一回でも考えて、新しい技術や発想で皆さんに喜ばれる会社になればと思っています。

防水コーティングの効果

当社のバイクシートの改造や張替をするとき、必ずウレタンに防水コーティングを施します。
当社の防水コートは、ビニールでウレタンを覆ったり、縫い目に防水処理という物ではありません。
ウレタン全体に厚み約1mmの特殊な防水発泡体を接着します。
シート全体を完全に覆うのでウレタンに水が入りません。
縫い目から水の浸入はありますが、いつまでも水が染み出してくるようなことはありません。
また、エクセーヌやアルカンターラを張りこんだ場合でも、その素材自体に保水はしますが、乾いたウエスで水をふき取って、少し日光に照らせば乾きます。
ウレタンは空気の出入りによってその弾力を維持しているので、時にはベース裏の空気抜きを増設したりします。
ウレタンを完全に包んで、いわば風船のようになったシートがパンクしないようにそのような処置をしております。
この処理を施すことによって、ウレタンの寿命も伸び、座り心地も若干固めの腰のあるものとなります。
さて、以前当社で張替えをしたシートを破ってしまったということで戻ってきました。

見た感じでは、転倒時に木の枝か何かが刺さったように見えます。
1点に荷重がかかり、表皮が裂けたようです。
普通そのような破れ方をすると、中のウレタンもえぐられる場合が多いです。
そして、当然のことながら、破れてむき出しになったウレタンに水が浸入します。
はがしてみましょう

張り込んである防水コート材はウレタンに比べて引き裂き強度が数段高いので、破れずに済んだようです。
そして、破れた後もしばらく乗ったようで、汚れていますが水の浸入はもちろんありません。
お客様に見えない部分だからこそ、見えた時にうれしい処理はしておきたいですね。
それがプロの仕事だと思っています。

ロゴマーク  Logo

それまでは会社のロゴマークというものが無かったのですが、張り替えたバイクシートにロゴがないと、どうもしっくりこないと言うことでロゴを作ったのが17年ほど前。

作っては見たものの、車体に貼るだけでシートにはペイントできませんでした。
それと、当時の流行がこのようなデザインであったために、しばらくすると飽きてしまいました。
そして、私を良く知っているデザイナーの友人にロゴ製作を依頼しして、新しくできたロゴがこれ。

それから小変更を繰り返しつつ

現在のこのロゴとなっています。
さて、バイクや車関係にはこれでいいのですが、オリジナルの家具関係にこのロゴは少しきついかなと言うことで、新しくロゴを検討中です。

家具や張り込み関係のHPに使っている、イラストでかわいい椅子のロゴを作ってみようかと思ってます。
いろいろ、イロイロ・・・並べたり・・・

どんなロゴが出来上がるかな。
楽しい仕事です。

先ず、自分で試す。 バイクシート

新素材が手に入った時、先ず自分で試します。
素材のカタログスペックは、体感の次でいいと思っています。
体感具合が良かった場合の補足説明としてあればいい程度ですね。
自分が試した次は、自分ではなかなか行えないテストに入ります。
ラリーレイドや長距離ツーリング、長期間に渡るテストなどを、しかるべきライダーにモニターとしてお願いします。
これも、単純に「良いか悪いか」の評価を貰い、お蔵入りになる材料もあれば、他の材料と複合して再度テストを繰り返したりします。
今回は、メインで使うウレタン。
今まで使っていたウレタンよりも弾力があり、硬度もある。
加工性もよいので、お客様の選択肢を一つ増やす事ができます。
さまざまな要望に応えるためには、技術だけではなくそれに伴って素材もたくさんあった方がいいと思います。
テストをするときの基本は、ノーマル形状で表皮もノーマルに近いものから始めます。
ローダウンしたり、ハイシートにしたり、表皮を変えたりとすると、何が良くて何が悪かったのか分からなくなってしまします。この結果をベースに、次のステップに進みます。

前回のラリーでは、現在お客様に提供しているシートを自身であらためて確認できた。これはこれで問題は無い。
しかし、このままでいいと止まった時点で、技術は維持するが進化はありません。
焦って新素材ばかりを追いかけるのも良くないです。
良いと思う素材をじっくり料理して、いつでもどこでもその性能を発揮できる状態でお客様に提供しなければなりません。
しかし、今回はツートラ。
準備隊の映像がユーチューブに上がっていました。ちなみにBGMの優歌団は好きです。

・・・・うーーーん
マシンはKTMだし(いいわけではないんですよ)・・
座ったままで移動するラリーと違い、山や沢を映像のように進むわけで、トライアルマシンではない私の場合は、押して押して押しての連続かと思います。それでも、少しはテストができるでしょう。
テストのシチュエーションは、多ければ多いほうがいい。

さーて、行ってきます。